発表年:1970年
ez的ジャンル:イージーリスニング系フレンチ・ボッサ
気分は... :TVタレント?ギタリスト?
今回は現在は日本人の智有蔵上人さんが、フランス人Claude Ciariであった頃にClaude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven名義でレコーディングしたフレンチ・ボッサ・アルバム『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』(1970年)です。
Claude Ciariは1944年フランス、ニース生まれのギタリスト。
1960年にフレンチ・ロック・バンドLes Championsを結成し、人気を博しました。その後独立してギタリストして活動するようになり、1964年に「La Playa(夜霧のしのび逢い)」を世界的に大ヒットさせ、注目を浴びます。
1975年に日本人と白系ロシア人とのハーフの元モデルのジェーン矢田と結婚し、日本に永住するようになります。さらに1985年には日本に帰化し、名前も智有蔵上人に改名しています。
記憶が定かではありませんが、子供の頃から「クロード・チアリ」という名前に馴染みがあった気がします。ギタリストとして認識していたのか、TVタレントとして認識していたのか曖昧ですが・・・山城新伍が司会のクイズ番組『アイ・アイゲーム』に出演している彼を観たことがありますが、それ以前から知っていたような気がします。
今回紹介する『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』(1970年)は、映画音楽で知られるフランス人作曲家/アレンジャーBernard Gerardとのコラボによるフレンチ・ボッサ作品です。さらにバックの演奏メンバーはThe Batucada's Sevenと名付けられています。
具体的にはstrong>Claude Ciari(g)、Bernard Gerard(p)、Jean Musy(org)、Maick Miguel(bongos、ds)、Guy Pedersen(b)、Jean-Marc Hauser(ds)、Raymond Guiot(fl)、Anne Germain(vo)というメンバーがレコーディングに参加しています。バック陣の数が7名にならないのですが???
特に本作の魅力アップに大きく貢献しているのが、セクシーな女性スキャットを聴かせてくれるAnne Germain(vo)です。彼女の名前にピンと来た方はかなりのサントラ通!Anne Germainは、巨匠Michel Legrandが音楽を担当したフランス映画『Les Demoiselles De Rochefort(ロシュフォールの恋人たち)』(1967年)のサントラで主人公の双子の美人姉妹の一人、Catherine Deneuve演じるDelphine(デルフィーヌ)のヴォーカル・パートを務めていました。
全10曲、ボサノヴァ名曲、ポピュラー/ジャズのスタンダード、Claude Ciari/Bernard Gerard作のオリジナルがバランス良く配されています。意外にオリジナル楽曲が侮れない出来栄えでグッときます。
「夜霧のしのび逢い」やTVタレントのイメージに囚われずに聴いて欲しいですね。
これぞフレンチ・ボッサ・ギターの最高峰!
全曲紹介しときやす。
「Felicidad」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作のボッサ名曲のカヴァー。哀愁モードのCiariのギターにフルートや女性スキャットが絡み、気分はサウダージ・モードへ・・・
本曲について、当ブログではRamsey Lewis Trio、Kenny Drew、Milton Nascimento、Sirius Bのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「Raindrops Keep Fallin' On My Head」
映画『明日に向って撃て!』の挿入歌としてお馴染みB.J.Thomasによる全米No.1ヒット「雨にぬれても」のカヴァー(Hal David/Burt Bacharach作)。当ブログではFree Designのカヴァーも紹介済みです。ここではイージーリスニング風の親しみやすいカヴァーに仕上がっています。
「Holiday's Trail」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。穏やかなイージーリスニング風サウンドとグルーヴィーなお色気ラウンジ・サウンドが交互に登場します。
「Yesterdays」
Jerome Kern/Otto Harbachによる1933年のミュージカル『Roberta』挿入歌。当ブログではClifford Brown、Jack Marshall & Shelly Manneの演奏も紹介済みです。ここでは哀愁のメロディからAnne Germainのスキャットが導くフレンチ・ボッサへと展開します。
「The Shadow Of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画『いそしぎ』の主題歌(Paul Francis Webster/Johnny Mandel作品)をカヴァー。お馴染みの名曲を軽快なボッサ・チューンで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Hu1i9fGTnWY
本曲について、当ブログではJohn Patton、Lou Donaldson、Johnny Lytle、The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited、Ann Burton、Pucho & The Latin Soul Brothers、Astrud Gilberto、Os Tres Brasileiros、Pauline Londonのカヴァーを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「Funky Beat」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。個人的には本作のハイライト。名曲カヴァーに負けない強力オリジナルです。ボンゴがパカポコするファンキー・ビートにのって、Ciariのギター、ピアノ、フルートが心地好く響きます。Anne Germainのセクシー・スキャットもサイコー!ラウンジ・ボッサ好きにはたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=swmF6S2n5G4、
「Moonlight In Vermont」
John Blackburn/Karl Suessdo作のスタンダードをカヴァー。透明感のある演奏が心を浄化してくれます。
「Bahia Style」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。「Funky Beat」と双璧をなす強力オリジナル。Anne Germainのダバダバ・スキャットがセクシーに響き渡る軽快なブラジリアン・グルーヴです。
「Manha De Carnaval」
Luiz Bonfa作のボサノヴァ名曲「カーニバルの朝」のカヴァー。Ciariの哀愁ギターを堪能しましょう。
本曲について、当ブログではDexter Gordon、Gerry Mulligan、Balanco、Astrud Gilberto、Jack Marshall & Shelly Manne、Steen Rasmussen Feat. Josefine Cronholm、Oscar Peterson、Akua Allrichのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「Sunrise」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。ラストは少し寂しげなメロディがグッとくる哀愁ボッサ。聴いていると何故か一人でさすらいたくなります。
他のフレンチ・ボッサ作品の過去記事もご参照下さい。
Jeanne Moreau『Jeanne Chante Jeanne』
Les Masques『Brasilian Sound』
また、本作で妖艶なスキャットを聴かせてくれるAnne Germainも参加している、フランス映画のサントラ名盤『Les Demoiselles De Rochefort(ロシュフォールの恋人たち)』もチェックを!
O.S.T.(Michel Legrand)『『Les Demoiselles De Rochefort』