発表年:1973年
ez的ジャンル:正統派系サンバ/ショーロ
気分は... :まだ腰に激痛が・・・
今回はサンバ/ショーロの大物ミュージシャンPaulinho Da Violaが1973年にリリースした『Nervos De Aco』です。
Paulinho Da Viola(本名:Paulo Cesar Batista de Faria)は1942年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。
ショーロ・グループのギタリストであった父の影響で、幼少期からショーロに慣れ親しんで育ちました。
エスコーラ・ヂ・サンバの一員となり、サンバにのめり込んでいったPaulo青年でしたが、22歳の頃、偉大なるサンビスタCartolaが経営するライブハウスに出入りするようになります。そこに出入りするサンビスタから"Paulinho Da Viola"の芸名を名付けられ、本格的にプロ・ミュージシャンを目指すようになります。
そして、1965年にはサンバ・ユニットConjunto a Voz Do Morroにオリジナル・メンバーとして参加し、 『Roda de Samba』(1965年)、『Roda de Samba No.2』(1965年)、『Os Sambistas』(1966年)といった作品をレコーディングしています。
1968年には同じConjunto a Voz Do MorroのメンバーElton Medeirosとの共演アルバム『Samba Na Madrugada』をリリースしています。
初ソロ『Paulinho Da Viola』(1968年)リリース後は80年代前半までコンスタントにアルバムを発表し続けました。
2003年には、彼の私生活を追ったドキュメンタリー映画『Meu Tempo e Hoje』が公開されました。
ここ数年ブラジル音楽を聴く頻度が高くなった僕ですが、実は90年代前半にもブラジル音楽にハマっていた時期がありました。CartolaやPaulinho Da Violaは、その時によく聴いていたアーティストです。これらのミュージシャンの作品からサンバの真の素晴らしさを教えてもらいました。
今日紹介する『Nervos De Aco』(1973年)もそんな1枚です。
インパクト大(?)のジャケのせいで敬遠されてしまうこともあるアルバムかもしれませんが、内容は折り紙付の素晴らしいサンバ作品に仕上がっています。
Maestro Gaya(Lindolfo Gaya)がミュージカル・ディレクターを務め、レコーディングには、Copinha、Cristovao Bastos、Nelsinho、Dininho、Juquinha、Elizeu、Elton Medeiros、Dazinhoといったメンバーが参加しています。特にCopinhaのフルート、クラリネットNelsinhoのトロンボーンがサウンドのいいアクセントになっています。Cristovao Bastosのピアノも印象的です。
CartolaやPaulinho Da Violaなどのサンバを聴いていると、素直な気持ちになり、自分の起こる全てのことを受け入れられるようにマインド・リセットできるから不思議です。
悲しみ、怒り、苦しみ、妬みなど自分のマイナス感情を忘れない時にはサンバを聴くに限ります。
ついでにサンバで腰痛を鎮めたいと願う僕なのでした・・・
全曲紹介しときやす。
「Sentimentos」
Miginha作。まさにセンチメンタルなサンバでアルバムは幕を開けます。Copinhaのクラリネットがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=A590p5AA65c
「Comprimento」
Paulinho Da Viola作。一ひねりのあるアレンジとPaulinhoの語り口がいい感じです。
「Nao Leve A Mal」
Paulinho Da Viola作。開放的かつ美しいサンバ・チューン。小粋なアレンジ・センスにも脱帽です。
「Nervos De Aco」
Lupicinio Rodrigues作の名曲。哀愁ソングですが、アレンジも含めて寛いだ雰囲気で聴かせてくれるのがいいですね。
「Roendo As Unhas」
Paulinho Da Viola作。派手さはありませんが、各プレイヤーがなかなか格好良い演奏を聴かせてくれます。Nelsinhoのトロンボーンがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=Q86mO5eFWHc
「Nao Quero Mais Amar A Ninguem」
Carlos Cachaca/Cartola/Ze Da Zilda作。Cartolaの名曲カヴァーを本作のハイライトに挙げる方も多いのでは?ビターな中にもまろやかな味わいがあるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=yMw98kgjlqo
「Nega Luiza」
Jorge De Castro/Wilson Batista作。リズミカルで楽しげな雰囲気がグッド!こういう曲にはトロンボーンが似合います。
http://www.youtube.com/watch?v=Up0gljdVIZ0
「Cidade Submersa」
Paulinho Da Viola作。エレピ・サウンドがよく似合うメロウ・サンバ。ルーツ・サンバが苦手な方でもこれなら大丈夫なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=phrmr7xmDu4
「Sonho De Um Carnaval」
Chico Buarqueの名曲をカヴァー。大人の味わいがたまらない激シブ・カヴァーに仕上がっています。一人でダンディズムに浸りながら聴きたい1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=qSobYblFzP4
「Choro Negro」
Fernando Costa/Paulinho Da Viola作。ラストは美しいショーロ・インストで締め括ってくれます。
Paulinho Da Violaの他作品もチェックを!
Paulinho Da Viola & Elton Medeiros『Samba Na Madrugada』(1968年)
『Paulinho Da Viola』(1968年)
『Foi Um Rio Que Passou em Minha Vida』(1970年)
『Paulinho Da Viola』(1971年)
『A Danca Da Solidao』(1972年)
『Paulinho Da Viola(Amor a Natureza)』(1975年)
『Memorias Cantando』(1976年)
『Memorias Chorando』(1976年)
『Paulinho Da Viola』(1978年)
『Zumbido』(1979年)
『Eu Canto Samba』(1989年)
『Bebadosamba』(1996年)