発表年:1966年
ez的ジャンル:先進的ポップ・ミュージックの指針
気分は... :懐かしく美しく虚しく...
今日から通常のエントリーに戻ります。
ということで、The Beach Boys『Pet Sounds』(1966年)っす。
The Beach Boys『Pet Sounds』と言えば、The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』と並び称されるポップ・ミュージックの金字塔アルバムですよね。
今日でも“Pet Sounds的”といった形容詞で語られる作品が後を絶たず、以前紹介したLushlife『West Sounds』のように、Hip-Hopアーティストからもマッシュアップの対象となるほどの影響力を持った作品ですよね。
ただ、個人的には、今まで何度もBeach Boysを紹介しようと思い、躊躇してきまシタ。
昔からBeach Boysを語るのって苦手なんだよね。同じ大物アーティストでもBeatles、Rolling Stones、Whoのようなテンションで語ることができない。なので、Beach Boysを紹介しても、かなり薄味なエントリーになってしまいそう?なんて思っていました。
別に、僕はBeach Boysがキライじゃないし、『Pet Sounds』だって20年以上愛聴している。でもよく考えると、“ある時期毎日Beach Boysばかり聴いていまシタ!”みたいな記憶はない。少なくともBeatles、Rolling Stones、Whoの場合はそうした経験があった。このあたりが躊躇の原因かも?
でも、今日は何故だかかBeach Boysを書きたくなった。
よ〜し、勢いで書くぞ!
『Pet Sounds』は、1964年末にコンサート活動から身を引き、レコーディングに専念したグループの中心人物Brian Wilsonが、その創作意欲を注ぎ込んで築き上げたポップ・ミュージックの玉手箱のようなアルバムだ。
Brian Wilsonは、本ブログでも取り上げたBeatlesの『Rubber Soul』に刺激を受けて、『Pet Sounds』制作に臨んだらしい。そう聞くと、『Rubber Soul』大好きの僕としては、このアルバムをより興味深く聴くことができる。
全体の仕上がりは、「Beach Boys=開放的なサマー・ソング」のイメージから大きくかけ離れた、懐かしく美しく虚しい響きに満ちた内省的なアルバムだ。前述のPet Sounds的という形容詞も“懐かしく美しく虚しく内省的なポップ・ミュージック”という意味で用いられているケースが多いのではと思いマス。とにかく聴いているうちに、ストレンジな空間にポツリと自分がいる感じだよねぇ〜☆
『Pet Sounds』というタイトルは、“犬にでも聴かせる音楽なんじゃない!”というメンバーの文句から決まったのだとか。
たまには部屋でペット状態になり、この内省ポップに耳を傾けながら、ストレンジな体験をしてみては?
オススメ曲を紹介しときやす。
「Wouldn't It Be Nice」
「素敵じゃないか」の邦題で知られるナンバー。シングルにもなり、全米チャート第8位まで上昇した。完璧なポップ・ソングってカンジだよね。ただし、この歌がBrianの妻 Marilynではなく、その姉Dianeへの思いを歌ったものらしい。こんな矛盾した思いを歌うこと自体が、このアルバムがそれまでのBeach Boysのアルバムと一線を画しているよね。こんないい曲いろんな人がカヴァーしているような気がするけど、僕は槇原敬之のカヴァーしか知りません。
「You Still Believe in Me」
イントロのピアノの響きがひねくれポップ好きにはたまらないよね。後半の美しいハーモニーや自転車のベルの音色も印象的だよね。聴いているうちに、幼少期にタイムスリップしていく気がする。Anne Sofie von Otter & Elvis Costelloがカヴァーしていますね。
「Don't Talk (Put Your Head on My Shoulder) 」
Brianのボーカルとオルガンの音色が実に虚しく響くナンバー。このアルバムならではのストレンジな世界に徐々に突入してきマス。
「I'm Waiting for the Day」
本作中Mike Loveが唯一作詞を担当しているナンバー。このアレンジとかBeatles『Sgt. Pepper's〜』に相当影響を与えたんじゃないかなぁ。この曲のエンディングを聴いていると、いつもBeatlesの「Hello Goodbye」のエンディングを思い出す。
「Sloop John B」
フォーク・ソングをBrianがアレンジしたものであり、アルバムに先駆けシングルとなり、全米第3位の大ヒットとなった。当初アルバムに収録される予定は無かったが、シングルヒットしたことから収録されることになった。みんなが抱くBeach Boysのイメージにぴったりのナンバー。ただし、それが逆にアルバムの中では違和感を感じる。
「God Only Knows」
このアルバムで一番の名曲かもね。まさに神のみぞ知っていた美しいナンバーって感じだね☆Paul McCartneyのフェイバリット・ソングとしても有名ですよね。その影響は「Penny Lane」あたりに反映されていますね。
Glen Campbell、Captain & Tennille、Olivia Newton-John、Neil Diamond、David Bowie、Manhattan Transfer、John Wetton、Holly Cole、Justin Haywardなどカヴァーも多数。
「I Know There's an Answer」
ヘンテコな世界を展開してくれるナンバー。Sonic Youthがカヴァーしているのが何とも意外ですよね。そのあたりもこのアルバムの凄さだよね。
「I Just Wasn't Made for These Times」
「駄目な僕」という邦題からして愛着がわく哀愁ポップ。疲れた大人の中には、この曲を聴いて癒される人も多いのでは?前向きで強い人間でいたいと思うけど、でも過去を振り返って、くよくよしたり、落ち込んだりすることだってあるよねぇ。男はつらいよ(;◇;)。。。
「Pet Sounds」
アルバム・タイトル曲はインスト。元々は「Run James Run」というタイトルだった。OO7のジェイムズ・ボンドを意識したタイトルだと思いマス。Beach Boysがインストなんて...と思わせるところがミソかもね?
「Caroline No」
この曲も名曲ですね。後にBrian名義でシングル・カットされまシタ。Brianのボーカル、ハープシコード、ヴァイブ、パーカッションなどシンプルながらも、繰り返し述べてきた懐かしく美しく虚しい世界を見事に表現している。踏切の遮断機音、列車の通過音、犬の鳴き声の効果音で終わるエンディングも不思議な余韻を残してくれる。
従来のBeach Boysのイメージを打ち破る作品だけど、それでも夏の終わり頃になると聴きたくなるから不思議だよね。
Beatlesの『Rubber Soul』に刺激を受けて制作された『Pet Sounds』だけど、『Pet Sounds』を聴いたBeatlesは『Sgt. Pepper's〜』の制作を決意した。ポップ・ミュージック好きにとっては何とも素晴らしい時代だよね。
それからコーラスハーモニーが好きかどうかにもよるのかな。フォアフレッシュメンなどのジャズコーラスがお手本になってますよね。
私は山下達郎とか大滝詠一があまり好きじゃないんだけど彼らの歌唱はなんとかしてほしい(ヒドイ)。作編曲だけやってて欲しいと昔から思ってます。
彼らが大好きなアーティストビーチボーイズという意味でちょっと悪影響があるかもしれませんね。悲しいなァ。
ビーチボーイズは個人的には大好きで1曲目と最初のインスト曲が特に好きデスネ。
ありがとうございます。
僕は山下達郎の歌大好きですよ。大滝詠一も音頭系(笑)以外は結構好きです。
まぁ好みの問題ですね。
Beach Boysは、僕の聴き方が60年代後半の作品を中心にかなり偏っている気がするので、そのうちもっと掘り下げてみたいですね。
ちょっと甘ったるいかもしれませんが、たまにはパフェやサンデーもいいですよ。
ブライアンウイルソン本格復帰後の『ペットサウンズライブ』や『スマイル』も必聴盤。
ありがとうございます。
『Sunflower』は一番聴いてみたいアルバムですね。ライブ・バンドとししての彼らの魅力も体験できていないので、ご推薦の『In Consert』はいいかもしれませんね。『Smile』は、今の僕の音楽嗜好の考えると、聴かずに永遠に幻のアルバムにしておいた方が幸せな気がします(笑)