発表年:1973年
ez的ジャンル:クール・ファンク
気分は... :ケ・セラ・セラ☆
今回は久々のSly & The Family Stoneということで『Fresh』をセレクト!
ファンク、ブラック・ミュージックの風雲児だったSly StoneことSylvester Stewartの作品では以前に紹介した『Stand!』(1969年)が、僕にとって最もインパクトのある作品だった。
個人的には、Sly & The Family Stoneの作品の中で『Dance To The Music』(1968年)から『Life』(1968年)、『Stand!』(1969年)、『There's A Riot Goin' On』(1971年)、『Fresh』(1973年)までの5枚はマスト・アイテムだと思っている。
今回は取り上げた『Fresh』(1973年)は、Marvin Gaye『What's Going On』への回答として、どん詰まりのアメリカ社会の姿を映し出したへヴィーな傑作『There's A Riot Goin' On』(1971年)の次に発表されたアルバムである。
『There's A Riot Goin' On』から本作発表までの間に、Slyはドラッグ漬けになり、死亡説も流れる始末に!またグループの有力メンバーだったベーシストのLarry Grahamらが脱退するなど、Slyを取り巻く環境は決して芳しいものではなかった。
そんな中で発表されたアルバムが『Fresh』である。困難な状況を乗り越えた心機一転の思いがタイトルやジャケ写真に反映されているんじゃないかなぁ。
このアルバムはSlyファンの間でも賛否両論分かれる作品みたいですね。僕の印象だと、昔からのSlyファンの人ほどこのアルバムに対して厳しい評価をし、若いSlyファンほどこの作品に好意的であるってカンジがします。昔からのSlyファンは、『Stand!』以前のパワフルでダイナマイトなサウンドを期待する人が多いのかもね?
この作品が批判される際によく使われるのが“楽観主義”という表現である。その意味するところは、前作『There's A Riot Goin' On』にあったアメリカ社会への絶望感を鋭いメスでえぐってみせたメッセージ性が希薄であるというネガティブな評価である。
そんなビミョーな評価の『Fresh』であるが、個人的には『Stand!』と並んで、聴く頻度が多いお気に入りアルバムであり、大傑作だと思っていマス。
Slyが多重録音により一人で殆ど仕上げた『There's A Riot Goin' On』の無駄を削ぎ落としたシンプルでスカスカなサウンドは悪くはないが、個人的にはもう少しグルーヴ感が欲しい気がする。
そんな僕にとって、シンプル&クールかつファンキーなグルーヴが聴ける『Fresh』は、かなりストライクなアルバムだ。Rusty Allen(b)とAndy Newmark(ds)という新たに加入したリズム隊のファンキーなグルーヴ感がかなりイイんじゃないかと思いマス。
この作品が若いリスナーにウケがいいのは、この作品の持つクールなグルーヴ感が、今日のR&B/Hip-Hop作品と共通するフィーリングを持っているからではないかと思う。
全曲紹介しときヤス。
「In Time」
リズムボックスのクールなピコピコ・サウンドに、ファンキーなリズム隊が絡んでくるグルーヴが最高にカッチョ良いナンバー。まさにフレッシュなSlyというカンジで大歓迎っす。
「If You Want Me To Stay」
シングル・ヒットした代表曲。ダラダラだけどファンキーな雰囲気がいいよね。特にRusty Allenのベースが印象的だよね。本ブログでも紹介したEric Benetをはじめ、Red Hot Chili Peppers、Victor Wootenなどのカヴァーやサンプリング・ネタとしても使われていますね。個人的にはMica Parisのカヴァーがお気に入り☆
「Let Me Have It All」
この曲のサビの♪Let Me Have It All〜♪って部分を初めて聴いた時、子供の頃何処かで聴いたことがある!って思った。一体どこで聴いたんだろう?今でも謎のままだ。でも、その分思い入れのある曲。Simply Redもカヴァーしていました。
「Frisky」
この曲もルーズなグルーヴ感もヤバいねぇ。女声コーラスの盛り上げ方もイイっす。
「Skin I'm In」
イントロのスリリングさが大好きなソウルフル・ナンバー。ホーン・セクションがカッチョ良いっですな。この曲聴いていたら、エレクトリック・マイルス時代のMiles Davisが聴きたくなってキタ!
「Don't Know (Satisfaction)」
タイトルからして、Rolling Stones「Satisfaction」のファンキー・バージョンってカンジの曲。
「Keep On Dancin'」
いきなり♪Dance To The Music〜♪のフレーズが、これが1973年版の「Dance To The Music」って意味合いだったのかもね?
「Que, Sera, Sera (What Will Be, Will Be)」
この曲も本作のハイライトの1つかもね。ご存知Alfred Hitchcock監督の代表作の1つである映画『The Man Who Knew Too Much(知りすぎていた男)』の主題歌のカヴァーですね。個人的には、この映画が大好きなので、オリジナルのDoris Dayバージョンもかなり好きなんだけどね。Slyがカヴァーすると、この名曲に独特の儚さ、虚しさが加わり、全く別の味わいになるね。これはこれで大好きデス。
「If It Were Left Up To Me」
この曲の盛り上がりなんかは、昔のSlyの雰囲気に近いナンバーなのでは? それでもどこか虚しいのが本作ならではの雰囲気なのかもね。最後のチャチャチャンって呆気ないエンディングも大好き!
「Babies Makin' Babies」
ブルージーなファンキーさがカッチョ良いナンバー。以前に本曲をモチーフにしたBeats International「Babies Makin' Babies (Stoop Rap)」を紹介しましたね。
Sly & the Family Stoneの代表作と言えば、『Stand!』と『There's A Riot Goin' On』の2枚が取り上げられることが圧倒的に多いが、90年代半ば以降から今日までのR&B/Hip-Hopの流れを眺めていると、案外本作の影響力は大きいのではと思ってしまう。
ところで今年のグラミーでは久々にスライが姿を現しました(!)が、あのモヒカンヘアはどうなんでしょうね。。。
ありがとうございます。
このジャケの陽気な笑顔に、『Fresh』というタイトル、そして「Que, Sera, Sera」のカヴァーには、どん詰まり状況を抜け出したいSlyの心情がよく表れている感じですよね。
グラミーのSly登場には僕も驚きました。
たまたま生放送で観ていましたが、おもむろに「I Want To Take You Higher」を歌い、演奏が終わると疾風のようにステージから去っていった一瞬の出来事に大興奮でした。63歳でモヒカンなんてSlyらしいと言えばらしいですが...(^_^;