発表年:2002年
ez的ジャンル:ターンテーブル系クール・ジャズ
気分は... :クールな世界・・・
今回は"現代のChet Baker"と呼ばれる、ドイツ人イケメン・ジャズ・トランペッターTill Bronnerが2002年にリリースした『Blue Eyed Soul』です。
Till Bronnerは1971年ドイツ、フィーアゼン生まれのジャズ・トランペット奏者。
ドイツ生まれながら、育ったのはイタリアのローマでした。
音楽一家に生まれたTillは9歳からトランペットを吹き始め、クラシックやジャズを演奏するようになります。
21歳の時にはベルリンを拠点に活動するHorst Jankowskiのビッグバンド・メンバーになります。1993年にはRay Brownらをゲストに迎えた初リーダー・アルバム『Generations of Jazz』をリリースします。3rdアルバム『German Songs』(1996年)では、トランペットのみならずヴォーカルも披露しています。
1998年にはメジャー第一弾アルバム『Love』をリリースし、ワールドワイドで彼の名が知られるようになります。2000年にはChet Bakerへのトリビュート作品『Chattin with Chet』をリリースし、"現代のChet Baker"と呼ばれるようになります。
2001年には映画『Jazz Seen(邦題:カメラが聴いたジャズ)』のサントラを手掛け、2002年にはファンクやターンテーブル・サウンドも取り入れた意欲作『Blue Eyed Soul』をリリース。ジャズ・ファンに止まらない支持を獲得しました。また、ブラジル人ミュージシャンをゲストに迎え、ボサノヴァへアプローチしたアルバム『Rio』(2008年)もリリースしています。
このように、さまざまなミュージシャンとの交流を深め、音楽の幅を広げながらコンスタントに作品をリリースし、人気ジャズ・トランペッターの地位を不動のものとしています。
当ブログで紹介した言えば、クラブジャズ界のマイスターNicola Conteの『Other Directions』(2004年)、『Rituals』(2008年)、『Love & Revolution』(2011年)といった作品にTill Bronnerが参加しています。
先日、WOWOWの人気音楽番組『Jazz File』でTill Bronnerの2008年スイス、バーゼルでのライブを放送していました。映像で観ると余計に格好良いですね。
今日紹介する『Blue Eyed Soul』は、ファンクやターンテーブル・サウンドを取り入れた作品です。スクラッチ音などが入っていることに正統派ジャズ・ファンは違和感を感じるかもしれませんね。その意味ではジャズ・ファン以上にクラブ世代向けのジャズ作品と言えるでしょう。
Billy Joelの名曲「Just The Way You Are」のカヴァーや、人気男性ジャズ・ヴォーカリストMark Murphyが参加した曲もあります。
本作最大の特徴であるターンテーブル・サウンドの導入において大きな役割を果たしているのが、Till Bronnerと共に共同プロデュースを務めるのがSamon Kawamura。ベルリンを拠点とする日系ドイツ人のビートメイカー/ターンテーブリストです。当ブログで紹介した言えば、Joy Denalane『Born & Raised』(2006年)に参加しています。
ジャジーHip-Hopやネオ・ソウルのジャジー・グルーヴ好きの人が聴くとグッとくる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
トランペット・ソロによるアルバムのイントロ。
「Track One」
ジャジーなHip-HopビートにTillのミュート・トランペットが絡みます。ここにはMiles Davisのようなクールネスがあります。
「Diavolo」
ネオ・ソウル的なジャジー・グルーヴ感にグッとくる仕上がり。キーボード・サウンドがいい感じの浮遊する音空間をTillのミュートが駆け巡ります。
「Blue Eyed Soul」
タイトル曲は、Samon Kawamuraの巧みなトラックと擦りを満喫できる仕上がり。ジャジーHip-Hopファンは存分に楽しめると思います。
「No Fusion Generation」
GuruのJazzmatazzあたりを思い出すジャジー・グルーヴ。浮遊するグルーヴとクールなジャズ・サウンドの相性は抜群えす。
「42nd & 6th」
アルバムの中では比較的オーソドックスな演奏かもしれません。
アルバム音源が無かったので、2009年のライブ音源を!
http://www.youtube.com/watch?v=HlGA5u65tX0
「Tub Of Love」
Mark Murphy作品。"現代のChet Baker"と称されるTillがChetばりのその甘く中性的なヴォーカルを聴かせてくれます。
「Just The Way You Are」
Billy Joelの名曲「素顔のままで」のインスト・カヴァー。ここでのTillは激シブのフリューゲルホーンを聴かせてくれます。
「Love Somebody」
クラビネット入りファンク・サウンド。パーカッシヴなリズムも僕好み。雰囲気的にはエレクトリック・マイルス+ターンテーブルといったサウンドです。
「Trash (Interlude)」
インタールード。
「Jazz Muician」
21世紀らしいクール・ジャズ。アコースティック・ベースとターンテーブルが違和感なくリズムを刻みます。
「Oscar Said」
David Friedmanのヴァイヴをフィーチャー。Tillのトランペット、浮遊するリズム、スクラッチ音、ヴァイヴの響きが相俟ってクールな大人のミッドナイトを演出してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=luReIHsqINo
「Reverand Henry (Interlude)」
インタールード。
「Dim The Lights」
Mark Murphyがヴォーカルで参加。楽曲Mark Murphyのものです。Murphyがシブい枯れたヴォーカルを聴かせてくれます。
「Banizm (Outro)」
アウトロ。
他のTill Bronner作品もチェックを!
『Generations of Jazz』(1993年)
『My Secret Love』(1995年)
『German Songs』(1996年)
『Midnight』(1997年)
『Love』(1998年)
『Chattin with Chet』(2000年)
『Jazz Seen』(2001年)
『That Summer』(2004年)
『Oceana』(2006年)
『Rio』(2008年)
『At The End Of The Day』(2010年)