録音年:1974年
ez的ジャンル:暗黒グルーヴ系エレクトリック・マイルス
気分は... :内なる声に従って生きよ!
久々に帝王Miles Davisです。
当ブログ最多登場のMilesですが、今年1度も紹介していないことに気付き、慌てて取り上げた次第です。
これまで紹介してきたMiles作品は以下の14枚(録音年順)♪
『Bag's Groove』(1954年)
『'Round About Midnight』(1955、56年)
『Cookin'』(1956年)
『Miles Ahead』(1957年)
『Milestones』(1958年)
『Someday My Prince Will Come』(1961年)
『E.S.P.』(1965年)
『Miles Smiles』(1966年)
『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
『In A Silent Way』(1969年)
『On The Corner』(1972年)
『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
『Agharta』(1975年)
『The Man With The Horn』(1981年)
15枚目に紹介するのは、1974年3月30日のN.Y.カーネギー・ホール・コンサートを収録したライブ作品『Dark Magus』です。
オリジナルLPは1977年に日本のみでリリースされていました。
メンバーは、Miles Davis(tp、org)以下、Dave Liebman(ts、ss、fl)、Azar Lawrence(ts)、Pete Cosey(g、syn)、Reggie Lucas(g)、Dominique Gaumont(g)、Michael Henderson(b)、Al Foster(ds)、James Mtume(per)という布陣です。
このうち、Azar Lawrence、Dominique Gaumontの2人は、オーディションを兼ねてライブ当日に急遽メンバーに入り、ぶっつけ本番で演奏に臨んでいます。そんな緊張感や戸惑いが演奏に独特の空気を与えています。結果として、Lawrenceはオーディション不合格、Gaumontは合格となりました。
オリジナルはLP2枚組であり、各面に「Moja」、「Wili」、「Tatu」、「Nne」というタイトルが付けられていますが、プロデューサーTeo MaceroがLPサイズに編集したものです。
この時期のMilesのライヴと言えば、エレクトリック・マイルス最終章となった1975年2月1日の大阪公演を収めた『Agharta』および『Pangaea』の2枚が決定盤だと思いますが、それら2枚とセットで聴くべきライブ作品が『Dark Magus』だと位置づけられると思います。
『Agharta』、『Pangaea』ほどの完成度はありませんが、最も狂暴でへヴィーなエレクトリック・マイルスを堪能することができます。
難を言えば、オーディション不合格だったAzar Lawrenceのプレイが邪魔ですね。ライナーノーツには「場に緊張を与える異物として機能している」と書いてありますが、僕には余計なものとしか聴こえてきません。まぁ、そのあたりも含めて面白い作品なのかもしれませんが・・・
狂暴な暗黒グルーヴで突っ走るエレクトリック・マイルスを満喫しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Moja (Part1) 」
本作を支配する暗黒のグルーヴを象徴するオープニング。「Turnaroundprase」という曲名も付けられています。Al FosterのドラムとReggie Lucasのギター、Mtumeのパーカッションが狂暴に疾走してスタートします。この暗黒グルーヴをバックに、Milesのトランペットが狂ったように駆け巡ります。終盤にはPete Coseyのギターが盛り上げてくれます。このインパクト大のオープニングで本作の虜になってしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZQ0XnzgIgdY
http://www.youtube.com/watch?v=eLlqGB5LRXQ
「Moja (Part2) 」
「Tune In 5」という曲名も付けられています。Part2でも暗黒のリズムが狂暴に鳴り続けます。Dave Liebmanのサックスも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=uRVo_2C7FHE
http://www.youtube.com/watch?v=DFrgZ3-8xLo
「Wili (Part1) 」
ここでも黒くウネりまくるグルーヴが支配します。ここでもMilesのテンションの高いフレーズがブラックホールのように全てを飲み込んでしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=8NnY5oX0Yf8
「Wili (Part2) 」
「For Dave」という曲名も付けられています。タイトルからして主役はDave Liebmanなのかもしれません。不気味なオルガンに続き、前半はLiebmaのプレイを満喫できます。後半はMilesのトランペットが登場し、コズミックな音世界を展開します。
「Tatu (Part1) 」
『Agharta』収録の「Prelude」と同じ曲です。『Agharta』ヴァージョンと比べると、少しテンポが遅いですね。それでも、このリズムを聴くと体中からアドレナリンが噴出してきます。前半はReggie Lucas→Dominique Gaumont→Pete Coseyの順で3人のギタリストのプレイを楽しむことができます。ただし、後半はAzar Lawrenceのサックスが雰囲気をぶち壊してしまいます(すかさずLiebmanのフォローが入るのが面白いですが)。これではオーディション不合格なのがわかりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=zioYzbmWrDE
http://www.youtube.com/watch?v=r6f5YnqTmxs
「Tatu (Part2) 」
『Get Up With It』で「Calypso Frelimo」の曲名で録音された曲です。やはり、暗黒のオルガン・フレーズが印象的な曲ですね。狂暴なエレクトリック・マイルスを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=c6IHMDXT9S4
「Nne (Part1) 」
「Ife」という曲名も付けられています。リズムボックスをバックにした前半はLiebmanのサックス、混沌とした展開となる後半はMilesのトランペットが楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=VfLvpp0FZhE
「Nne (Part2) 」
再びオープニングの「Turnaroundprase」のリズムが唸りを上げます。しかし、Azar Lawrenceのサックスが入ると興醒めが・・・それでも持ち直して、最期はJames Mtumeのパーカッションが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ks4VpgU9Sa0
エレクトリック・マイルス作品の過去記事もご参照下さい。
『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
『In A Silent Way』(1969年)
『On The Corner』(1972年)
『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
『Agharta』(1975年)