発表年:1977年
ez的ジャンル:スカイ・ハイ系レア・グルーヴ
気分は... :追悼Fonce Mizell
TVでゴルフの全英オープンを観ています。サッカー女子W杯なでしこの快挙の後なので、日本人選手の活躍を期待してしまいますが・・・
さて、弟Larryと共にSky High Productionを設立し、70年代音楽シーンに大きな軌跡を残したプロデュース・チームMizell Brothersの一人Fonce Mizell(Alphonso "Fonce" Mizell )が去る7月5日にL.A.で亡くなりました。
今回はFonce Mizellを追悼する意味でMizell BrothersがプロデュースしたGary Bartz『Music Is My Sanctuary』(1977年)を取り上げたいと思います。
クラブ系リスナーにも人気のサックス奏者Gary Bartzの紹介は、Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年、2in1CD)に続き2回目となります。
僕の中でのGary Bartzは、Ntu Troop名義の『Taifa』(1970年)、『Uhuru』(1971年)、『Juju Street Songs』(1972年)、『Follow The Medicine Man』(1973年)といったアフリカ回帰のブラック・ミュージック的アルバムの印象が強いですね。
そんなGary Bartzですが、70年中盤以降はMizell Brothersプロデュースの『The Shadow Do』(1975年)、『Music Is My Sanctuary』(1977年)、James Mtume/Reggie Lucasプロデュースの『Bartz』(1980年)といった作品もリリースしています。
本作『Music Is My Sanctuary』(1977年)は、Mizell Brothersプロデュースの第2弾アルバムであり、レコーディングには、David T. Walker(g)、Wah-Wah Watson(g)、James Gadson(ds)、Bill Summers(per)、James Mtume(per)、Syreeta Wright(vo)、Sigidi(vo)、Eddie Henderson(tp)、Ray Brown(tp)等が参加しています。Syreetaのキュートなヴォーカルが目立っています。
全体としては、アーバン・メロウなソウル/フュージョン作品に仕上がっています。
ただし、スカイ・ハイ色がそれ程前面に出ているわけでもありません。
タイトル曲がハイライトですが、「Carnaval De L'Esprit」、「Love Ballad」、「Swing Thing」あたりも聴きモノです。
全曲紹介しときやす。
「Music Is My Sanctuary」
タイトル曲はアルバムのハイライト(Gary Bartz/Sigidi作)。Syreetaのキュートなヴォーカルをフィーチャーしたスピリチュアル・アーバン・メロウ。アーバン・メロウな中にもスピリチュアルなテイストがあるのがGary Bartzらしいのでは?当ブログでも紹介したWarren G「If We Give You a Chance」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=DGLw7GmoIo4
「Carnaval De L'Esprit」
Gary Bartz作。僕の一番のお気に入り曲。ミステリアスかつ爽快なサンバ・フュージョンです。ブラジリアン・フュージョン好きの人であれば、相当グッとくるはずです。サンバのリズム、軽快なサックス、カラフル・コーラス全てが躍動しています。
http://www.youtube.com/watch?v=S3luimH7gpc
「Love Ballad」
L.T.D.のヒット曲をカヴァー(Skip Scarborough作)。L.T.D.のオリジナルはMizell Brothersプロデュースの『Love To The World』に収録されています。George Bensonのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。ここでSyreetaのヴォーカルをフィーチャーしたフュージョン・メロウ・ソウルに仕上がっています。Syreetaの透き通ったヴォーカル、Gary Bartzのメロウ・サックス、David T. Walkerのツボを押さえたギターが素敵なサンセット・モードへと誘ってくれます。
「Swing Thing」
Larry Mizell/Fonce Mizell作。改めて聴くと、この曲がアルバムで一番凄いですね。スウィング・ジャズ+フュージョン+ファンク+ガラージ+スカイ・ハイといった雰囲気のグルーヴの洪水が押し寄せてきます。この迫力はなかなか無いち思います。
http://www.youtube.com/watch?v=DINpdSS-YuA
「Ooo Baby Baby」
ご存知The Miraclesの名曲カヴァー(Smokey Robinson/Pete Moore作)。濃密な「Swing Thing」の後で軽くコーヒー・ブレイクって感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=tbqrZ0PckeA
「Macaroni」
Gary Bartz作。ラストは素晴らしいアレンジのストリングスと共にスタートします。本編はGary Bartzのサックスを満喫できる心地好いメロウ・フュージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=utOvOMk7rUM
同じくMizell Brothersがプロデュースした『The Shadow Do』もどうぞ!
『The Shadow Do』(1975年)
Gary BartzおよびMizell Brothersプロデュース作の過去記事もご参照下さい。
Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年)
Donald Byrd『Black Byrd』(1972年)
Donald Byrd『Street Lady』(1973年)
Donald Byrd『Places and Spaces』(1975年)
Johnny Hammond『Gears』(1975年)
スウィング・ジャズ+フュージョン+ファンク+ガラージ+スカイ・ハイといった雰囲気
うまい事いいますねw
数年前とある雑誌のインタビューでMizell 名義でアルバムを出す様な事を言っていたのですが、夢幻になってしまいました。残念です。
ありがとうございます。
「Swing Thing」は、とても34年前の曲とは思えないセンスの良さを感じます。
Mizell名義のアルバム聴きたかったですね。
これのこの曲も期待したのですが・・・
シリータが私には合わないのかも。
ありがとうございます。
「Love Ballad」は、L.T.D.のオリジナル、Bensonヴァージョン、Gary Bartzヴァージョン三者三様ですね。僕はそれぞれ異なる魅力があって好きですが。
ええっFonce Mizell 亡くなられたんですか
知りませんでした・・・
アーチストよりも
プロデューサーの個性が前面に出てしまうという(笑)、今ではプロモーション的にも考えられないようなことを
実にカッコよくやってましたね。
Mizell Brothers 自分の中では、かなり好きなプロデュースチームでした。
そうですか亡くなられたんですか
残念です・・・
私もMizell worksを聴いて
ご冥福をお祈りしたいと思います。
ありがとうございます。
Mizell兄弟のプロデュース作は、リスナーもアーティストを聴くというより、スカイハイ・サウンドを聴くという感覚ですからね。
特定プロデューサーが全面プロデュースして思い切り自分色にしてしまうスタイルは、今日のR&B作品等に多く見られる、1枚のアルバムに多くのプロデューサーが混在するスタイルとは対極ですよね。アーティストにはどちらがいいんでしょうね?