発表年:2001年
ez的ジャンル:UKフューチャー・ジャズ&ソウル
気分は... :喉元すぎれば熱さを忘れる?
最近、いろいろな面で裏切られた思いをしたことがかあります。
僕の場合、(実際は違いますが)温厚そうな外見が災いしているのかもしれません。
相手からすると、「まぁ、アイツだったら多少ぞんざいに扱っても大丈夫だろう・・・」という調子なのでしょう。
人は「喉元すぎれば熱さを忘れる」なんですね・・・
ただし、そこで人を恨んでも自分の人生に全くプラスにならないので、忍耐強く、粘り強く対処するように心掛けていますが・・・自分の限界も近いような???
こんな下げモードを救ってくれる特効薬はやはり音楽ですね。
ということで今日は飛び切りクリエイティヴな1枚を聴きたい気分です。
セレクトしたのは、Dego、Marc Macの2人による人気ユニット4Heroが2001年にリリースした『Creating Patterns』です。
当ブログで紹介した4HeroおよびDego関連の作品は以下の3枚です。
『Parallel Universe』(1994年)
Tek 9『Simply』(1999年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
1st『In Rough Territory』(1991年)をリリース。2nd『Parallel Universe』(1994年)、3rd『Two Pages』(1998年)に続く4thアルバムとなる本作『Creating Patterns』は、ドラムンベースの雄として名を馳せた4Heroがドラムンベースの枠を飛び越え、新境地へ向かった作品として評価の高い1枚ですね。
『Parallel Universe』(1994年)でドラムンベースのトップランナーとしての地位を確立し、2枚組の大作となった3rd『Two Pages』(1998年)ではより音楽性の幅を広げや完成度の高いサウンドを聴かせてくれたUKクラブミュージックの雄4Heroが、次にどこへ向かうのかというのは多くの音楽ファンが注目していたと思います。
そして、彼らが辿り着いた先はフューチャー・ジャズ&ソウル/ブロークンビーツでした・・・と書きながら、僕はこの時期の彼らをリアルタイムでフォローすることができていませんでした。「4Hero=ドラムンベース」という固定観念が邪魔をして、『Two Pages』までで彼らに一区切りつけてしまった感がありました。そもそもこの時期はUKクラブミュージック全般から離れており、6年半前に当ブログ開設した後、さまざまな佳作をスルーしていたことに気付き、遅ればせながらチェックしてきた次第です。
21世紀スタイルのソウル&ジャズを聴かせてくれる本作には、Ursula Rucker、Bembe Segue、Jill Scot、Lady Alma、Patricia Marx、Face、Mark Murphy、、Carina Andersonといった多彩なヴォーカリストがフィーチャーされています。このメンバーだけでも本作は買いという気がしますよね。
また、Bugz In The AtticのSeiji、Kaidi Tatham等もレコーディングに参加しています。
改めて聴くと、西ロンドン系クラブミュージックのエッセンスが見事に凝縮された1枚に仕上がっていますね。ブラジル、ラテン、アフロ等のエッセンスを違和感なく取り入れているあたりも現在の僕の音楽嗜好とフィットしています。唯一オリエンタルのエッセンスは違和感有り×2ですが(笑)
後追いでもフォローすべき歴史的名盤だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Conceptions」
ジャジー・ビートにストリングスが絡むエレガントなオープニング。シタールやタブラでインド・テイストのスパイスを効かせています。
http://www.youtube.com/watch?v=4_MOeEIRC6o
「Time」
Ursula Ruckerのポエトリー・リーディングをフィーチャー。ジャジー&オーガニックな序盤から中盤はドラムンベース調へテンポアップしていきます。ネオ・フィリー系のシンガー/ラッパー/詩人Ursula Ruckerは前作『Two Pages』のオープニング「Loveless」でもフィーチャーされていました。他にも当ブログで紹介した作品で言えば、The Roots作品やRichard Earnshaw『In Time』でフィーチャーされています。
http://www.youtube.com/watch?v=f6IUBrTmC7M
「Golden Solitude」
西ロンドンの歌姫Bembe Segueをフィーチャー。ダークなスペイシー感にグッとくるフューチャー・ディスコ。Bembe Segueの個性的なヴォーカルが栄えます。Bembe SegueはMark De Clive-Lowe、Jazzanova、Nicola Conte等クラブ・ミュージックの重要作品には欠かせない女性シンガーですね。
「Twothesme」
不気味なコズミック感を醸し出すインスト。アフロな前半から後半はフリーキー・ジャズな表情も加わっていきます。
「Another Day」
人気ネオ・ソウル・シンガーJill Scotをフィーチャーして話題となった1曲。4Heroらしからぬネオ・ソウル・チューンと思いきや中盤から本作らしいリズムを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=SzP8bVMaRCs
「Hold It Down」
US女性シンガーLady Almaをフィーチャーした人気曲。爽快に疾走するブロークンビーツは実に心地好いです。当ブログではBah Sambaのリード・シンガーAlice RussellをフィーチャーしたThe Quantic Soul Orchestraのカヴァーも紹介済みです。多方面で活躍するディーヴァLady Almaは2000Black作品でもフィーチャーされています。他にも当ブログで紹介した作品で言えば、Zo!『SunStorm』に参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=1gYi7Yp3n-Y
「Unique」
クラブミュージック好きに人気の高いブラジル人シンガーPatricia Marxをフィーチャーしたブラジリアン・ブロークンビーツ。Bebel GilbertoやSabrina Malheirosが大好きな僕にとってはど真ん中な1曲です。
「Something Nothing」
UKの女性シンガーFaceとLady Almaをフィーチャー。Roger Beaujolaisのヴァイヴの音色が心地好いラテン・フレイヴァーの効いたクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。西ロンドンというよりもニューヨリカンな香りがします。
「Ways Of Thought」
Faceをフィーチャー。西ロンドンらしいリズムを満喫できるフューチャー・ジャズな1曲。心地好いパーカッシヴな疾走感がたまりません!実に完成度の高い1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=c1qRydEDUFc
「Eight」
トライバル&エレクトリックなインスト・チューン。Degoの最新作『A Wha' Him Deh Pon?』を聴いた後に聴くと、こういう曲もDegoらしいのかなという気がします。
「Twelve Tribes」
ベテラン男性ジャズ・シンガーMark Murphyのスポークン・ワードをフィーチャー。前半のオリエンタル情緒な展開は???ですが、中盤からハードバップなリズムが加わり安堵します(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=2LIgFf5gWb0
「2-BS-74638」
Degoの実験室!といった趣のフューチャー・ジャズなインスト。
「Les Fleur」
ラストはMinnie Ripertonの名曲カヴァー(Charles Stepney/Richard Rudolph作)。オリジナルはアルバム『Come to My Garden』に収録されています。ここではCarina Andersonをフィーチャーし、オリジナルと同様に重厚なコーラスと壮大なオーケストレーションによるカヴァーを聴かせてくれます。あえて忠実にカヴァーしたあたりに本作のねらいを紐解くヒントがあるのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=GgyEEf-0tfo
国内盤には「The Day of The Greys」(feat. Terry Callier)、「2000 Black」(feat. Roy Ayers)、「B-Side Track」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
他の4Hero作品もチェックを!
『Parallel Universe』(1994年)
『Two Pages』(1998年)
『Play with the Changes』(2007年)
Dego関連の過去記事もご参照下さい。
Tek 9『Simply』(1999年)
2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
ご無沙汰です。
このアルバムからいろいろ広がりました。
ソウルシンガー好きなのでjillとか2000Black『A Next Set A Rockers』のNadine Charlesなんかよかったです。
またよらせてもらいます
ありがとうございます。
さまざまなジャンルが交錯する、まさにクロスオーヴァーな1枚ですね。
フィーチャリング・ヴォーカリストをチェックするのも、こうしたアルバムの楽しみですね。Nadine Charlesは昨年出たDegoの初ソロでもフィーチャーされていましたね。