2006年08月02日

Dexter Gordon『Gettin' Around』

夏の夜明けにオススメのジャズ☆Dexter Gordon『Gettin' Around』
ゲッティン・アラウンド
録音年:1965年
ez的ジャンル:骨太系メインストリーム・ジャズ
気分は... :夜明けとともに...

先日、NHKで恐竜と人間を含む哺乳類の進化を扱っていた番組を観た。

恐竜という巨大かつ強力な支配者がいる中で、哺乳類が生き残ってこれたのは、恐竜のように自らの体を大型化せず、かつ昼ではなく夜に活動の場を見出したかららしい。

僕は昔から夜中になると頭が冴えてくるタイプの人だ。
特に、今のように自由人となり、他の人に比べて時間的な制約が少ない立場になってからは、深夜0時を過ぎから明け方5時くらいまでが一番仕事が捗るかもしれない。

他人が寝てる間に活動していると思うとなんかとっても得した気分になる。実際は、その分他人が活動している間に寝ているから同じなんだけどねぇ...(-。-;

でも、先のTV番組を観ながら、改めて自分の夜間活動に喜びを感じてしまうのでした...

今回紹介するDexter Gordon『Gettin' Around』(1965年)も、そんな僕の夏の夜間活動のBGMにぴったりなアルバムだと思いマス。

Dexter Gordon(1923-1990年)と言えば、ワン・アンド・オンリーの存在感が魅力のテナー・サックス奏者。そんな彼の豪快なブロウを堪能できる代表作として、以前に『Our Man In Paris』(1963年)を紹介しましたね。

『Our Man In Paris』と比較すると、『Gettin' Around』はDexterにしてはかなりライトタッチな作品かもしれない。でも、その軽さとほのかにもの寂しいカンジが、夏の夜中や明け方に聴くととっても気持ちイイ。逆に、仕事中に聴くと、気持ちよすぎて、マッタリしてしまう危険性もあるんだけどねぇ。

メンバーは、Dexter Gordon(ts)、Bobby Hutcherson(vib)、Barry Harris(p)、Bob Cranshaw(b)、Billy Higgins(ds)っす。特に、Bobby Hutchersonの参加がウレシイですね。

ジャケは、本ブログではお馴染みのアートディレクターReid Milesによるものです。この構図が何とも素晴らしいですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Manha de Carnaval」
このアルバムといばまずはこの曲でしょう。昔のジャズ喫茶の定番曲だったとか。今の時代に聴いても、気だるいボサノバのリズムとDexterの哀愁のサックスは実にいいカンジだと思います。僕がこのアルバムを聴きたくなるのも、まずは「Manha de Carnaval」が聴きたいという衝動がきっかけになることが多いっす。

「カーニバルの朝」という邦題のこの曲は、フランス映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』の主題歌です(作詞Antonio Maria、作曲Luiz Bonfa)。Dexter以外にもPaul Desmond、Gerry Mulliganといったアーティストの演奏も有名ですね。

「Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) 」
Leslie Bricusse、Anthony Newley の作詞・作曲のスタンダード・ナンバー。Tony Bennettのヒットで有名なこの曲は、本ブログで人気のBill Evansも演奏していますよね。全体的に抑えた演奏が、神に運命の導きを乞うこの曲の雰囲気にピッタリっす。Dexterの優しく包み込むようなブロウとBobby Hutchersonの一音一音が胸に染みるヴァイブの音色が好きですね。

「Shiny Stockings」
Count Basieで有名なスタンダード。リラックスした軽快な演奏がくつろげマス。

「Everybody's Somebody's Fool」
Connie Francisの大ヒットで有名なスタンダード。明け方に聴くと、実に心が落ち着き、穏やかな気持ちになれる味わい深いバラードっす。ちなみにAretha Franklinファンの方は、Arethaのアルバム『So Damn Happy』(2003年)収録のJam & Lewisプロデュース曲とは同名異曲デス。

「Le Coiffeur」
Dexterのオリジナル曲。軽快でチャーミングな演奏が印象的っす。

「Very Saxily Yours」
CD化に伴い新たに追加された曲。くつろげるカンジの演奏がいいですね。

僕のような本格派ジャズ・ファンじゃないけど、それなりにジャズも聴くという人に向いたアルバムかもしれません。

普段ジャズを聴かない人にとっても、ライトで聴きやすいこの作品がDexter Gordon入門編としてはいいかもしれませんね。
posted by ez at 04:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やはりハッチャーソンの参加が
新鮮です。
私はレコードで持ってますが、CDに
追加の曲はじめて知りました。
So Damn Happy に同名の曲があるとは
指摘されるまで気がつきませんでした。
(実はあんまり聴いてません)
さすがですね!
Posted by あばちゃん at 2010年05月28日 22:20
☆あばちゃんさん

ありがとうございます。

最初に映画『Round Midnight』で出会った印象が強いせいか、Dexter Gordon作品には愛着があります。本作はライトな仕上がりが聴きやすくていいですね。

Posted by ez at 2010年05月29日 02:21
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