発表年:1989年
ez的ジャンル:デジタル・ビート系UKポップ
気分は... :何も考えず...
今日はなんか無機質なビートが聴きたい気分...ということでNew Order『Technique』をセレクト。
僕にとってのNew Orderは、どうしても前身グループのJoy Divisionのイメージが強い。
Joy Divisionは1977年に結成されたポスト・パンクの代表的なグループである。暗いメロディに、孤独感漂う歌詞はいかにもUKらしい陰のあるグループであった。しかし、2ndアルバム『Closer』の発表直前に中心人物Ian Curtisが首吊り自殺し、突如グループは終焉を迎えた。
そして、残ったメンバーは紅一点のGillian Gilbertを迎え、新たにNew Orderとして再出発したのだった。再出発したNew Orderは、1983年のシングル「Blue Monday」と共にシーンの表舞台に戻ってきた。ちなみタイトルは、Ianの死が確認された月曜日を意味したものだ。この運命の日を無機質なデジタル・ビートで表現し、独自のシニカルなエレクトロ・ポップを確立していった。
本作『Technique』は、そんな彼らのエレ・ポップが1つの頂点に達した作品である。当時のUKの一大ムーブメントであったアシッド・ハウスの聖地イビザ島で録音された本作は、UKチャートNo.1にも輝き、“セカンド・サマー・オブ・ラブ”を象徴するアルバムのように言われる。
しかし、僕の中では、イビザの開放的なムードとは対極にある閉鎖的なダンス・ミュージックがNew Orderのように思えて仕方ない。New Orderのポップさって、美しくも、儚く、虚しいカンジがする。
何か今までの文脈だとNew Orderに対するネガティブな印象しか与えていないかもしれないね。実際、僕自身は自分がNew Orderが好きだという自覚はない。でも、Joy Division、New Orderのアルバムをそれなりに持っているし、能天気な僕でも、時にはこんな儚く、虚しい音楽を欲することもある。
人間誰しも、いつも楽しいわけではない。むしろ、辛かったり、虚しかったりすることの方が多いのかもしれない。それでも人は生きていかねばならない。
顔で笑って、心で泣いて...それもまた人生の1ページ。そんな時には無理矢理頑張らなくてもいい。何も考えずこんな空虚なビートで無為な時間を過すのも悪くはない。
全曲紹介しときヤス。
「Fine Time」
シングル・カットもされたアシッド・ハウスな1曲。ダンスの遺伝子を持っていないメンバーが作ったダンス・ナンバーが、(いい意味で)無機質なカンジで好きだなぁ。
「Round & Round」
これもシングルになったナンバー。彼ららしいダンサブルでエクスタシーな哀愁エレ・ポップですな。
「All the Way」
彼ららしくない爽やかで明るいアコースティックなポップ・ナンバー。意表を突かれるよね。
「Love Less」
この曲はかなりいいね。同じアコースティックでもコチラの方が“楽しくない明るさ”があって、New Orderらしい美学を感じるねっ☆。
「Guilty Partner」
懐かしのニューウェイブってカンジのナンバー。さすが元ポスト・パンク・グループ!それにしてもエレジーだなぁ。
「Run」
この曲の虚しさって、Primal Scream『Screamadelica』あたりにも通じるものがあるかもね。Primalの「Come Together」を続けて聴きたいカンジ!
「Mr. Disco」
全然楽しくない無機質なダンス・ナンバー。虚しくミラー・ボールが輝いている閑古鳥のディスコが思い浮かぶ。でも、そんな雰囲気こそが魅力のナンバー。
「Vanishing Point」
お得意の哀愁エレ・ポップなダンス・ナンバー。このピコピコ感が個人的には大好き!
「Dream Attack」
なんかこの曲を聴いていたら、何故だかふとA-Ha「Take On Me」を思い出した(懐かしい!)!この煮え切らないカンジが共通しているのかも?
今日はあまり頭を使いたくない。この空虚なビートをぼんやり聴きながら、儚い夢でも見てみよう!そして目覚めれば、いつもの能天気なオレがそこにいるはず♪
ありがとうございます。
残念ながら「Bizarre Love Triangle」収録の『Brotherhood』は持っていないんです。
前後の『Low-Life』、『Technique』はあるのですが....
「Bizarre Love Triangle」の12インチ・ヴァージョンは聴いてみますね!