発表年:2005年
ez的ジャンル:ブラジリアン女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :秋の夜長にしっとりと・・・
今日は秋の夜長にピッタリな1枚。
しっとりとした大人のブラジリアン女性ジャズ・ヴォーカル作品Luciana Souza『Duos II』(2005年)です。
シンガー/ギタリスト/コンポーザーWalter Santosを父親に、詩人Tereza Souzaを母親に持つブラジル、サンパウロ生まれの女性ジャズ・シンガーLuciana Souzaの紹介は、『Tide』(2009年)、『The New Bossa Nova』(2007年)に続き3回目となります。
本作『Duos II』は『Brazilian Duos』(2002年)に続く、ブラジル人ギタリストたちとのデュオ作品の第2弾アルバムです。また、本作は第48回(2005年度)グラミー賞でベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバムにノミネートされ、彼女の出世作となりました。
正直、『Brazilian Duos』と『Duos II』のどちらを紹介するか迷いましたが、今の時期によりフィットする作品ということで『Duos II』をセレクトしました。
『Brazilian Duos』では、父親Walter Santosをはじめ、Romero Lubambo、Marco Pereiraといったギタリストと共演したLucianaでしたが、本作では前作からのRomero Lubambo、Marco Pereiraに加え、新たにSwami Jr.、Guilherme Monteiroが参加しています。
ヴォーカル&ギターのみと聞いて、単調なアルバムを想像される方もいるかもしれませんが、コレがなかなか奥深いアルバムとなっています。音数が少ない分、一音、一声がダイレクトに伝わってくるのがいいですね。また、ブラジル音楽好きの人であれば、選曲にもニンマリするはずです。
大人の洗練されたジャズ・ヴォーカルとブラジル音楽の奥深さを楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Sai Dessa」
オープニングのパートナーはRomero Lubambo。Natan Marques/Ana Terra作の本曲は今は亡き女王Elis Reginaのレパートリーとして有名な曲ですね。Elisヴァージョンのファンキー・モダン・サンバの印象が強い曲ですが、ここでも軽快で小気味良い仕上がりになっています。ヴォーカル&ギターのみとは思えない躍動感が魅力です。
Elis Regina「Sai Dessa」
http://www.youtube.com/watch?v=w3bcP79hyCw
「Nos Horizontes Do Mundo」
ギターはSwami Jr.。Paulinho da Viola作の美しい名曲を、Lucianaがサウダージ感たっぷりに歌い上げます。Swami Jr.の哀愁ギターも素晴らしいです。
「A Flor E O Espinho/Juizo Final」
ギターはSwami Jr.。「A Flor E O Espinho」(Nelson Cavaquinho/Guilherme de Brito/Alcides Caminha作)と「Juizo Final」(Nelson Cavaquinho /Elcio Soares作)というサンバの巨匠Nelson Cavaquinhoのメドレーです。憂いを帯びた大人の哀愁サンバをしっとり歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=G8Q9pcWwaD4
「Muita Bobeira」
ギターはRomero Lubambo。この曲はLucianaのオリジナル。Lubamboの巧みなギターに先導されて、Lucianaがジャズ・シンガーらしい小粋なスキャット&ヴォーカルで魅了してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=qeLucyur5nQ
「Modinha」
ギターはMarco Pereira。Tom Jobim/Vinicius de Moraes作。Jobim作の美しい名曲を情感たっぷりの哀愁ヴォーカルで聴かせてくれます。海辺で一人たたずむ光景にぴったりの曲。
「No Carnaval/Vento」
ギターはGuilherme Monteiro。Jota/Caetano Veloso作「No Carnaval」、Toninho Horta作「Vento」のメドレー。前者はToninho Hortaの1st『Terra Dos Passaros』(1979年)、後者は当ブログで紹介した『Toninho Horta』(1980年)に収録されています。ここでは秋の夜長にピッタリな大人の素敵なジャジー・チューンを満喫できます。
「Sambadalu(Para Luciana Souza)」
ギター&ソングライティングはMarco Pereira。Marco Pereiraの見事なギターに合わせて、Lubamboが巧みなスキャットを聴かせてくれます。
「Aparecida」
ギターはRomero Lubambo。Ivan Lins/Maurício Tapajos作。Ivan Linsのオリジナルは当ブログでも紹介した『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)に収録されています。オリジナルもサウダージ感たっぷりで大好きですが、本ヴァージョンも実に雰囲気があってグッときます。
「Trocando Em Miudos」
ギターはRomero Lubambo。Francis Hime/Chico Buarque作品。父親Walter Santosの影響で本曲をレコーディングしたようです。ミステリアスな音空間に引き込まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8Fwr8Pls8dU
「Chorinho Pra Ele」
ギターはRomero Lubambo。Hermeto Pascoal作。リラックスした雰囲気の中で、Lucianaがエンジョイしながらスキャットしている感じがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=fKZbiEZn0JY
「Atras da Porta」
ギターはMarco Pereira。Francis Hime/Chico Buarque作品。この曲もElis Reginaヴァージョンでお馴染みですね。本ヴァージョンも味わい深い哀愁バラードに仕上がっています。
「Voce」
ギターはGuilherme Monteiro。ラストはWalter Santos/Tereza Souzaという両親が1960年に書いた作品。ミステリアスな雰囲気でひとひねりしているところがいいですね。
本作を気に入った方は『Brazilian Duos』 (2002年)もどうぞ!
『Brazilian Duos』(2002年)
Luciana Souzaの過去記事もご参照下さい!
『The New Bossa Nova』(2007年)
『Tide』(2009年)