発表年:2011年
ez的ジャンル:ジャンルレス系ベルギー人女性SSW
気分は... :この才能を聴き逃さないで!
今回は世界が注目する、話題のベルギー人女性シンガー・ソングライターSelah Sueのデビュー・アルバム『Selah Sue』です。
Selah Sue(本名:Sanne Putseys)は1989年ベルギー、レーフダールの生まれ。高校時代から自作楽曲をマイ・スペースへアップするようになり、ネット上で注目されるようになります。
そうした動きに目をつけた業界関係者が動き、レコーディング契約までこぎつけたというシンデレラ・ストーリーによりデビューを果たしました。これまで6曲入りEP『Black Part Love』(2008年)、5曲入りEP『Raggamuffin』(2010年)をリリースしています。
欧州で大ブレイクしつつあるSelah Sueですが、その才能は米国の大物アーティストからも注目されています。Prince殿下は2010年秋のベルギー公演のオープニング・アクトにSelahを起用しました。また、Cee Lo Greenが昨年リリースした『The Lady Killer』のInternational editionにはSelahとのデュエット曲「Please」を収録しています(本作にも収録)。また、彼女の才能に惚れ込んだMeshell Ndegeocelloは本作で「Mommy」 をプロデュースしています。
デビュー・アルバム『Selah Sue』の収録曲の半数近くは前述のEP2枚と重なりますが、ヴァージョンが大きく異なるものも多く、その間の彼女の進化も楽しめる作りになっています。
デビュー・アルバム『Selah Sue』を聴くと、レゲエ/ダブ、R&B、ソウル/ファンク、Hip-Hop、ロック、フォーク、エレクトロといった多様なジャンルのエッセンスを取り込んだサウンドは軽々とジャンルの壁を飛び越えています。これはPatrice、Farhotといったプロデューサー陣の貢献も大きいと思います。
しかしながら、そうした多様なサウンドに埋もれることなく、抜群の存在感を示すSelahのコケティッシュなハスキー・ヴォーカルこそが本作の最大の魅力です。曲によってはラガ・スタイルのラップも披露してくれます。
個人的には、欧州女性SSW+Fugees/Lauryn Hill+トリップ・ホップといった印象を受ける1枚です。特にフォーキーなアコースティック・サウンドとラガ/レゲエ・スタイルを全く違和感なく融合してしまうスタイルは病みつきになりそうです。
大注目の才能です。お聴き逃しのないように!
全曲紹介しときやす。
「This World」
本作の持つ多様な音楽性を象徴するオープニング。トリップ・ホップをイメージさせるダーク&ダウナーなサウンドとSelahのハスキー・ヴォーカルが独特の音世界を織り成します。印象的なベースを演奏するのはLauryn Hill『The Miseducation of Lauryn Hill』等でもお馴染みのレゲエ系のベーシストChristopher Meredithです。
http://www.youtube.com/watch?v=8A7YIyPmIQ0
「Peace Of Mind」
Fugeesを思い出すラガ/Hip-Hopテイストの1曲。SelahがLauryn Hillから大きな影響を受けていることを実感できる1曲。ラガ・スタイルのラップもキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=9gnabY-75m8
「Raggamuffin」
既にシングルとして欧州では人気となった曲。アコースティック・ソウルとラガマフィンを巧みに融合した仕上がりに脱帽です。Selah Sueというアーティストの個性を上手く表現した1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-IunmW3wI5Q
「Crazy Vibes」
レイジーなテイストにグッとくるポップ・チューン。下品な音色のキーボードがクレイジー・ヴァイヴな感じでグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=RL4I1xrs6F8
「Black Part Love」
デビューEPのタイトル曲ですが、アルバムでは別ヴァージョンが収録されています。メロウな浮遊感が魅力であったEPヴァージョンに対して、アルバム・ヴァージョンはダークなエッジが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=VkC2FZLAOUA
デビューEPのヴァージョンにも捨て難い魅力があります。
「Black Part Love」(From EP『Black Part』)
http://www.youtube.com/watch?v=4WdCnmdD-ls
「Mommy」
Meshell Ndegeocelloプロデュース曲。Selahのことをいつも支えてくれた母に捧げた1曲。ギターとキーボードのみのシンプルなサウンドですが、シンガー・ソングライターとしてのSelahの魅力を存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=EqsKN4btG5k
「Explanations」
Selahのヴォーカル&ギターを中心にしたアコースティックな仕上がり。Selahの原点を垣間見ることができる1曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=MpMEBUTI5oU
「Please」
前述のCee Lo Greenとの共演曲。Cee Lo Greenの『The Lady Killer』International editionにも収録されています。当ブログでも『The Lady Killer』を紹介しましたが、US盤なので本曲は未収録でした。妖しげなノスタルジック感がCee Lo Greenとの共演らしくて良いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=go3ePLQyCJM
「Summertime」
Selahのキュートなハスキー・ヴォイスが柔らかい陽の光のように包み込んでくれる1曲。ストリングス・アレンジも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HuUh4OGXBKk
「Crazy Sufferin' Style」
キュート&クレイジーなレゲエ・チューン。再びChristopher Meredithの重くうねるベースが炸裂します。こういう曲でも実に自然体で歌いきってしまうSelahの柔軟性が素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=m6CCWbZaLBw
「Fyah Fyah」
心地好いフォーキー・ソウルですが、終盤にはラガ・スタイルが乱入してきます。このフォーキー+ラガの組み合わせは、かなりハマりそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=_5nzG2IBhec
「Just Because I Do」
ラストはトリップ・ホップ調のダビー&エレクトロな仕上がり。Tricky、Portisheadあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=lsN9L8nK8s4
今日はサッカーのロンドン五輪アジア2次予選「日本対クウェート」戦です。
とりあえず無失点の「2対0」くらいでホームを終え、木曜日のアウェーに臨んで欲しいですね。
そうは簡単にいかないと思いますが・・・
あまりに詳しいレビューに、自分のブログの拙い文章を読んで頂いている方にこういう記事を読んで頂きたく、ブログで取り上げさせて頂きました。トラックバックの御挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。
ところでSelah Sue、今から期待するのは早いですが、2ndアルバムはどんな感じになるのでしょう?
ありがとうございます。
当方の記事は、それほど大層なものではありませんが、参考になったのであれば幸いです。
Selah Sueは実に存在感のあるSSWですね。
小さくまとまらず、さまざまなジャンルのエッセンスを貪欲に吸収して、このまま独自のSelah Sueワールドを突っ走って欲しいです。
今後の活動も楽しみですね。