発表年:1971年
ez的ジャンル:ソフト&グルーヴィー系ブラジリアン
気分は... :あのR&Bのカリスマではありません。
今回はブラジルの謎のグループD'Angelo唯一のアルバム『D'angelo』(1971年)です。
D'Angeloと言っても、『Brown Sugar』、『Voodoo』等でお馴染みのR&BのカリスマD'Angeloとは異なるアーティストですのでお間違いなく(笑)
今回紹介するブラジルのD'Angeloについては、正直全く情報がありません。
多分、ジャケに写っている9人組グループだと思いますが、ライナーノーツを読むとソロ・アーティストのような解釈もできる書き方になっています。
いずれにしても本作『D'angelo』(1971年)が唯一のアルバムのようです。
僕が保有するCDには"セルメン・クローンの決定盤"という謳い文句が添えられており、ジャケを見る限りでもセルメン・クローンというイメージですが、実際に聴いてみると異なる印象を受けました。
確かに、キュートな女性コーラス(厳密には混声コーラスですが)を配したソフトなブラジリアン・サウンドというではセルメン・フォロワーかもしれませんが、サイケでグルーヴィーなオルガン・サウンドが強調されており、そのあたりでセルメンとは少し方向が異なります。
全10曲中5曲がブラジリアン・ソウルの大物アーティストTim Maiaの1stアルバム『Tim Maia』(1970年)の収録曲で占められています。具体的には「Corone Antonio Bento」、「Padre Cícero」、「Cristina」、「Primavera」、「Azul da Cor do Mar」の5曲です。
それ以外にAntonio Adolfo、Ivan Lins、Jorge Benなどの作品を取り上げています。
B級感の漂うアルバムですが、サイケ&グルーヴィーなブラジリアン・サウンドの珍味として楽しめると思います(なんじゃ、そりゃ?)。
全曲紹介しときやす。
「Corone Antonio Bento」
Luis Wanderley/Joao do Vale作。オープニングはサイケ&グルーヴィーなバランソ・チューン。キンキーなビート感とお色気女性コーラスがいい感じです。
「Padre Cícero」
Tim Maia/Cassiano作。ソフト・サイケな仕上がりが印象的です。60年代後半のブラジリアン・サイケがお好きな人であればグッとくるのでは?
「Curto de Veu e Grinalda」
Moraes Moreira/Galvao作。本作のハイライトと言えば、このソフトロック調のバランソ・チューンになるのでは?オリジナルはOs Novos Baianosです。ここではキュートな女性ヴォーカルとグルーヴィーなオルガン・サウンドがサイコーです。
「BR-3」
Antonio Adolfo/Tiberio Gaspar作。ブラジルのソウル・キングToni Tornadoのヴァージョンでお馴染みの楽曲です。ここではインストで聴かせてくれます。少し切ない前半と開放的な後半のコントラストが印象的です。
「Agora」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。Ivan Lins作品のカヴァーです。ドラマチック&メロウなクロスオーヴァー・サウンドがグッド!
「Eu Tambem Quero Mocoto」
Jorge Ben作。僕の一番のお気に入り。Archie Bell & The Drells「Tighen Up」ライクなファンキー・リズムとハッピー・フィーリングなヴォーカルがグッド!
「Cristina」
Carlos Imperial/Tim Maia作。ピースフル・コーラスとファンキーなオルガン・サウンドにグッときます。
「Primavera」
Cassiano/Silvio Rochael作。メロウ・サウンドとビューティフルな女性コーラスが印象的なムーディー・チューン。
「Procurando Tu」
Antonio Barros/J. Luna作。どこか切ないオルガン・サウンドにグッとくる哀愁グルーヴ。
「Azul da Cor do Mar」
Tim Maia作。感動的な演奏が胸に迫ります。
全く関係ありませんが、R&BのカリスマD'Angeloの過去記事もどうぞ(笑)
D'Angelo『Brown Sugar』(1995年)
D'Angelo『Live At The Jazz Cafe, London』(1996年)
D'Angelo『Voodoo』(2000年)