2011年12月03日

Lambert, Hendricks & Ross『The Hottest New Group In Jazz』

ワクワク感が伝わってくるホットなジャズ・コーラス☆Lambert, Hendricks & Ross『The Hottest New Group In Jazz』
Hottest New Group in Jazz
録音年:1959年
ez的ジャンル:ヴォーカリーズ系ジャズ・コーラス
気分は... :タイトルが全てを言い表している!

12月はクリスマス・アルバムやゴスペル作品が聴きたくなる季節ですが、小粋なジャズ・コーラスの持つ華やかな雰囲気もこの時期にはいいのでは?

ということで、ジャズ・コーラスの名盤Lambert, Hendricks & Ross『The Hottest New Group In Jazz』(1959年)です。

Lambert, Hendricks & Ross(LH&R)は、Dave LambertJon Hendricksというアメリカ人男性シンガー2人と紅一点のイギリス出身の女性シンガーAnnie Rossの3人から成るによるジャズ・コーラス・グループ。ヴォーカリーズをモダン・ジャズ・コーラスに取り入れた先駆け的グループです。

1957年に結成され、『Sing a Song of Basie』(1957年)、『Sing Along With Basie』(1958年)、『The Swingers!』(1959年)、『The Hottest New Group In Jazz』(1959年)、『Sing Ellington』(1960年)、『High Flying』(1961年)といったアルバムをリリースしています。しかし、1962年にAnnie Rossが病気を理由に脱退し、グループの歴史は幕を閉じます。

その後、残ったLambert、Hendricksの2人は、新たにセイロン(現スリランカ)出身の黒人女性シンガーYolande Bavanをメンバーに迎え、Lambert, Hendricks & Bavanとして、『Live At Basin Street East』(1963年)、『At Newport '63』(1963年)、(1964年)という3枚のアルバムを残しています。しかし、Dave Lambertが1966年に交通事故で他界してしまいました。

その後、ジャズ・コーラス・グループに大きな影響を与えたグループとしても有名ですし、Jon HendricksAnnie Rossはソロ作品も人気がありますね。

当ブログで前々からAnnie Ross『Sings A Song With Mulligan!』(1959年)を紹介しようと思っていたのですが、何故かタイミングを逃し、今回を意を決してエントリーを作成しようとしたのですが、今の時期ならばLH&Rの方がマッチすると思い、『The Hottest New Group In Jazz』(1959年)にしました。

僕が保有するCDは、1993年に世界初CD化が実現した時のものですが、そのライナー・ノーツはピチカート・ファイヴの小西康陽氏が執筆しています。小西氏が熱烈に支持するグループという点からも、ジャズ・ファンに止まらない普遍的な魅力を持っている作品であることを理解していただけると思います。

小西氏もライナー・ノーツで書いているように、テクニックの追求に走っていないところがいいですね。僕の場合、ここぞとばかり超絶テクニックを披露するジャズ・コーラスって逆に聴いていて疲れてしまいます。その点、LH&Rは純粋にジャズ・コーラスの持つ楽しさがビンビンに伝わってくるのが魅力です。

そんなLH&Rを代表するアルバムが本作『The Hottest New Group In Jazz』です。アルバム・タイトルが全てを言い表していますね。僕は「Charleston Alley」「Moanin'」という冒頭2曲で本作の虜になってしまいました。

アルバムに"with Ike Isaacs Trio, The featuring Harry Edison"のクレジットもある通り、Gildo Mahones(p)、Ike Isaacs(b)、Walter Bolden(ds)というIke Isaacs Trioがバックを務め、さらにHarry "Sweets" Edison(tp)がゲストとして参加しています。

ホットなジャズ・コーラスの持つワクワク感を満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Charleston Alley」
Annie Rossの女性ヴォーカルとHarry "Sweets" Edisonのミュート・トランペットと共にスタートするオープニング。本作の持つ小粋なジャズ・フィーリングとLH&Rの素晴らしいコーラス・ワークを満喫できる1曲です。全体的に華やかな感じがいいですね。Jon Hendricks/Leroy Kirkland/Horace Henderson作。
http://www.youtube.com/watch?v=CTBkZkc1F4I

「Moanin'」
Art Blakey & The Jazz Messengersでお馴染み、ファンキー・ジャズを代表するBobby Timmons作の名曲にJon Hendricksが歌詞をつけたもの。モーニングよりもミッドナイトが似合う少しビターな味わいが魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=pmAKPHYJMwc

「Twisted」
Annie Ross/Wardell Gray作。Annie Rossのヴォーカルを満喫できる1曲。♪精神分析医は言ったわ、私は狂っているって・・・♪なんて歌われたたらたまりません(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=JXwMgIlmoaM

「Bijou」
Jon Hendricks/Ralph Burns作。実にチャーミングなコーラスにグッときます。ピチカート・ファイヴが影響を受けたというのも頷けます。
http://www.youtube.com/watch?v=wAlwvV19ZvQ

「Cloudburst」
Leroy Kirkland/Jimmy Harris作。LH&Rの真髄を存分に味わえる1曲。ジャズ・コーラスの素晴らしさを再認識できます。The Pointer Sistersもデビュー・アルバム『The Pointer Sisters』(1973年)でカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=LDbAsndZGW0

「Centerpiece」
Jon Hendricks/Harry Edison作。本作のゲストHarry "Sweets" Edisonの作品。ここでは主役の座をEdisonに譲り、コーラスも控えめです。
http://www.youtube.com/watch?v=QVpW490YCaU

「Gimme That Wine」
Jon Hendricksのオリジナル。タイトルの通り、酔っ払いソングです。飲まずにいられない心境をコミカルな雰囲気で歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=EJnQoi8DSE8

「Sermonette」
Jon Hendricks/Cannonball Adderley作。Nat Adderley『To The Ivy League From Nat』で初めて取り上げられたCannonball Adderley作品。LH&Rに加え、Harry EdisonやIke Isaacs Trioの小粋な演奏もいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=Xy6GCWN70fk

「Summertime」
お馴染みのGershwinをカヴァー。ここでは帝王Miles Davis & Gil Evansのヴァージョン(アルバム『Porgy and Bess』収録)がベースになっているようです。
http://www.youtube.com/watch?v=vVWVMUP5ok4

「Everybody's Boppin'」
ラストはJon Hendricksのオリジナル。タイトルの通り、ハイテンポで弾けまくります。このスピード感もLH&Rの魅力なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=wcTvx7idknQ

興味がある方は、Lambert, Hendricks & Rossの他作品やLambert, Hendricks & BavanJon HendricksAnnie Rossの作品もチェックしてみて下さい。

Lambert, Hendricks & Ross『Sing a Song of Basie』(1957年)
Sing a Song of Basie

Lambert, Hendricks & Ross『Sing Along With Basie』(1958年)
シング・アロング・ウィズ・ベイシー

Lambert, Hendricks & Ross『The Swingers!』(1959年)
ザ・スインガーズ!

Lambert, Hendricks & Ross『Sing Ellington』(1960年)
Sing Ellington (Duke)

Lambert, Hendricks & Bavan『Live At Basin Street East』(1963年)
Basin Street East

Lambert, Hendricks & Bavan『At Newport '63』(1963年)
At Newport 63

Lambert, Hendricks & Bavan『Havin' a Ball at the Village Gate』(1964年)
Having a Ball at the Villa

Jon Hendricks『Salud! Joao Gilberto Originator of the Bossa Nova』(1963年)
ジャイヴ・サンバ~ジョアン・

Jon Hendricks『Tell Me the Truth』(1975年)
テル・ミー・ザ・トゥルース

Annie Ross『Sings A Song With Mulligan!』(1959年)
Sings a Song With Mulligan

Annie Ross『A Handful of Songs』(1963年)
A Handful of Songs

Annie Ross & Pony Poindexter『Annie Ross & Pony Poindexter』(1967年)
オール・ブルース

Georgie Fame, Annie Ross, Hoagy Carmichael『In Hoagland』(1981年)
In Hoagland
posted by ez at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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