発表年:2011年
ez的ジャンル:ナポリ発ブラジリアン・グルーヴ
気分は... :今僕が聴きたいのはこんな音・・・
今回は今月の僕のiPodヘビ・ロテになっているブラジリアン・アルバムBanda Brasileira『Radio Bossa』です。
先月紹介したTamy『Tamy』、ブログでは未紹介のPauline London『Under The Rainbow』、そして今日紹介するBanda Brasileira『Radio Bossa』、最近この新作3枚をセットで繰り返し聴くことが多いです。今の僕の音楽嗜好がこの3枚に集約されているのかもしれません。
いずれもキュートな女性ヴォーカルを楽しめるメロウ・アルバムですが、3枚共にAmazon.co.jpでの扱いはなく、Tamy『Tamy』はAmazon.comのみ、Banda Brasileira『Radio Bossa』はAmazon.co.ukのみの扱いであり、Pauline London『Under The Rainbow』に至っては全く扱われていません。これらの素晴らしい新作が入手しづらいというのは残念な状況ですね。
Banda Brasileiraは、ナポリを拠点に活躍するプロデューサーCarlo Gentilettiが中心となってブラジリアン・サウンド・プロジェクト。彼のもとへナポリとブラジルのミュージシャンが結集し、制作されたアルバムが『Radio Bossa』です。
内容としては、皆さんご存知のロック、ソウル、ダンス名曲等をメロウ&アコースティックなボサノヴァ/ブラジリアン・カヴァーで聴かせてくれます。マイナーな楽曲のカヴァーも数曲含まれますが・・・
キュートな女性シンガーMichela Montaltoのヴォーカルを中心に、素晴らしいアレンジのブラジリアン・サウンドを聴かせてくれます。オリジナルの魅力を上手く受け継いだカヴァーもあれば、オリジナルとは全く異なる魅力で聴かせてくれるカヴァーもあり、いろいろな楽しみ方を満喫できます。
単なる名曲カヴァー集と侮る無かれ!
こんなに素敵な新作アルバムは年間に何枚もありませんよ!
全曲紹介しときやす。
「Smooth Operator」
オープニングはSadeのヒット曲。オリジナルのジャジー&レイジーな雰囲気を受け継ぎつつ、サンバのリズムの心地好さを美味くプラスしています。Michela Montaltoのセクシー・ヴォーカルが見事にハマっています。
「Cosmic Girl」
Jamiroquaiのヒット曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Travelling Without Moving』(1996年)に収録されています。オリジナルはディスコ・ジャズ・ファンクといった雰囲気でしたが、ここではラテン調のピアノが軽快に響くナイス・カヴァーで聴かせてくれます。Matt Bianco好きの人ならば気に入るはず!
「Stars」
Simply Redの名曲をカヴァー(Mick Hucknall作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Stars』(1991年)に収録されています。オリジナルが大好きなので、このカヴァーは嬉しい限りです。アルバムの中で一番ロマンティックなメロウ・ボッサに仕上がっています。
「Hot Stuff」
Donna Summerによる大ヒット・ダンス・クラシックをカヴァー。ディスコ・チューンが見事なブラジリアン・グルーヴに生まれ変わっています。ヴァイヴの響きがいいアクセントになっています。
「Streetlife」
Crusadersの人気曲をカヴァー。Randy Crawfordのヴォーカルをフィーチャーしたオリジナルは当ブログでも紹介した『Street Life』(1979年)に収録されています。オリジナルのアーバン・ナイトなサウンドもグッドですが、ここではサニー・サイドなサウンドで楽しませてくれます。
「Where The Streets Have No Mame」
U2の大ヒット曲をカヴァー。収録曲の中でも一番オリジナルとギャップを感じるナイス・カヴァーです。正直、オリジナルは今聴くと少し野暮ったく感じるのですが、その曲がこんなに魅力的なメロウ・ボッサに生まれ変わるとは驚きです。お見事!
「I Heard It Through the Grapevine」
Marvin Gaye、Gladys Knight & the Pipsの大ヒットで知られる名曲「悲しいうわさ」(Norman Whitfield/Barrett Strong作)をカヴァー。当ブログではRoger、Marisa Monteのヴァージョンも紹介しました。この曲の持つ哀愁ソウルな雰囲気を損なわないボッサ・チューンに仕上げているのがいいですね。
「Walking On The Sun」
意外な選曲その1。Smash Mouthの1997年のヒット曲をカヴァー。オリジナルはB級ダンス・チューンでしたが、ここでは躍動するジャズ・サンバ・チューンとして聴かせてくれます。オリジナルを知らなくても十分楽しめます。
「Tom's Diner」
CM等でもお馴染み、Suzanne Vegaの名曲をカヴァー。こうして聴くとブラジリアン・サウンドが似合う曲だったんですね。
「Love Show」
意外な選曲その2。UKのクラブ・ユニットMorcheebaの女性ヴォーカリストSkye Edwardが2005年にリリースしたソロ・アルバム『Mind How You Go』からのシングル曲をカヴァー。ラウンジ・テイストのアレンジがいいですね。マリンバがいいアクセントになっています。
「Jamming」
Bob Marley & The Wailersのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Exodus』(1977年)に収録されています。ボッサ・モードで聴くBob Marleyソングも悪くありません。
「Nothing Compare 2 U」
Sinead O'Connorが大ヒットさせたPrince殿下作品。元々は近寄り難いムードを持った曲ですが、ソフト&エレガントな演奏で聴かせてくれます。
「Penso Positivo」
意外な選曲その3。イタリア人ラッパーJovanotti、1994年のヒット曲をカヴァー。日本人には一番馴染みが薄い曲かもしれませんね。アルバムの中でも一番躍動感のあるバトゥカーダ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=KYHKDH4IWqI
「Falsa Baiana」
ラストはGeraldo Pereira作の古典サンバ。ブラジル音楽ファンにはJoao GilbertoやRoberta Saのカヴァーでお馴染みかもしれません。ラストはキュート&メロウなボッサ・チューンで締め括ってくれます。
センス抜群ですが、実に自然体な感じにグッとくる1枚です。
オリジナルと比べながら聴くのも楽しいと思います。