2006年10月08日

Bob Dylan『Hard Rain』

Dylanのロック魂が剥き出しになった音楽巡礼ライブ☆Bob Dylan『Hard Rain』
Hard Rain
発表年:1976年
ez的ジャンル:ロック詩人による音楽巡礼ライブ
気分は... :雷鳴が轟き、ロック魂を呼び覚ます!

一昨日、首都圏を襲った激しい雨の中、ふとこのアルバムを手にしていた。
Bob Dylanのライブ・アルバム『Hard Rain』(1976年)☆

永遠のロック詩人Bob Dylanの紹介は、『Highway 61 Revisited』(1965年)に続き2回目になります。

個人的には、Bob Dylanの全キャリアの中で『Planet Waves』(1974年)、『Before the Flood』(1974年) 、『Blood on the Tracks』(1975年)、『Desire』(1976年)、『Hard Rain』(1976年) という70年代中期の5作品がDylanの絶頂期だったように思うし、この5枚を聴く頻度が最も高い。

『Hard Rain』は、1975〜1976年に行われた伝説のライブ・ツアーThe Rolling Thunder Revueのうち、1976年5月のライブを収めたものである。

1974年にThe Bandとのライブ・ツアーを収めた2枚組ライブ・アルバム『Before the Flood』を発表してから、わずか2年で新たなライブ・アルバムを発表するというあたりに、Dylanがよほどの手ごたえを感じていたのだと思う。

The Rolling Thunder Revueは、通常のプロモーターが会場を押さえ、チケットを予約するスタイルとは異なり、公演の日時・場所を直前に手渡しのビラなどで告知するというユニークなスタイルのライブ・ツアーであり、さながら全米を巡礼する音楽巡礼団のように評された。

巡礼団のメンバーは、Mick Ronson(g)、 T-Bone Burnette(g、p)、Steven Soles(g、vo)、David Mansfield(g) 、Rob Stoner(b、vo) 、Howard Wyeth(ds、p) Gary Burke(ds)、 Scarlet Rivera(vio)といったところ。T-Bone Burnetteは、以前にDylanの息子Jakob Dylan率いるThe Wallflowers『Bringing Down The Horse』のエントリーで紹介しましたよね。

僕がこのアルバムが好きなのは、野外スタジアムで激しい雨が降ると予測された悪条件の中で、それに立ち向かうかのごとく、ロッカーとしてのBob Dylanの姿が自然なかたちで剥き出しになっているカンジがするからだ。気心知れた仲間とのユニークなツアーの中で、ライブならではの臨場感も十分伝わってくるしね☆

Bob Dylanに対して“フォークの神様”のイメージが強い方は、このアルバムでロッカーとしてのDylanを堪能して欲しいっす♪

全曲紹介しときヤス。

「Maggie's Farm」
Dylanが最初にエレクトリック・サウンドを導入したアルバム『Bringing It All Back Home』 (1965年) からのナンバー。まさにローリング・サンダーのように激しくロックしている演奏が大好き!

この曲は、Paul Betterfield's Bluse Bandを従え、初めてエレクトリック・サウンドをライブで披露したところ、コアなフォーク・ファンから大ブーイングを浴び、わずか3曲でステージを降りてしまった、有名な1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルのオープニング・ナンバーだった曲である。そう思うと感慨深い1曲だ。

「One Too Many Mornings」
フォーク時代のアルバム『The Times They Are A-Changin'』(1964年)からのナンバー。 オリジナルのフォークな仕上がりから一転し、感動的なロック・バラードとなっているあたり、この間のDylanの成長の軌跡が窺えるのでは?

♪君の立場から君は正しい♪僕の立場から僕は正しい♪という歌詞が僕の胸に深く染み渡る。

「Stuck Inside of Mobile With the Memphis Blues Again」
『Highway 61 Revisited』と並ぶ60年代の名盤『Blonde on Blonde』 (1966年)からのナンバー。フォーク・ロックな仕上がりデス。

「Oh, Sister」
この時点の最新スタジオ・アルバム『Desire』 (1976年)からのナンバー。オリジナルはEmmylou Harrisとのデュエット。ここではScarlet Riveraのバイオリンが感動を盛り上げてくれマス。

「Lay Lady Lay」
カントリー色を強めたアルバム『Nashville Skyline』(1969年)からのナンバー。個人的にDylan作品の中でも特に大好きな曲の1つ。Isley Brothersファンの僕としては、Isleysのカヴァーの影響が大きいんだけどねぇ。本バージョンは、オリジナルから2番の歌詞が書き直されていマス。

「Shelter from the Storm」
「You're a Big Girl Now」
70年代のアルバムの中でも特に評価の高いアルバム『Blood on the Tracks』 (1975年) からの2曲。「Shelter from the Storm」はファンキーでご機嫌な仕上がり。個人的に好きな「You're a Big Girl Now」は味わい深く聴かせてくれマス。

「I Threw It All Away」
アルバム『Nashville Skyline』からの曲。僕も大事なものを投げ出さないように肝に銘じよう!

「Idiot Wind」
ラストは『Blood on the Tracks』からのとっておきの1曲。ビートニクの巨匠Allen Ginsbergに“この曲を新しいアメリカ国歌にすべき”と言わしめた名曲である。このライブでは、Dylanが激しく怒れる口調でたたみかける。熱心なDylanファンからは怒られそうだが、この曲なんか聴いているとDylanがラッパーのように思えてくる。

The Bandを従えたライブ・アルバム『Before the Flood』(1974年)もいいですよ。こちらの方が代表曲が網羅されているので、Dylan入門編にはいいかも?
posted by ez at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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