発表年:1979年
ez的ジャンル:ディスコ/フュージョン系ロック
気分は... :邪道?
オールド・ファンにはお馴染みのロック・グループChicagoの久々の紹介です。
前回『Hot Streets』(1978年)の記事をエントリーしたのが2006年なので約5年ぶり2回目の紹介となります。
今回紹介するのはChicago流ディスコ・アルバムとして知られる『Chicago 13』(1979年)です。
『Hot Streets』の記事でも書きましたが、僕が好きなChicagoのアルバムは『Hot Streets』(1978年)、『Chicago 13』(1979年)の2枚です。
ファンの方はご存じのとおり、この2枚は創始メンバーの1人であったギタリストのTerry Kathが銃の暴発事故で悲運の死を遂げ、その後釜としてグループに加入したDonnie Dacusが在籍していた期間に制作されたアルバムです。
結局、この2枚は商業的には失敗に終わり、Donnie Dacusもグループを去ることになりました。そのせいか、Chicago低迷期のアルバムというマイナス・イメージを持たれている方もいるかもしれませんね。
僕の場合、リアルタイムで初めて聴いたChicago作品が『Hot Streets』(1978年)だったこともあり、昔からこの2枚には思い入れが強かったですね。
逆に、全米No.1シングル「Hard To Say I'm Sorry」で見事復活したBill Champlin加入後の新生Chicagoは、甘さがきつすぎ胃もたれしてしまい、耳が受け付けませんでした。また、70年代半ばまでのChicagoは中学・高校生の頃に後追いで聴きましたが、今さら積極的に聴きたいとは思わないし・・・ということで結局、『Hot Streets』、『Chicago 13』の2枚に落ち着いてしまいます。
『Hot Streets』と同様に、Phil RamoneとChicagoの共同プロデュースによる本作『Chicago 13』は、"Chicago版ディスコ・アルバム"と説明されることが多いですね。しかしながら、ディスコ・チューンと呼べる楽曲は「Street Player」くらいで、それ程ガンガンにディスコしている訳ではありません。
本作におけるグループのメンバーを確認すると、Peter Cetera(b、vo)、Donnie Dacus(g、vo)、Laudir de Oliveira(per)、Robert Lamm(key、vo)、Lee LoughnaneJames Pankow(tb)、Walter Parazaider(woodwinds)、Danny Seraphine(ds)という編成です。
さらにゲストとして、RufusのDavid "Hawk" Wolinski(syn)、Airto Moreira(per)、Maynard Ferguson(tp)が参加しています。
特にDavid "Hawk" Wolinskiは、本作を象徴する1曲「Street Player」および「Aloha Mama」のソングライティングも手掛けています(2曲共にDanny Seraphineとの共作)。そう言えば、2日前にエントリーしたMJBの新作『My Life II... The Journey Continues (Act 1)』に収録されたRufus & Chaka Khanのカヴァー「Ain't Nobody」もDavid "Hawk" Wolinski作品でしたね。
どうしてもディスコ・サウンドばかりが注目されがちな作品ですが、フリーソウル好きの人にフィットしそうなファンキー・メロウ、ブラジリアン・メロウな楽曲も聴きどころです。
きっとChicagoというグループに対する先入観を取っ払って聴けば、楽しめる1枚だと思います。
全曲を紹介しときやす。
「Street Player」
オススメその1。Danny Seraphine/David Wolinski作。本作を象徴するファンキー・ディスコ・チューンがオープニング。Rufus & Chaka Khanのヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。作者のDavid Wolinski(syn)をはじめ、Airto Moreira(per)、Maynard Ferguson(tp)というゲスト陣が勢揃いして盛り上げてくれます。個人的には、それ程極端にディスコにおもねっている訳ではなく、Chicagoテイストも残したフュージョン調ダンス・チューンという気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=HJMw8cUGjwI
本曲はKenny DopeプロデュースのThe Bucketheads「The Bomb」でサンプリングされています。さらにBeat Vandals vs Mooqee「Player」を聴き比べれば、「Street Player」三段活用を楽しめるはず!
The Bucketheads「The Bomb」
http://www.youtube.com/watch?v=OBa5syMvJA0
Beat Vandals vs Mooqee「Player」
http://www.youtube.com/watch?v=iCmzXL58D18
「Mama Take」
Peter Cetera作。Peter Ceteraのハイトーン・ヴォーカルが栄えるポップ・チューン。クドくなる一歩手前で止まっています(笑)
「Must Have Been Crazy」
Donnie Dacus作。アルバムからの1stシングルにもなりました。悪くはありませんが、シングル曲としては少しパンチが弱いかも
http://www.youtube.com/watch?v=8PLlBH00ItQ
「Window Dreamin'」
Walter Parazaider/Lee Loughnane作。ホーン・セクションとDonnie Dacusのギターが弾けるファンキー・チューン。元々は次曲「Paradise Alley」と共に、Sylvester Stallone監督・主演の映画『Paradise Alley』(1978年)のために書かれた曲でしたが、結局映画では使われませんでした。
「Paradise Alley」
オススメその2。Robert Lamm作。ヴォーカルも含めてRobert Lammのセンスが光る、大人のファンキー・メロウ・チューン。
「Aloha Mama」
Danny Seraphine/David Wolinski作。イントロのホーン・アンサンブルになかなかグッときます。聴き重ねるほど味わいが増すファンキーなミドル・チューン。
「Reruns」
オススメその3。Robert Lamm作。素晴らしいホーン・アンサンブル、美しいコーラスをはじめ、メリハリの効いたキャッチーな1曲に仕上がっています。こういう曲をシングルにすれば良かったのにね!
http://www.youtube.com/watch?v=jh31iUc4S0U
「Loser With A Broken Heart」
Peter Cetera作。美しいメロディの1曲。Bill Champlin加入後のような仰々しさがないのがいいですね。
「Life Is What It Is」
オススメその4。個人的には「Street Player」と並ぶハイライト。Laudir de Oliveiraと共にソングライティングを手掛けたのは当ブログでもお馴染みのブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valleです。フリーソウル好きの人は、相当グッとくるブラジリアン・メロウな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=rno1c48MhD4
ChicagoメンバーとMarcos Valleの交流は、当ブログでも紹介したMarcos Valle『Vontade De Rever Voce』やLeon Ware『Rockin' You Eternally』でも聴くことができます。
「Run Away」
ラストはJames Pankow作品。爽快なロック・チューン。リラックスした雰囲気がいいですね。
CDにはボーナス・トラックとして、「Closer To You」と「Street Player" (Alternate Mix) 」の2曲が追加収録されています。
「Closer To You」
オススメその5。元々は「Must Have Been Crazy」のシングルB面だった曲。Donnie Dacus/Stephen Stills/Warner Schwebke作。Donnie DacusがChicago加入前、Stephen Stillsのバンドにいた時に書かれた曲です。ラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・グルーヴです。Manassasが聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=fzJ0M_eIIdw
Stephen Stillsのオリジナルはアルバム『Illegal Stills』(1976年)に収録されています。
Stephen Stills「Closer to You」
http://www.youtube.com/watch?v=5NKjhsf6zKE
『Hot Streets』(1978年)もセットでどうぞ!
『Hot Streets』(1978年)