発表年:1974年
ez的ジャンル:レゲエ&レイドバック系ロック
気分は... :オープン・マインド☆
今回はEric Claptonのソロ作品の中で一番のお気に入り『461 Ocean Boulevard』(1974年)っす。
これまでCreamやDerek & The Dominosは取り上げてきたけど、Claptonのソロ作の紹介ははじめてですね。
現在でも精力的な活動を続け、絶大な人気を誇るロック・ギタリストの“Slowhand”ことClaptonだが、やっぱり60〜70年代の作品に特別に思い入れがあるよね。
Cream、Blind Faith、Derek & The Dominosあたりのアルバムのインパクトの大きさと比較すると、どうしても薄味な印象がするClaptonのソロ作品だが、それでも70年代のソロ作は今聴いてもなかなかシブイ味わいがある。
僕がリアルタイムでClaptonの新譜を購入したのは『Money & Cigarettes』(1983年)が最後だったかなぁ。『Behind The Sun』(1985年)以降は僕の好きだったClaptonになかなか出会えず、「Tears In Heaven」聴きたさに購入した『Unplugged』(1992年)を除けば、殆ど興味が湧かず聴いていない。
そんなClaptonのソロ活動の中でダントツで好きな作品が『461 Ocean Boulevard』(1974年)デス。
以前のエントリーでも書いたけど、Cream『Disraeli Gears』(1967年)、Derek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』(1970年)、『461 Ocean Boulevard』(1974年)の3枚がClapton作品のマイ・ベスト3っす。
1971年夏にメンバー間の意見の食い違いからDerek & The Dominosを解散させ、同じ年の10月には『Layla 〜』にも参加していた親友Duane Allmanが事故死し、失意のどん底にあったClaptonはヘロイン中毒に陥り、1972年は殆ど活動休止状態だった。
これを見かねたThe WhoのPete Townshendが音頭をとり、Steve Winwood、Ron Wood、Jim Capaldiらのメンバー集まり、1973年1月にClaptonをサポートするコンサートがロンドンのレインボウ・シアターで行われた。これを収録したライブ盤が『Eric Clapton's Rainbow Concert』(1973年)である。
そして、アメリカのマイアミに渡り録音されたシーンへの復帰作が本作『461 Ocean Boulevard』である。アルバム・タイトルは録音スタジオの住所そのまんまだ。
プロデューサーはTom Dowd。やっぱり彼とClaptonの相性はバッチリだと思うね!
ここでのClaptonはジャケ写真そのままにマイアミの土地柄のように、実に開放的でゆったり、のんびり、リラックスした雰囲気である。
本作からシングルカットされたBob Marley & The Wailersのカヴァー作品「I Shot the Sheriff」が見事全米チャートNo1になり、新生Claptonを印象づけた。
レゲエという当時は殆ど知られていなかった音楽スタイルを取り入れたという点だけでも、このアルバムのアプローチは斬新ではなかったのではと思う。
同時に、Derek & The Dominos時代から進めてきたアメリカ南部の音楽へのアプローチを“レイド・バック”というスタイルに結実させているのも本作の特徴だと思う。
この“レイド・バック”感覚こそが、僕が好きなClaptonなんだよね。
夏になってから、“ゆる〜く”とか“ダラダラ”という表現を使うことが多いが、この作品もそんな言葉がピッタリだね。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Motherless Children」
Clapton復活!の狼煙を上げるかのような軽快なオープニング・ナンバー。忙しないカンジのリズム隊も大好きだね。何より、Claptonのスライドが唸りまくっているのがウレシイ限りっす。
「Give Me Strength」
レイドバックしたギターが何とも味わい深いアコースティック・ナンバー。ゴスペル的な雰囲気もとっても好きだなぁ。
「Willie and the Hand Jive」
「I Shot the Sheriff」に続く2ndシングル。ブルース/R&BのパイオニアJohnny Otisの作品をレゲエ・アレンジでカヴァーするといった何ともニクイ演出の1曲。レイドバック的な感覚もあって、「I Shot the Sheriff」なんかよりもClaptonらしいレゲエ・アプローチかもしれないね。
「Get Ready」
これもレゲエ・ナンバー。ClaptonとYvonne Ellimanの共作。個人的には「I Shot the Sheriff」よりもコッチの方が好き。僕がこのアルバムが好きな大きな要素の1つにYvonne Ellimanのボーカルがある。彼女のソウルフルなボーカル・スタイルがClaptonのボーカルにも好影響を与えていると思うな。
「I Shot the Sheriff」
前述の全米No1に輝いたBob Marley & The Wailersの代表曲。このNo1ヒットは、単にClaptonの復活に止まらず、レゲエという音楽を多くの音楽ファンに知らしめたという意味で、Bob Marleyやレゲエ全体にとっても大きな転機になった作品だと思う。やっぱりここでもYvonneの好サポートが素晴らしいですな。
「Please Be With Me」
実はClaptonのソロ作品の中で一番好きな曲。オリジナルはCowboyというグループの曲っす。アコースティック・ギターの弾き語りでしみじみ歌われるClaptonの声を聴いていると何とも心が安らぐなぁ。
学生の頃の僕にとって、この曲はBoz Scaggs「We're All Alone」、Billy Joel「Just the Way You Are」あたりと同格のマイ・クラシックだった。僕のこの曲への思い入れをわかっていただけるでしょうか?
この曲とDerek & The Dominos「Thorn Tree In The Garden」をセットで聴くのが僕のお気に入りパターンっす。
「Let It Grow」
アルバムの中のこの曲が一番スキ!という人は結構多いんじゃないかなぁ。この美しく、荘厳なカンジは名曲の雰囲気たっぷりだよね。この曲を聴いていると、何故かLed Zeppelin「Stairway to Heaven」が聴きたくなる?
「Steady Rollin' Man」
Claptonの永遠のアイドルである伝説のデルタ・ブルースマンRobert Johnsonのカヴァー。リラックスしたレイドバック・スタイルの演奏が実にClaptonらしくて好きだなぁ。
「Mainline Florida」
セカンド・ギタリストとして参加のGeorge Terryのナンバー。ご機嫌でコクのあるロック・ナンバーに仕上がっていマス。
本作以外のソロ作品であれば、先日の『動物ジャケット集めてみましたぁ!』でも紹介した『There's One in Every Crowd』(1975年)、Bob Dylanも参加した『No Reason To Cry』(1976年)、名曲「Wonderful Tonight」収録の『Slowhand』(1977年)、『Another Ticket』(1981年)あたりをよく聴きマス。