発表年:2011年
ez的ジャンル:新世代MPB
気分は... :エロくはありません(笑)
新世代MPBを代表する女性シンガーMaria Ritaの待望の新作『Elo』です。
これまで当ブログではMaria Ritaのオリジナル・アルバムを全て紹介済みです。
『Maria Rita』(2003年)
『Segundo』(2005年)
『Samba Meu』(2007年)
MPBの女王であった故Elis Reginaの娘Maria Ritaは、僕にとって特別なアーティストです。
彼女の3rdアルバムである前作『Samba Meu』(2007年)は、ここ数年の僕のブラジル志向のきっかけとなるアルバムでした。この作品をきっかけに、ブラジルもの新作をこまめにチェックするようになり、母Elis Reginaのアルバムも集中的に聴くようになり・・・と新旧ブラジル作品に接する機会が急増しました。
前作『Samba Meu』ではルーツ・サンバへのアプローチを強めていましたが、4年ぶりの新作となる『Elo』は1st『Maria Rita』、2nd『Segundo』に近い印象を受けます。
Thiago Costa(p)、Sylvinho Mazzucca (b)、Cuca Teixeira(ds)というMaria Rita作品ではお馴染みのメンバーがバックを務めています。
愁いを帯びた陰影のあるヴォーカルが、シンプルな編成のバックと一体化し、Maria Ritaらしい音世界を届けてくれます。
一聴すると地味な印象を受けるかもしれませんが、聴き重ねるほどに味わいが増してくる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Conceicao dos Coqueiros」
Lula Queiroga/Lulu Oliveira/Alexandre Bicudo作。オープニングはLenineとの共作アルバム『Baque Solto』でも知られるLula Queirogaの作品。Lula Queirogaのオリジナルは『Azul Invisivel Vermelho Cruel』(2004年) に収録されています。ミステリアスな雰囲気はアルゼンチン系アーティストあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=r1HE0j9LiFA
「Santana」
Junio Barreto/Joao Carlos Araujo作。Gal Costaもアルバム『Hoje』(2004年)で取り上げています。シンプルな編成ながらも、引き締まったヴォーカル&演奏になかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=J2lgvoqLu7c
「Perfeitamente」
Fred Martins/Francisco Bosco作品。Fransisco Boscoはブラジル音楽の大物アーティストJoao Boscoの息子です。2nd『Segundo』でも、このコンビの作品「Sem Aviso」を取り上げていました。Thiago Costaの美しいピアノが、愁いを帯びたMariaのヴォーカルを引き立てます。
http://www.youtube.com/watch?v=Vag2KQ-xM6U
「Coracao a Batucar」
Davi Moraes作。Davi Moraesについては、Arto Lindsay作品の記事で何度か紹介しています。小粋なアレンジのサンバ・チューン。やはり、僕はこういうのが好きだなぁ。Thiago Costaのメロウ・エレピがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=Fflh96TS1ik
「Menino do Rio」
Caetano Veloso作品のカヴァー。オリジナルは『Cinema Transcendental』(1979年)に収録されています。また、当ブログではMariana Meleroのカヴァーも紹介済みです。ここでは抑えたヴォーカルとシンプルなアレンジで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=jH1ca5lf_xM
「Pra Matar meu Coracao」
Pedro Baby/Daniel Jobim作。Antonio Carlos Jobimの孫、Daniel Jobimの作品です。少し寂しげなMariaのヴォーカルとボッサ・サウンドがマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=2GCqMS8fZLA
「A Historia de Lily Braun」
Chico Buarque/Edu Lobo作。オリジナルは二人が手掛けた『O Grande Circo Mistico』(1983年)の中でGal Costaが歌っていました。オリジナルはジャズ色が強かったですが、ここではThiago Costaのピアノが様々な表情でMariaのヴォーカルをサポートしているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GIDhNLglyfA
「Nem Um Dia」
Djavan作品のカヴァー。オリジナルは『Malasia』(1996年)に収録されています。メリハリのヴォーカル&演奏が冴える哀愁チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=95ivQfWP2VA
「A Outra」
Maria Ritaのアルバムでは定番のMarcelo Camelo作品。オリジナルは彼が率いていたリオ出身の人気ロックバンドLos Hermanosによるものです。雰囲気のある哀愁バラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=0AYSO5gqMAM
「So de Voce」
Rita Lee/Roberto de Carvalho作。母Elis Reginaとも親交の深かったブラジル・ロック界の女王Rita Leeの作品です。オリジナルはRoberto de Carvalhoとの共演作『Rita Lee E Roberto de Carvalho』(1982年)に収録されています。オリジナルの小粋な雰囲気を残しつつ、Mariaらしい少しレイジーな感じが加味されています。
http://www.youtube.com/watch?v=Yffu4BsJ93E
「Coracao em Desalinho」
Mauro Diniz/Ratinho作。ボーナス・トラック扱いの本曲はカヴァキーニョの名手Mauro Dinizの作品です。本編とは異なる雰囲気の軽快なサンバ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wa4IvbVhv7k
Maria Ritaの過去記事もご参照下さい。
『Maria Rita』(2003年)
『Segundo』(2005年)
『Samba Meu』(2007年)