発表年:2006年
ez的ジャンル:Hip-Hop界の救世主
気分は... :とっ散らかった状態ですが・・・
今週は火曜〜木曜の3日間で仕事の区切りをつけなければならないので何か慌しいですね。
こういう時に限って、対外調整することが多かったりするし(泣)
まぁ、いざとなれば開き直るしかありませんが・・・
今回は人気ラッパーLupe Fiascoのデビュー・アルバム『Lupe Fiasco's Food & Liquor』(2006年)です。
Lupe Fiascoの紹介は、2nd『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)、最新作となる3rd『Lasers』(2011年)に続き3回目となります。
2nd『Lupe Fiasco's The Cool』、3rd『Lasers』も素晴らしい作品ですが、デビュー作の『Lupe Fiasco's Food & Liquor』(2006年)の鮮烈な印象は格別ですね。
『Lupe Fiasco's Food & Liquor』はポップ・アルバム・チャート第8位、R&B/Hip-Hopアルバム・チャート第2位という成功を収め、2007年のグラミー賞のBest Rap Song、Best Rap Solo Performance、Best Rap Albumの3部門にノミネートされ、2008年のグラミー賞でもBest Urban/Alternative Performanceにノミネートされています。
その意味で、この1stのみ未紹介にあっていたのが気になっていたので今回取り上げました。今年に入ってHip-Hop作品の紹介も少ないですし・・・
新人ラッパーのデビュー作にも関わらず、Jay-Zがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、Kanye West、The Neptunesがプロデューサーに名を連ねるというだけでもLupeの大物ぶりが窺えましたよね。
僕の場合、Hip-Hopに関してはアングラなジャジーHip-Hopを好み、メジャーな人気アーティストの作品でも全く耳が受け付けないこともあるので、作品を聴くまでは半信半疑だったところもあります。
しかし、実際に本作を聴いてみて大物アーティストたちが絶賛する才能の持ち主であることを実感できました。普段着モードの自然体な雰囲気に好感が持てました。シリアスでダークな曲も、軽やかでキャッチーな曲も全てLupeらしく仕上がっているのがいいですね。90年代Hip-Hop好きの人が聴いてもスンナリ聴くことができる気がします。メジャーなHip-Hopアーティストの作品で、こうした印象を受けることは少ないのですが・・・
シングルにもなった「Kick, Push」、「I Gotcha」、「Daydreamin'」をはじめ、印象的な楽曲が多く収録されています。「Kick, Push」、「Daydreamin'」はグラミーにもノミネートされました。
改めて、Hip-Hop界の救世主のデビュー作を満喫したいと思います。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
アルバムのイントロ。
「Real」
Sarah Greenをフィーチャー。Harvey Mason「How Does It Feel」のネタのロッキンなトラックがリアルな緊張感を感じさせます。Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=8iRkItVrRPc
「Just Might Be OK」
Geminiをフィーチャー。Paul Humphrey「Humphrey's Overture」ネタのドラマチック&パワフルなトラックがグッド!そんな壮大なトラックをバックに、♪俺達は大丈夫!今日は太陽が輝いている!と力強いメッセージが歌われます。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=DrePDWn-JqI
「Kick, Push」
アルバムからの1stシングル。49回グラミーのBest Rap Solo Performance、Best Rap Songにもノミネートされました。Celeste Legaspi「Magtaksil Man Ikaw (Bolero Medley)」ネタの哀愁トラックにのって、♪キック!プッシュ!♪キック!プッシュ!♪キック!プッシュ!♪と歌われるスケーター・アンセムです。Lupe Fiascoらしい1曲なのでは?Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=_5ZiB3HDuBE
「I Gotcha」
The Neptunesプロデュース。Pharrellをフィーチャー。アルバムからの2nシングルです。印象的にはピアノのループとLupeのキャッチーなフロウは、De La Soul、A Tribe Called Questあたりに通じる魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=64EwEc96Y24&ob=av2e
「The Instrumental」
Linkin ParkのMike Shinodaプロデュース。Far、New End Original、Gratitudeといったバンドでの活動でも知られるSSWのJonah Matrangaをフィーチャー。彼のバンドFar「Nestle」ネタの哀愁メロディが切なく響きます。奴は決して嘘をつかない・・・
http://www.youtube.com/watch?v=dsZUSP1p20s
「He Say She Say」
Gemini & Sarah Greenをフィーチャー。Burt Bacharach「The Last One to Be Loved」ネタの美しくも切ないメロディのトラックをバックに母親と息子の葛藤が歌われます。Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=byV0GUg7w4U
「Sunshine」
Soundtrakkプロデュース。♪君は俺のサンシャイン♪君は俺のムーンライト♪と死ぬほどフレッシュな彼女を口説きます!Diana Ross「Friend to Friend」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=ecAR_zVAvUE
「Daydreamin'」
Jill Scottをフィーチャー。アルバムからの3rdシングルであり、50回グラミーのBest Urban/Alternative Performanceにもノミネートされました。The Gunter Kallmann Chorus「Daydream」ネタの哀愁トラックとJill Scottの白日夢のような儚いヴォーカルの組み合わせはPortisheadを思い起こすところもあります。Lupeの哀愁フロウも印象的です。Craig Kallmanプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=0GQjYPWDcmg&ob=av2e
「The Cool」
Kanye Westプロデュース。Dexter Wansel「Life on Mars」のシンセ・ネタ、James Brown「Funky Drummer」のリズムにのって、人生の儚さを哀愁ラップで嘆きます。
http://www.youtube.com/watch?v=7pqFu4Mk4G8
「Hurt Me Soul」
Sawyer Needlzプロデュース。Cecil Holmesのスウィート・ソウル「Stay With Me」をループさせたメロウ・トラックがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=EI6iZJOntY8
「Pressure」
Jay-Zをフィーチャーした話題曲。Thelma Houston「Pressure Cooker」をサンプリングした、ロッキン・トラックが印象的です。まさにプレッシャーなトラックです(笑)。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=eUTvAJiXwFM
「American Terrorist」
白人SSWのMatthew Santosをフィーチャー。 Matthew Santosは2nd『Lupe Fiasco's The Cool』からのヒット・シングル「Superstar」での共演でお馴染みですね。タイトルからも想像できるように、9.11絡みの痛烈なリリックをReturn to Forever「The Romantic Warrior」ネタのトラックにのせて叩きつけます。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=HTULR-WS5Yw
「The Emperor's Soundtrack」
Soundtrakkプロデュース。 UFO「Between the Walls」をサンプリングしたダークなトラックをバックに、Lupeのダークなリリックがズッシリときます。
http://www.youtube.com/watch?v=6t_Y6-qYp3c
「Kick, Push II」
「Kick, Push」のパート2。こちらはよりダークな仕上がりです。Brandon Howardプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=IBLZtFK2D7c
「Outro」
アルバムのアウトロ。
僕の保有する国内盤には「Tilted」がボーナス・トラックとして収録されています。
2nd『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)、3rd『Lasers』(2011年)の過去記事もご参照下さい。
『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)
『Lasers』(2011年)