発表年:1991年
ez的ジャンル:トークボックス系エンタメFunk
気分は... :これがラストになるなんて...
今回はZappファミリーの総帥であった故Roger Troutmanの4thソロ・アルバム『Bridging The Gap』(1991年)です。
これまで紹介してきたZapp/Roger作品は以下の6枚。
Zapp『Zapp II』(1982年)
Zapp『Zapp III』(1983年)
Zapp『The New Zapp IV U』(1985年)
Roger『The Many Facets of Roger』(1981年)
Roger『The Saga Continues...』(1984年)
Roger『Unlimited!』(1987年)
1999年実兄Larryに射殺され、悲運の最期を遂げたRoger Troutmanですが、結果として本作『Bridging The Gap』が生前最後のオリジナル・アルバムとなってしまいました。
本作に対しては、"一時のZapp/Rogerの勢いは感じられない"といった評価も見受けられます。実際、商業的にはアルバム、シングル共に振るわなかったのは事実です。しかし、内容的には他のZapp/Roger作品に引けを取らない充実作であるというのが僕の意見です。
本作がリリースされた当時の音楽シーンはNJSやHip-Hopが勢いを増し、Roger Troutmanのようなベテラン・アーティストにとっては苦難の時代だったのかもしれません。そうした中で新旧世代の橋渡しとなる音楽を創り上げるといった思いが、アルバム・タイトルにも反映されているのでは?
制作にも変化が見られ、全10曲中5曲が元Scritti PolittiのDavid Gamsonとの共同プロデュースです。
当ブログでも紹介したScritti Polittiの3rdアルバム『Provision』(1988年)からのシングル「Boom! There She Was」にRoger Troutmanが客演しており、そこでの相性の良さがDavid Gamsonの起用につながったのでしょうね。
Scritti Politti feat. Roger Troutman「Boom! There She Was」
http://www.youtube.com/watch?v=hgE6g1UIwro
また、本作を語るうえで欠かせないのが、Erick SermonとParish Smith(PMD)による強力Hip-HopユニットEPMDの存在です。
本作からの1stシングル「(Everybody) Get Up」に彼らが客演し、重量ファンクを迫力のラップで盛り上げてくれます。さらに、当ブログでも紹介した彼らの4thアルバム『Business Never Personal』(1992年)に収録されたHip-Hopクラシック「Crossover」で本作収録の「You Should Be Mine」をサンプリングしています。
レコーディングには、Troutman兄弟、Shirley Murdock等お馴染みのZappファミリーが参加しています。
リアルタイムで聴いていた時には、まさか本作がZapp/Rogerのラスト・オリジナル・アルバムになるとは思っていなかったのですが・・・
全曲紹介しときやす。
「(Everybody) Get Up」
オススメその1。アルバムからの1stシングル(最高位全米R&Bチャート第19位)。Rogerらしいトークボックス全開の重量ファンク・チューン。いかにもフロア・キラーといった雰囲気のごキゲンな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=DMFTvUia_kM
アルバム・ヴァージョンも悪くありませんが、この曲と言えば前述のようにEPMDが参加したEPMD Diesel Mixも外せません(アルバム未収録)。当時、EPMD Diesel Mix欲しさにアルバムに加えてMaxiシングルも購入しました。
Roger Feat. EPMD「(Everybody) Get Up(EPMD Diesel Mix)」
http://www.youtube.com/watch?v=7T9E4ZRei7s
「Take Me Back」
オススメその2。アルバムからの2ndシングル(最高位全米R&Bチャート第37位)。メロウな味わいのミッド・チューン。前作からの大ヒット・シングル「I Want To Be Your Man」を少しテンポ・アップし、大人の味わいにした雰囲気がいいですね。共同プロデュースのDavid Gamsonの貢献が大きいかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=D0CFGXIjNNY
「Curiosity」
前作でも聴かれたNJSテイストの楽曲。試みしては面白いと思いますが、今聴くと少しビミョーかも・・・
http://www.youtube.com/watch?v=4Uc6XxOxttY
「You Should Be Mine」
オススメその3。個人的にはアルバムのハイライトだと思います。軽快なギター・カッティングと重量リズムがうねるファンク・チューンは、聴いているだけでアドレナリンが出まくりです。
http://www.youtube.com/watch?v=eCruEJJ8L7A
前述のように、本曲の素晴らしさを知らしめたのがEPMDによるHip-Hopクラシック「Crossover」です。「(Everybody) Get Up」の客演のお返しという意味合いもあると思いますが、Zapp/RogerとEPMDの相性の良さを再認識させてくれました。
EPMD「Crossover」
http://www.youtube.com/watch?v=Y-7oQTwRztU
「Emotions」
オススメその4。クラシックZapp「Computer Love 」タイプの名バラード。メロウなトークボックス使いが絶品です。「Computer Love 」好きの人はぜひチェックを!
http://www.youtube.com/watch?v=VZlX0qkrD9U
「Break Through」
オススメその5。軽快なギター・カッティングでリードする本曲もRoger/Zappらしいファンク・チューンです。さらにDavid Gamsonが隠し味を利かせている感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bMcY36bG_1o
「Love Incorporated」
オススメその6。メロウなミディアム・スロウ。(多分)Shirley Murdockの女性コーラスとの絡みにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=6p_jA-cCjxI
「Victim of Love」
オススメその7。トークボックス全開のファンク・チューン。「(Everybody) Get Up」、「You Should Be Mine」に迫る盛り上がりです。Rogerのハードなギター・ソロも聴けます。
http://www.youtube.com/watch?v=Dfzs8nfqB8g
「Who-La-Boola」
ここからラスト2曲はルーツ・ミュージックをRoger流に演奏したもの。本曲はジャズ・フレイヴァーのインスト・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=OQ5OXL7qEOc
「Hurry Up」
ラストはブルースで締め括ってくれます。Rogerらしいエンタメ精神に溢れた仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=4KRSP_8ULWM
Zapp/Roger作品の過去記事もご参照下さい。
Zapp『Zapp II』(1982年)
Zapp『Zapp III』(1983年)
Zapp『The New Zapp IV U』(1985年)
Roger『The Many Facets of Roger』(1981年)
Roger『The Saga Continues...』(1984年)
Roger『Unlimited!』(1987年)