2011年10月07日

Miles Davis『Dark Magus』

最も狂暴なエレクトリック・マイルスを聴けるライブ作品☆Miles Davis『Dark Magus』
ダーク・メイガス
録音年:1974年
ez的ジャンル:暗黒グルーヴ系エレクトリック・マイルス
気分は... :内なる声に従って生きよ!

久々に帝王Miles Davisです。
当ブログ最多登場のMilesですが、今年1度も紹介していないことに気付き、慌てて取り上げた次第です。

これまで紹介してきたMiles作品は以下の14枚(録音年順)♪

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『E.S.P.』(1965年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)

15枚目に紹介するのは、1974年3月30日のN.Y.カーネギー・ホール・コンサートを収録したライブ作品『Dark Magus』です。

オリジナルLPは1977年に日本のみでリリースされていました。

メンバーは、Miles Davis(tp、org)以下、Dave Liebman(ts、ss、fl)、Azar Lawrence(ts)、Pete Cosey(g、syn)、Reggie Lucas(g)、Dominique Gaumont(g)、Michael Henderson(b)、Al Foster(ds)、James Mtume(per)という布陣です。

このうち、Azar Lawrence、Dominique Gaumontの2人は、オーディションを兼ねてライブ当日に急遽メンバーに入り、ぶっつけ本番で演奏に臨んでいます。そんな緊張感や戸惑いが演奏に独特の空気を与えています。結果として、Lawrenceはオーディション不合格、Gaumontは合格となりました。

オリジナルはLP2枚組であり、各面に「Moja」「Wili」「Tatu」「Nne」というタイトルが付けられていますが、プロデューサーTeo MaceroがLPサイズに編集したものです。

この時期のMilesのライヴと言えば、エレクトリック・マイルス最終章となった1975年2月1日の大阪公演を収めた『Agharta』および『Pangaea』の2枚が決定盤だと思いますが、それら2枚とセットで聴くべきライブ作品が『Dark Magus』だと位置づけられると思います。

『Agharta』『Pangaea』ほどの完成度はありませんが、最も狂暴でへヴィーなエレクトリック・マイルスを堪能することができます。

難を言えば、オーディション不合格だったAzar Lawrenceのプレイが邪魔ですね。ライナーノーツには「場に緊張を与える異物として機能している」と書いてありますが、僕には余計なものとしか聴こえてきません。まぁ、そのあたりも含めて面白い作品なのかもしれませんが・・・

狂暴な暗黒グルーヴで突っ走るエレクトリック・マイルスを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Moja (Part1) 」
本作を支配する暗黒のグルーヴを象徴するオープニング。「Turnaroundprase」という曲名も付けられています。Al FosterのドラムとReggie Lucasのギター、Mtumeのパーカッションが狂暴に疾走してスタートします。この暗黒グルーヴをバックに、Milesのトランペットが狂ったように駆け巡ります。終盤にはPete Coseyのギターが盛り上げてくれます。このインパクト大のオープニングで本作の虜になってしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZQ0XnzgIgdY
http://www.youtube.com/watch?v=eLlqGB5LRXQ

「Moja (Part2) 」
「Tune In 5」という曲名も付けられています。Part2でも暗黒のリズムが狂暴に鳴り続けます。Dave Liebmanのサックスも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=uRVo_2C7FHE
http://www.youtube.com/watch?v=DFrgZ3-8xLo

「Wili (Part1) 」
ここでも黒くウネりまくるグルーヴが支配します。ここでもMilesのテンションの高いフレーズがブラックホールのように全てを飲み込んでしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=8NnY5oX0Yf8

「Wili (Part2) 」
「For Dave」という曲名も付けられています。タイトルからして主役はDave Liebmanなのかもしれません。不気味なオルガンに続き、前半はLiebmaのプレイを満喫できます。後半はMilesのトランペットが登場し、コズミックな音世界を展開します。

「Tatu (Part1) 」
『Agharta』収録の「Prelude」と同じ曲です。『Agharta』ヴァージョンと比べると、少しテンポが遅いですね。それでも、このリズムを聴くと体中からアドレナリンが噴出してきます。前半はReggie Lucas→Dominique Gaumont→Pete Coseyの順で3人のギタリストのプレイを楽しむことができます。ただし、後半はAzar Lawrenceのサックスが雰囲気をぶち壊してしまいます(すかさずLiebmanのフォローが入るのが面白いですが)。これではオーディション不合格なのがわかりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=zioYzbmWrDE
http://www.youtube.com/watch?v=r6f5YnqTmxs

「Tatu (Part2) 」
『Get Up With It』で「Calypso Frelimo」の曲名で録音された曲です。やはり、暗黒のオルガン・フレーズが印象的な曲ですね。狂暴なエレクトリック・マイルスを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=c6IHMDXT9S4

「Nne (Part1) 」
「Ife」という曲名も付けられています。リズムボックスをバックにした前半はLiebmanのサックス、混沌とした展開となる後半はMilesのトランペットが楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=VfLvpp0FZhE

「Nne (Part2) 」
再びオープニングの「Turnaroundprase」のリズムが唸りを上げます。しかし、Azar Lawrenceのサックスが入ると興醒めが・・・それでも持ち直して、最期はJames Mtumeのパーカッションが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ks4VpgU9Sa0

エレクトリック・マイルス作品の過去記事もご参照下さい。

『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
Filles de Kilimanjaro

『In A Silent Way』(1969年)
In a Silent Way (Dlx)

『On The Corner』(1972年)
Blu-spec CD オン・ザ・コーナー

『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
ゲット・アップ・ウィズ・イット

『Agharta』(1975年)
Agharta
posted by ez at 03:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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