発表年:2011年
ez的ジャンル:The Roots系オルガン・ソウル
気分は... :?uestlove最高!
新作は毎週日曜日に紹介するのが、最近の当ブログの暗黙のルールになっていますが、今月は紹介したい新作が多いので頻度多くしたいと思います。
今回はソウル界の伝説的オルガン奏者Booker T. Jonesの2年ぶりの新作『The Road From Memphis』です。
Booker T. Jonesは1944年カテネシー州メンフィス生まれ。16歳でプロ・ミュージシャンとなり、1962年にはBooker T. Jones(org)、Steve Cropper(g)、Lewis Steinberg(b)、Al Jackson, Jr.(ds)とBooker T. & The M.G.'sを結成します。
その後、ベースがDonald "Duck" Dunへ代わったBooker T. & The M.G.'sは、名門Staxのハウス・バンドとして数多くのアーティストをサポートします。同時に、グループ自身もコンスタントに作品をリリースし、Booker T.はそのフロント・マンとして注目を集めました。
The M.G.'sの活動休止後は、奥方Priscilla(Rita Coolidgeの姉)とのユニットBooker T. & Priscilla名義で、『Booker T. & Priscilla』(1971年)、『Home Grown』(1972年)、『Chronicles』(1973年)という3枚のアルバムをリリースしています。
ソロ名義では、『Evergreen』(1974年)、『Try and Love Again』(1978年)、『The Best of You』(1979年)、『I Want You』(1981年)、『The Runaway』(1989年)、『Potato Hole』(2009年)といったアルバムをリリースしています。
Booker T. Jonesに関しては、知らぬ間に紹介しそびれていましたね。
自分でもそれを自覚しており、数ヶ月前から梅雨明けくらいのタイミングで、人気曲「Jamaica Song」収録の『Evergreen』を紹介しようと思っていたのですが、新作『The Road From Memphis』が素晴らしかったのでコチラが先になってしまいました。
前作『Potato Hole』から2年ぶりの新作となる『The Road From Memphis』の注目は、何と言っても?uestloveをはじめとするThe Roots勢の参加です。Booker T.には失礼ですが、個人的にはBooker T.本人への興味よりもThe Roots(?uestlove)目当てで本作を購入した次第です。
The Rootsとの出会いが、Booker T. にどのような化学反応をもたらすのかという期待で聴きましたが、レトロなのにモダンなオルガン・グルーヴをかなり楽しめました。さすがは?uestloveですね!
プロデュースはBooker T. Jones、?uestlove、Rob Schnapfの3名。Rob SchnapfはBeckやElliott Smith作品等も手掛けていますね。また、Gabriel Rothがエンジニアを務めています。
レコーディングにはBooker T. Jones(org、p)をはじめ、、?uestlove(ds)、Owen Biddle(b)、Kirk Douglas(g)というThe Rootsのメンバー、Dennis Coffey(g)、Stewart Killen(per)が参加しています。Dennis CoffeyはFunk Brothersのメンバーとして活躍すると同時に、「Scorpio」のヒット等ソロ・アーティストとしても数多くの作品をリリースしているギタリストですね。
さらにゲスト・ヴォーカルとして、Yim Yames(My Morning Jacket)、Matt Berninger(Matt Berninger)、Sharon Jones(Sharon Jones & The Dap-Kings)、Lou Reedが参加しています。
本作を引っさげて9月に来日公演も行う模様です。
Booker T.ファンもThe Rootsも楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Walking Papers」
Booker T. Jones/Kirk Douglas作。オープニングは開放的なファンキー・グルーヴ。?uestloveの叩き出すリズムが全体をピリっと引き締めてくれます。
「Crazy」
DJ Danger MouseとCee Lo Greenのサイケデリック・ユニットGnarls Barkleyの大ヒット曲をカヴァー。Gnarls Barkley自体が60〜70年代サウンドを意識したユニットなので、Booker T.のオルガン・サウンドがよく馴染みます。
http://www.youtube.com/watch?v=FtbtEMzRFJo
「Progress」
Booker T. Jones/Yim Yames作。フォーク・ロック・グループMy Morning JacketのYim Yamesのヴォーカルをフィーチャー。親しみやすいメロディのオルガン・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=KjL8KRKRf2U
「The Hive」
Booker T. Jones作。僕の一番のお気に入り曲。この曲ばかり何度もリピートしています。 僕が本作に期待していたBooker T. Jones meets The Rootsといった趣のオルガン・グルーヴがココにあります。?uestloveのドラムが格好良すぎ!
「Down In Memphis」
Booker T. Jones作。ここではBooker T.自身がヴォーカルをとっています。アーシー・テイストの味わい深いソウル・チューンに仕上がっています。
「Everything Is Everything」
Lauryn Hillのヒット・シングルをカヴァー。「The Hive」と並ぶお気に入り。この曲もBooker T. Jones meets The Rootsの感じが伝わってきます。メンバーのセッション映像のPVもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=A61c4FgxZz8
「Rent Party」
Booker T. Jones作。リラックスした演奏がいいですね。軽くパーカッシヴな雰囲気が僕好み。
「Representing Memphis」
Booker T. Jones/Liv Jones作。タイトル曲はThe NationalのMatt BerningerとSharon Jones & The Dap-KingsのSharon Jonesの男女ヴォーカルをフィーチャー。ジワジワと胸に迫る感動的なソウル・チューンに仕上がっています。歌モノではこの曲が一番好き!曲調的にJohn Legend & The Roots「Wake Up Everybody」あたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=SMvyQkwUkWo
「The Vamp」
Booker T. Jones作。「The Hive」と同様の格好良さを持った演奏です。70年代ブラック・ムーヴィー・サントラに現代風のテイストを加えた感じが好きです。
「Harlem House」
Booker T. Jones作。?uestloveとOwen Biddleのリズム隊がグイグイ引っぱるファンキー・グルーヴ。
「The Bronx」
Booker T. Jones/Liv Jones作。ラストはLou Reedのヴォーカルをフィーチャーした激シブ・バラード。不思議とソウルフルなオルガン・サウンドとLou Reed独特の呟きヴォーカルがマッチしています。
Booker T. & Priscilla『Booker T. & Priscilla』(1971年)
Booker T. & Priscilla『Home Grown』(1972年)
Booker T. & Priscilla『Chronicles』(1973年)
『Evergreen』(1974年)
『The Best of You』(1979年)
『I Want You』(1981年)
『Potato Hole』(2009年)
本作に参加しているベテラン・ギタリストDennis Coffeyも新作『Dennis Coffey』をリリースしていますので、興味がある方はそうぞ!
Dennis Coffey『Dennis Coffey』(2011年)