発表年:2011年
ez的ジャンル:ナンバー・ワンHip-Hopバンド
気分は... :進化したThe Rootsサウンド
今回はナンバー・ワンHip-HopバンドThe Rootsの最新作『Undun』です。
先日もBetty WrightをバックアップしたBetty Wright & The Roots名義のアルバム『Betty Wright: The Movie』をリリースしたばかりのThe Rootsですが、遂に『How I Got Over』に次ぐ単独名義でのアルバムをリリースしてくれました。
これまで当ブログで紹介したThe Roots作品は以下のとおりです。
『Do You Want More?!!!??!』(1994年)
『Things Fall Apart』(1999年)
『Game Theory』(2006年)
『Rising Down』(2008年)
『How I Got Over』(2010年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
『Undun』は実在したRedford Stephensという男性の短い生涯を軸にしたコンセプト・アルバムです。グループのリーダー?uestloveによれば、主人公Redford Stephensは生粋のワルではなく、思いやりもあったのに犯罪走ってしまった人物のようです。
詳しく歌詞を見ているわけではありませんが、俺の人生こんなはずじゃなかったのに・・・人生の不条理感がアルバム全体から伝わってきます。
犠牲者でも英雄でもない男の人生を取り上げることで、The Rootsからの鋭いメッセージが心に刺さります。また、サウンド面でも『Late Night with Jimmy Fallon』への出演や他アーティストの共演・バックアップなどを経て、より音楽の幅が広がった気がします。
本作にクレジットされているバンド・メンバーはAhmir "?uestlove "Thompson(ds)、Tariq "Black Thought" Trotter(vo)、 Kirk "Captain Kirk" Douglas(g)、Kamal Gray(key)、James Poyser(key)、Frank "Frankie Knuckles" Walker(per)、Damon "Tuba Gooding Jr." Bryson(sousaphone)、Mark Kelley(b)の8名。
また、アルバムには元メンバーのDice Rawをはじめ、Greg Porn(P.O.R.N.)、Big K.R.I.T.、Phonte、Bilalなどがフィーチャーされています。また、バック・コーラスでMercedes Martinez、Tracey MooreというJazzyfatnasteesの2人の歌声が聴こえるのもネオ・フィリー好きには嬉しいですね。さらにの縁もあり、Betty Wrightがソングライティングで参加しています。
テーマのせいもありアルバム全体は哀愁感が支配しますが、コンセプト・アルバムということを気にしなくても進化したThe Rootsサウンドを楽しめる1枚になっていると思います。
全曲紹介しときやす。
「Dun」
アルバムのイントロ。主人公Redfordが亡くなったことを示唆しています・・・
「Sleep」
主人公が死後の世界で自身の人生を振り返っているようです・・・
「Make My」
Big K.R.I.T. & Dice Rawをフィーチャーした先行シングル。美しくも切ない哀愁ソウル・チューンにグッときます。この美しく静かな音世界が意味するものは・・・
http://www.youtube.com/watch?v=zQGhUnFnvS4
「One Time」
Phonte & Dice Rawをフィーチャー。Phonteは『How I Got Over』に続く参加となります。歌心のあるフロウが沁みてくる感動的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=nvorm1pzPSA
「Kool On」
Greg Porn(P.O.R.N.) & Truck Northをフィーチャー。D.J. Rogers「Where There's a Will」ネタのギター・ループに導かれ、畳み掛けるようなラップ・パートと哀愁ヴォーカル・パートがいい感じで絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=CHSNYfXC8pQ
「The OtherSide」
Bilal & Greg Pornをフィーチャー。ソングライターの中にはBetty Wrightの名前もあります。?uestloveらしいドラムの響きと美しいピアノが生み出す哀愁トラックが印象的なソウルフル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=mSdV11i7d_0
「Stomp」
Greg Porn & Just Blazeをフィーチャー。本曲はDiddyのプロダクション・チームThe HitmenのメンバーであるSean C & LVがプロデュースしています。そのせい多少他の曲とは雰囲気が異なるかも?
「Lighthouse」
Dice Rawをフィーチャー。アルバムの中で最もキャッチーな仕上がりなのでは?跳ねるリズムと美しいピアノが織り成す疾走感にヤラれます。メロディアスなサビもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=6vP24wNuRXs
「I Remember」
Mercedes Martinez、Tracey MooreというJazzyfatnasteesの2人の女性バック・コーラスが盛り上げてくれる哀愁チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=1ahL43AKa7Y
「Tip the Scale」
Dice Rawをフィーチャー。本曲もBetty Wrightがソングライティングで参加しています。ずしりと響く?uestloveのドラムをバックに哀愁モードのヴォーカル&ラップが展開されます。
「Redford (For Yia-Yia & Pappou)」
ここからラスト4曲は「Redford Suite」というかたちでインスト組曲になっています。本曲では美しいも悲しげなピアノの音色が印象的です。
「Possibility (2nd Movement)」
ピアノにストリングスも絡んだ美しい仕上がり。
「Will to Power (3rd Movement)」
フリージャズのようなアヴァンギャルドな仕上がり。
「Finality (4th Movement)」
ラストはレクイエムのようなストリングスでアルバムの幕は閉じます。
The Rootsの過去記事もご参照下さい。
『Do You Want More?!!!??!』(1994年)
『Things Fall Apart』(1999年)
『Game Theory』(2006年)
『Rising Down』(2008年)
『How I Got Over』(2010年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Betty Wright & The Roots『Betty Wright: The Movie』(2011年)