発表年:1995年
ez的ジャンル:魔法のメロディ系カナディアンSSW
気分は... :やはり年初はRon Sexsmith・・・
今日は大好きなカナディアン・シンガー・ソングライターRon Sexsmithのデビュー作『Ron Sexsmith』(1995年)です。
これまで当ブログで紹介してきたRon Sexsmith作品は以下の4枚。
『Other Songs』(1997年)
『Whereabouts』(1999年)
『Blue Boy』 (2001年)
『Retriever』 (2004年)
上記4枚のうち、2005年12月にエントリーした『Other Songs』以外は全て年初にエントリーしています。僕の中で新年になるとRon Sexsmithを聴きたくなる何かがあるんでしょうね。Ronの実直そうなヴォーカルを聴きながら、今年の抱負でも思い描きたい気分なのかもしれませんね・・・ここ数年毎年同じようなことを書いているような(汗)
そんなRon Sexsmithとの出会いが今日紹介するデビュー作『Ron Sexsmith』(1995年)です。
厳密には本作以前にも自主制作盤やRon Sexsmith & The Uncool名義でのアルバム『Grand Opera Lane』(1991年)をリリースしていますが、Interscopeからリリースされた『Ron Sexsmith』が実質的なデビュー・アルバムとなります。
郵便配達などの仕事をしながらコツコツと曲をストックし、30歳過ぎてようやくデビュー作をリリースした遅咲きのSSWという背景や、ジャケを観てもわかるとおり、イケメンには程遠いさえない風貌に親近感を覚え、思わず応援してしまった音楽ファンも多かったのでは?
とにかく各方面から絶賛され、Ron Sexsmithという才能を世界中の音楽ファンに知らしめたアルバムです。かのElvis Costelloが“今後20年は聴き続けられる”と本作を絶賛し、自らのライブのオープニング・アクトに起用したのは有名な話ですね。
Ron Sexsmithのエントリーで毎回書いていますが、僕の場合はRonの実直そうなヴォーカルと魔法のメロディを聴いていると、大好きなJackson Browneと共通する何かを感じてしまいます。Ron Sexsmith自身はJackson Browneからの影響は否定していますが。
僕にとっては"静かなる衝撃作!"といったところですね。
振り返れば、本作『Ron Sexsmith』を聴いたのを契機に、Ron Sexsmith以外の男性SSWの新作はあまり聴かなくなったような気がします。"男性SSWが聴きたい時はRon Sexsmithを聴けば良い"といった心境になっているのかもしれませんね。
また、Ron Sexsmithの初期作品では90年代を代表するプロデューサー&エンジニアMitchell Froom & Tchad Blakeの貢献も忘れてはいけませんね。本作ではMitchell Froomがプロデュース、Tchad Blakeがミックスを担当していますが、2nd『Other Songs』、3rd『Whereabouts』は2人でプロデュースしています。
本作を改めて聴き直すと、Ron SexsmithとMitchell Froom & Tchad Blakeの相性の良さを実感できます。Mitchell Froom & Tchad Blakeによるローファイな音世界がRonの書く歌詞&メロディに上手くハマっています。
レコーディングにはJerry Scheff(b)、Jerry Marotta(ds、per)といった名うてのミュージシャンも参加しています。
Leonard Cohenのカヴァー「Heart With No Companion」以外はRonのオリジナルです。
"静かなる衝撃作!"をご堪能下さい。
全曲紹介しときやす。
「Secret Heart」
本作を聴いた多くの人の心をつかんだ名曲がオープニングです。さえない男が秘めた恋心を歌うラブソングというのがグッときます(笑)。何気なさの中に切なる思いが込められている感じがサイコーです。本曲を初めて聴いた時、"90年代のJackson Browneが遂に現れた"と思ったものです。
http://www.youtube.com/watch?v=S4X_l8PIobc
Rod Stewart(アルバム『When We Were the New Boys』収録)やカナディアン女性SSW Feist(アルバム『Let It Die』収録)等がカヴァーしています。
Feist「Secret Heart」
http://www.youtube.com/watch?v=QP1nnMyaQ5o
「There's A Rhythm」
決してリズミカルな曲ではありませんが、この曲の中には確かなリズムが流れています。こういう曲はMitchell Froom & Tchad Blakeの手腕が発揮されます。
http://www.youtube.com/watch?v=IsEZPvipd2U
「Words We Never Use」
初期Ron Sexsmith作品らしいジワジワと感動が広がってくる1曲。Ronの優しい歌声&メロディを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=YuNzfhFG8iQ
「Summer Blowin' Town」
この曲はロック調サウンドです。こういったシンプルなロック・サウンドにもRonのヴォーカル&楽曲はよくマッチしますね。極寒の中で夏の訪れを待つ・・・冬ですなぁ(笑)
「Lebanon, Tennessee」
Ronの魔法のメロディとジェントル・ヴォーカルが全開の1曲。孤独を求める歌詞も含めてRon Sexsmithらしさを満喫できる1曲です。
「Speaking With The Angel」
前述のRon Sexsmith & The Uncool『Grand Opera Lane』にも収録されていた楽曲です。Ronの子供に向けて歌った曲だと思います。本ヴァージョンも『Grand Opera Lane』ヴァージョン同様にシンプルな仕上りですが、後半にチェロが入り感動が深まります。『Grand Opera Lane』ヴァージョンと聴き比べると、Mitchell Froom & Tchad Blakeの手腕による本作ならではの音響感が実感できると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=0udEeDCHapY
「Speaking With The Angel」(From 『Grand Opera Lane』)
http://www.youtube.com/watch?v=Pxnjwr8_tdw
「In Place Of You」
RonのSSWとしての才能とMitchell Froom & Tchad Blakeによるローファイ・サウンドが上手く噛み合った1曲に仕上がっています。
「Heart With No Companion」
カナディアンSSWの先輩Leonard Cohenのカヴァー。オリジナルは名作『Various Positions』(1984年)に収録されています。飾り気のない低音ヴォーカルでしみじみ歌うオリジナルを聴き慣れていると、Ronヴァージョンはサラッとした印象かもしれませんね。チカーノ・テイストのローファイ感はMitchell Froom & Tchad Blakeらしさが出ていますね。
Leonard Cohen「Heart With No Companion」
http://www.youtube.com/watch?v=Mz27b4lrbeo
「Several Miles」
この曲もRon SexsmithとMitchell Froom & Tchad Blakeの相性の良さを実感できる1曲です。ロード・ムーヴィーのBGMなんかにピッタリなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=RAe4DGcEY_o
「From A Few Streets Over」
シンプルな演奏ですが、逆に本作らしい音空間を楽しめる1曲となっています。
http://www.youtube.com/watch?v=J8VCzQPNGx4
「First Chance I Get」
本作で最もロックしている楽曲。Ronのロック魂を垣間見ることができます。
「Wastin' Time」
しみじみと心に沁み渡る1曲。ふと立ち止まり、自分を見つめ直したくなる時に聴きたくなります。聴いていると自然と涙腺が緩くなってきますね・・・
http://www.youtube.com/watch?v=kt8PpLtIctc
「Galbraith Street」
淡々とした語り口にヤラれてしまう1曲。Ronらしいメロディをシンプルな演奏で満喫できます。
「There's A Rhythm (Reprise)」
ラストは2曲目の「There's A Rhythm」のリプライズ。この曲のみU2作品尚等で知られる売れっ子プロデューサーDaniel Lanoisがプロデュースしています。共に独特の音響感を持つMitchell Froom & Tchad Blakeとの対比で聴くと面白いと思います。
Ron Sexsmithの過去記事もご参照下さい。
『Other Songs』(1997年)
『Whereabouts』(1999年)
『Blue Boy』 (2001年)
『Retriever』(2004年)