2006年08月03日

Marvin Gaye『What's Going On』

愛は何処へいったの...ニューソウル永遠の名盤☆Marvin Gaye『What's Going On』
What's Going on
発表年:1971年
ez的ジャンル:社会派ニューソウル
気分は... :愛は何処へいったの...

今回はみんな大好きニューソウル永遠の名盤Marvin Gaye『What's Going On』(1971年)デス。

個人的には以前に紹介した『I Want You』(1976年)が一番好きなMarvinのアルバムだけど、音楽シーン全体に与えたインパクトやその後の影響を考えると、『What's Going On』ほど完璧なMarvin Gaye作品はないと思う。

僕は中学3年の時に『What's Going On』のLPを購入した。その当時、僕の中ではBeatlesのコンセプト・アルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)が洋楽の最高峰だった思っていた。実際、当時の殆どのロック雑誌にそのようなことが書いてあった。

そんな中で、初めて聴いた『What's Going On』は僕にはかなりの衝撃作だった。流れるような心地良いメロディーと、アルバム・ジャケットも示唆するベトナム戦争への反戦メッセージの歌詞の間に大きなギャップを感じたつつも、その社会性と全体の統一感に『Sgt. Pepper's〜』以上にコンセプチャルなものを感じたね。

ロック雑誌の代表格Rolling Stone誌は、かつて70年代のベスト・アルバムにロック・アルバムではなく、ソウル・アルバムである本作を選んだ。その後同誌が行った「偉大なアルバムベスト500」で本作は第6位に選ばれ、「最も偉大な500曲」でもシングル「What's Going On」が第5位に選ばれた。それほどこのアルバムの影響力は絶大だ。

単に社会的なコンセプト・アルバムというのみならず、制作過程においても、Marvin自らがプロデュースを行い、ライナーノーツを書くといった黒人の意識改革を訴えるニューソウル運動を率先したようなアルバムであった。

また、モータウンで初めて、Robert White(g)、Joe Messina(g)、Johnny Griffith(key)、Earl Van Dyke(key)、James Jamerson(b)、Chet Forest(ds)といったバック・ミュージシャンの名がクレジットされたアルバムとしても知られていますよね。

そういった面々と共に、Marvinの様々なボーカル・スタイルを重ねて織り成すメロウなボーカル・パートと浮遊感漂う心地良いグルーヴを生み出す演奏が相俟って、まさに至極のソウルを生み出した。

「What's Going On」、「Inner City Blues」、「Mercy Mercy Me」という3曲のR&BチャートNo1ヒットが強力だよね。でも、何より全体の流れが素晴らしいよね。ホント、吸い込まれるようなアルバムだよね。

全曲紹介しときやす。

「What's Going On」
誰もが心奪われる永遠の名曲(全米R&Bチャートで5週連続No1)。ベトナム戦争で死んでいった兄弟、それを嘆き悲しむ母親、戦争に加担したかもしれない父親に対して、♪愛こそにこの問題の解決法を見出そう♪と呼びかけたメッセージ・ソングである。まさに、ジャケットの雨に撃たれてたたずむMarvinの姿が音になったような曲だよね。

音楽的にも、ニューソウル的なスタイリッシュなグルーヴにのって、Marvinのスウィート・テナー、シャウト、ファルセットといった多様なボーカルの洪水が新たなサウンドの世界へ引き込んでくれる。まさに至極の1曲。

これだけの名曲なので、数多のカヴァーが存在しマス。主なところでは、Donny Hathaway、Quincy Jones、Herbie Mann、Barnard Pardy、El Chicano、David T.Walker、Cyndi Lauper、Richie Havens、Chris Jasper、Paul Weller、Ella Fitzgerald、Ray Barretto、Jesse Colin Young、Chaka Khan、Weldon Irvin、Los Lobos、Daryl Hall & John Oatesあたりがカヴァーしていますよね。

個人的には、Donny Hathaway、El Chicano、Weldon Irvinあたりのカヴァーをよく聴きマス。また、Speech、Mos Def、Geto Boys、Jungle Brothers、Keith Murray、Tone Locなどのアーティストがネタとして使っていますね。

「What's Happening Brother」
「What's Going On」のPart2といったカンジの曲。ストリングスや女性コーラスなどアレンジが素晴らしいよね。

「Flyin' High (In The Friendly Sky) 」
Marvinの官能ファルセットを堪能できるナンバー。でも歌詞は信仰心の厚い内容デス。

「Save the Children」
ジャズ的な展開がカッチョ良いナンバー。パーカッション好きの僕としてはとってもパーカッションが気になる曲でもある。本ブログで取り上げたMarlena ShawRegina BelleやBono(U2)といったアーティストがカヴァー。

「God Is Love」
「Mercy Mercy Me (The Ecology)」
2曲で1セットになっている曲。「God Is Love」は、まさに牧師の息子Marvinらしいナンバー。そう言えば、裏ジャケ写真のMarvinも牧師っぽいよね。この曲もジャズ的な演奏がいいカンジっす。

「Mercy Mercy Me」は時代を先取りするような環境問題を取り上げたナンバー。この時代でエコロジーを意識しているなんて、ある意味スゴイよねっ☆全米R&BチャートでNo1に輝いた名曲っす。確か、数年前トヨタのラウムのCMで使われていましたね。

「What's Going On」と並ぶ至極のグルーヴってカンジだよね☆個人的には「What's Going On」よりも「Mercy Mercy Me」の方がお気に入りっす。エンディングのモヤモヤ感もたまらないね!

「Mercy Mercy Me」は、Grover Washington,Jr.、Jesse Colin Young、Robert Palmer、Jon B.、Sounds of BlacknessMichael McDonaldなどがカヴァー。僕は「God Is Love」とセットのSounds of Blacknessのカヴァーがお気に入りデス。

「Right On」
アルバムの中で隠れがちだけど、ラテン・フレイヴァーのカッチョ良いグルーヴ。若いリスナーの人が今時の耳で聴くと、このラテン・グルーヴなんか案外人気があるんじゃないかなぁ。

「Wholy Holy」
深く胸に響くバラード。Marvinの歌唱力を堪能できる曲ですね。

「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) 」
アルバムのラストはこれまた全米R&BチャートでNo1に輝いた名曲。都市における黒人の現状を鋭くえぐったメッセージ・ソング。不気味なほとどのクールで乾いたサウンドが、問題の深刻さを物語っているようだよね。

この曲もカヴァー多数。Chi-Lites、Phil Upchurch、Grover Washington Jr.、The Impressions、Brian Auger's Oblivion Express、Working Week、Angela Winbush、Nona Gaye、Doc Powell、Etta Jamesあたり主なところ。

個人的には、Brian Auger's Oblivion ExpressとMarvinの娘Nona Gayeのカヴァーをよく聴きヤス。また、Coolio、Ralph Tresvant、Ice Cube、MC Solaarなどのネタにもなっていますね。

本作発表から35年が経った今も、中東では戦乱が続き、地球環境問題は深刻化し、W杯決勝ジダン頭突き事件のように人種差別も解決されているとは言い難い。

みんなこのアルバムを聴いて、愛を持ってさまざまな問題を解決しよう!
ラブ&ピースV(^0^)V
posted by ez at 00:16| Comment(4) | TrackBack(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
私もこの名盤をアップしたのでTBさせて頂きました。
ベースのグルーヴ感が堪りません。
あとラブ&ピースV(^0^)V、同感です・・・。
Posted by 240 at 2008年07月29日 08:56
☆240さん

ありがとうございます。

サウンド、メッセージ、製作過程全てにおいてソウルの新時代を切り開いたアルバムですね。

緻密に重ね合わせたMarvinのヴォーカル、バック陣の生み出す至極のグルーヴ、荘厳なオーケストラ・アレンジ、全てが見事に融合した魅惑のサウンドは何十年聴いていても全く飽きませんね。
Posted by ez at 2008年07月29日 23:30
モータウンでの初めてのクレディット
ありがたいことです。
これ以降バックの人が浮かび上がって
来ましたから・・・
ただ顔が判明しなくて残念ですが。
タイコのエドグリーンの顔なんか
知ったのは2000年以降でした。
Posted by あばちゃん at 2010年05月28日 22:12
☆あばちゃんさん

ありがとうございます。

説明不要の名盤ですね。
このアルバムの持つ普遍的な魅力には驚かされるばかりです。
Posted by ez at 2010年05月29日 02:20
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