2011年11月30日

Hocus Pocus『16 Pieces』

フランス最強のHip-Hopバンド☆Hocus Pocus『16 Pieces』
シックスティーン・ピーシーズ
発表年:2010年
ez的ジャンル:フレンチHip-Hopバンド
気分は... :こういうHip-Hopアルバムを欲している!

今回はフランス最強のHip-HopバンドHocus Pocusが昨年リリースした『16 Pieces』です。

ジャジーHip-Hopファンであればお馴染みのグループですね。

今年に入り新作Hip-Hopアルバムの購入が激減しました。
僕の場合、購入アルバムの殆どがアングラ&ジャジーHip-Hop系作品ですが・・・

今年は曲単位でグッときてもアルバム単位で購入したいとまで思わせてくれるアルバムが少ないですね。そんな思いの中で、昨年リリースされた本作『16 Pieces』が未紹介であることを思い出しました。『16 Pieces』のような作品こそ、僕が求めているHip-Hopアルバムの典型です。

Hocus PocusはMCの20sylを中心に、1995年フランス、ナントで結成されたHip-Hopバンド。

1996年にミックステープ『Premiere Formule』、1998年に1stアルバム『Seconde Formule』をリリースしますが、まだまだアンダーグラウンドな存在でした。

2001年にリリースしたミニ・アルバム『Acoustic Hip Hop Quintet』あたりから注目されるようになり、アルバム『73 Touches』(2005年)で一気にブレイクします。さらにOmar等をゲストに迎えた『Place 54』(2007年)ではHip-Hopの枠をも飛び越えた内容で、大傑作として絶賛されました。

現在のメンバーは、20syl(rap)、DJ Greem(turntables)、Herve Godard(b)、Antoine Saint-Jean(ds)、 Matthieu Lelievre(key)、David Le Deunff(g、vo)の6名。

今日紹介する『16 Pieces』(2010年)は現時点でのグループの最新アルバムです。

もはやHip-Hopアルバムという説明が相応しくなかった前作『Place 54』でしたが、『Place 54』の成果を取り入れつつも、しっかりHip-Hopしているのが本作『16 Pieces』です。ジャジーHip-Hopを基本にしつつも、ソウルフルな味わいが増している印象を受けます。

アルバムには、クラブ・ミュージック・ファンにはお馴染みBah Sambaのリード・ヴォーカルAlice Russell や、Hocus Pocus作品のレギュラー・ゲストと呼べるUSのHip-HopグループThe ProcussionsStro The 89th KeyMr. J、フレンチ男性ソウル・シンガーBen L'Oncle Soul等がゲスト参加しています。

やはり、フレンチ・ラップにはジャジー・サウンドがよく似合います。

全曲紹介しときやす。

「Beautiful Losers」
Alice Russellをフィーチャーしたオープニング。そのAlice Russellのヴォーカルも含めてソウルフルな味わいを濃厚に押し出しています。20sylのリリックからは♪バラク・オバマ♪ニンジャ♪ヌンチャク・・・といったワードが聴こえてきます。Graham Central Station「People」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=laSxWt9nv6c

「25/06」
小粋なピアノやダブル・ベース、ミュート・トランペットのジャジー・サウンドにグッとくる大人のジャジーHip-Hop。やはりフランス語の語感とジャジー・サウンドはマッチしますね。Crusaders「It Happens Everyday」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=nDVr-AcomKI

「A Mi-Chemin」
Akhenaton & Ben L'Oncle Soulをフィーチャー。12"シングルにもなっています。Paul McCartney「Wonderful Christmastime」ネタ。キャッチーなシンセ・サウンドにAkhenatonのフレンチ・ラップと現在旬のフレンチ・ソウル・シンガーBen L'Oncle Soulのヴォーカルが絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=25Ig3dCu-m4

ご興味がある方は昨年Motown FranceよりリリースされたBen L'Oncle Soulの1stアルバム『Ben L'Oncle Soul』もチェックを!

Ben L'Oncle Soul『Ben L'Oncle Soul』(2010年)
Ben L'oncle Soul

「Putain De Melodie」
70年代ソウルのファンキーな味わいをスタイリッシュにまとめ上げた生音Hip-Hopバンドらしいサウンドにグッときます。ハモンド・オルガンやホーン・サウンドがいい感じです。終盤の20sylのラップを盛り上げる子供コーラスもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=PiDlQaj0u2Q

「Papa ?」
前曲「Putain De Melodie」の流れで、子供たちのコーラスや声ネタを使っています。ハッピー&ラブリーな雰囲気が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=MuOqHmRQVkI

「Piece No.6」
20sylやDJ Greemも所属するDJユニットC2C(Coups 2 Cross)のメンバーDJ Atomによるスキット。

「Signes Des Temps」
The ProcussionsのStro The 89th Key、Mr. Jをフィーチャー。英語とフランス語が飛び交う感じが新鮮ですね。トラックも含めてジャジーHip-Hopファンであれば気に入る仕上がりなのでは?Gil Scott-Heron「A Sign of the Ages」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=NPGzLowx_pY

「Equilibre」
マリ出身のラッパーOxmo Puccinoをフィーチャー。Oxmo Puccinoの低音ラップも含め、フレンチ・ラップならではのソウル・ヴァイヴを感じます。Marvin Gaye & Tammi 「Ain't No Mountain High Enough」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=K4kEHeDuLfQ

「Marc」
Gwen Delabarをフィーチャーしたクロスオーヴァー・チューン。フルートの涼しげな響きがいいですね。Nu Jazz/クロスオーヴァー・チューンでセットで聴きたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=e05ocBjHiF0

「Piece No.10」
C2CのメンバーDJ Pfelによるスキット。

「I Wanna Know」
再びThe ProcussionsのStro The 89th Keyをフィーチャー。バックにアフロ・ファンク調サウンドを持ってくるあたりはフレンチHip-Hopらしいですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=g2BKOY41Pxc

「W0:00」
ジャジー&メロウなヴァイヴ感が僕のど真ん中です。もっと長尺で聴きたいですね。The Friends of Distinction「Going in Circles」、Nas「One Mic」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=mxFpjTM8GXs

「Portrait」
Elodie Ramaの女性ヴォーカルをフィーチャー。ジャズ・クラブ気分にさせてくれるElodie Ramaのヴォーカルや小粋なジャズ・サウンドが20sylのフロウと一体化しています。
http://www.youtube.com/watch?v=-o_ySPJA4kI

「Piece No.14」
DJ Greemによるスキット。

「La Majeur Qui Me Demange」
クラブジャズと一緒に聴きたい1曲。爽快な疾走感とツボを押さえてホーン・サウンドにヤラれてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=D3BV4DQPrFA

「100 Grammes De Peur」
ラストは絶品ジャジーHip-Hopで締め括ってくれます。激シブのダブル・ベース、ミュート・トランペット、ピアノ、ハモンド・オルガンが織り成すサウンドサウンドに、途中からパーカッションが加わり、ラストにドラムが入って至極のジャジー・サウンドを響かせます。
http://www.youtube.com/watch?v=FimmsjlkED0

ご興味がある方は、『73 Touches』(2005年)、『Place 54』(2007年)の2枚もセットでどうぞ!

『73 Touches』(2005年)
73タッチズ

『Place 54』(2007年)
プレイス54
posted by ez at 03:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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