2006年07月23日

Clifford Brown『Study In Brown』

25歳で逝った天才ブラウニーが残してくれた宝物☆Clifford Brown『Study In Brown』
Study in Brown
録音年:1955年
ez的ジャンル:天才トランペッター系ハードバップ
気分は... :マジメにお勉強しましょ!

久々に50年代ジャズを!
今回は天才トランペッターClifford Brownの作品『Study In Brown』(1955年)デス。

Clifford Brownについては、これまでLee MorganSarah VaughanArt Blakey Quintetの記事投稿の中で紹介してきまシタ。

1956年6月に交通事故のため、わずか25歳でこの世を去った“ブラウニー(Clifford Brownの愛称)”。

彼がジャズ・シーンで活躍した期間はわずか4年足らずだ。しかし、その間にモダン・ジャズのトランペット・スタイルを築き上げ、帝王Miles Davisも賛辞を惜しまなかったというあたりがブラウニーの天才たる所以だ。

1951年にジャズ・シーンにデビューし、1952年に初レコーディングを行い、1954年には本ブログでも紹介したArt Blakey Quintetによる歴史的ライブ『A Night at Birdland』へ参加。そして、Max Roach(ds)と出会い、名コンボClifford Brown=Max Roach Quintetが結成された。

このMax Roachとの双頭クインテットにおいて録音された諸作こそがブラウニーが我々に残してくれた宝物の数々である。

『In Concert』(1954年)、『Clifford Brown & Max Roach』(1954年)、『Clifford Brown With Strings』(1955年)、『Study In Brown』(1955年)あたりがオススメ作。

そんな中から今回は『Study In Brown』(1955年)をセレクト。

タイトルからもClifford Brownという人のトランペットの技巧を究めようとする真摯な姿勢が窺えますよね。この頃の有名ミュージシャンって、破天荒、不健康、ドラッグ漬け、ワガママ、無愛想といった問題児のイメージが強いけど、ブラウニーだけは、健康的で、優しく、微笑みを絶やさないジェントルマンなミュージシャンという印象を受ける。

クインテット結成から約1年が過ぎ、グループの絶頂期に録音されたハードバップの名盤が本作です。

メンバーは、Clifford Brown(tp)、Max Roach(ds)、Harold Land(ts)、George Morrow(b)、Richie Powell(p)の5人。このうち、Richie Powellはブラウニーと同じ事故で死去してしまう。ちなみにRichieは大物ジャズ・ピアニストBud Powellの弟。

全曲紹介しときヤス。

「Cherokee」
Indian Love Songの副題を持つスタンダード。Charlie Parkerの十八番として有名な曲ですね。この曲はアドリブの超絶テクお披露目のスタンダードとしても有名らしいです。その意味では、ブラウニーの高速ソロは圧巻ですね。ハイテンポでも余裕しゃくしゃくな感じがします。Max Roachのまさにインディアンなドラミングも印象的ですね。

「Jacqui」
Richie Powellの作品。小粋なムードが魅力の演奏ですね。

「Swingin'」
実にスリリングな演奏で3分弱を一気に聴かせてくれマス。単純にカッチョ良い!

「Land's End」
Harold Land作品のブルージーなナンバー。哀愁漂う少しダークなアドリブがいいカンジです。

「George's Dilemma」
ブラウニーの作品の中でも名作の誉れ高い1曲。ラテン・テイストのグルーヴィーなリズムをバックに、ブラウニーの魅惑のソロを堪能できマス。本作のハイライトと言える1曲だと思いマス。僕もこの曲が一番スキかな?

「Sandu」
全体的にリラックスした雰囲気がとっても楽しそうなミディアム・ナンバー。

「Gerkin for Perkin」
3分弱の中にこのクインテットの魅力が凝縮されているような気がしマス。ブラウニー、Harold Land、Richie Powell、Max Roachのソロも堪能できマス。

「If I Love Again」
とってもキャッチーな演奏が魅力のナンバー。ブラウニーのソロがカッチョ良いの一言デス。

「Take the "A" Train」
Duke Ellingtonでお馴染みのスタンダード。列車が動き始めて、徐々にスピードアップする様を音にしたグループの表現力がお見事ですね。この曲がこんなスリリングになるなんて少し驚きデス。

リーダー作以外であれば、本ブログで紹介したArt Blakey Quintet『A Night at Birdland, Vol.1-3』Sarah Vaughan『Sarah Vaughan With Clifford Brown』Helen Merrill『Helen Merrill』あたりが僕の愛聴盤デス。
posted by ez at 00:50| Comment(4) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブラウニーは、「パーフェクト・トランぺッター」という感じがします。よく言われるところの、人柄まで含めて。(ガレスピーやマイルスやウィントンは、その点、チョットねえ。)
このアルバムは、演奏時間が短めでコンパクトにまとまっているトラックが、9曲も入っているので、ジャズへの入門にも最適なアルバムですよね。
もちろん、年季の入ったジャズ・ファンが聴き続けるのにも十分過ぎるクオリティ。
「茶色の研究」ってタイトルも洒落てますね。「緋色の研究」のモジリ?
Posted by bugalu at 2006年07月23日 10:22
☆bugaluさん

ありがとうございます。

僕は技術的なことはあまり詳しくないのですが、ブラウニーほど“パーフェクト”という形容詞が似合うトランペッターはいない感じがしますね。
僕なんかは3分弱の曲はもう少し長尺で聴きたい!なんて思ってしまうのですが、ご指摘のとおり、コンパクトさが魅力なのかもしれませんね。
それにしても25歳でこの深みのある表情、オヤジになっても全く深みの出ない僕にとっては羨ましい限りです(笑)
Posted by ez at 2006年07月24日 02:13
同じデザインでブルーのジャケのもありますよね。名盤。これもいいですが、初レコーディングと、なんと亡くなる直前のライブレコーディングを収めた切ないアルバム『ビギニング・アンド・ジ・エンズ』も哀感漂い好きですね。アルバムのエンディングは、最後の曲が終わり彼が紹介されオーディエンスの拍手喝采で終わるんですよ!ホント切ない。真のファンは涙なしには聴けないでしょうねこれは…。リーモーガンの『Volume3』に入ってる、ベニーゴルソン作の名曲アイリメンバークリフォードも当然好きです。

今日は誰かの誕生日ですおめでとう(サンフランシスコジャイアンツのバリーボンズと同じです)
Posted by マルチP at 2006年07月24日 18:50
☆マルチPさん

ありがとうございます。

>同じデザインでブルーのジャケのもありますよね。

そうですね。でもタイトル的にもコチラのジャケがピッタリなのでは?
ジャケ違いの話で言えば、アルバム未収録の曲名が印刷されているジャケの盤も存在しますよね。

>『ビギニング・アンド・ジ・エンズ』も哀感漂い好きですね。

『The Beginning and The End』は、中身の素晴らしさは勿論ですが、歴史的なドキュメントとして貴重な1枚ですね。
Posted by ez at 2006年07月25日 00:44
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