発表年:1971年
ez的ジャンル:亡命系フォーキーMPB
気分は... :髭面のジャケが雰囲気あるよね!
今回はMPBを代表する大物アーティストGilberto Gilが1971年にリリースした『Gilberto Gil(邦題:イン・ロンドン)』です。
Caetano Velosoと共にブラジル音楽界を牽引し、文化大臣も務めた功労者Gilberto Gilの紹介は、『Gilberto Gil(邦題:日曜日の公園で)』(1968年)に続き2回目となります。
前回のエントリーでも書いたとおり、この時期のGilberto Gil作品は、『Gilberto Gil(邦題:日曜日の公園で)』(1968年)、『Gilberto Gil(邦題:セレブロ・エレトローニコ)』(1969年)、『Gilberto Gil(邦題:イン・ロンドン)』(1971年)とセルフ・タイトル作が続くのでジャケで区別しておくのが良いかもしれません。
『Gilberto Gil(邦題:日曜日の公園で)』(1968年)
『Gilberto Gil(邦題:セレブロ・エレトローニコ)』(1969年)
今日紹介する『Gilberto Gil』(1971年)は、他のセルフ・タイトル2作品と区別する意味で、邦題の"イン・ロンドン"、オープニング曲の"Nega"、リリース年の"1971"といった名称で区別することが多いようです。
Caetano Velosoらと音楽を中心としたカウンター・カルチャー運動トロピカリア(トロピカリズモ)を牽引しGilberto Gilですが、当時のブラジル軍事政権から反体制分子と見なされ、1969年に止むを得ずCaetanoと共にロンドンへ亡命することになります。
そして、亡命先のロンドンで録音したアルバムが本作『Gilberto Gil』(1971年)となります。その意味で、同じ"イン・ロンドン"という邦題が付けられたCaetanoのロンドン録音アルバム『Caetano Veloso』(1971年)とは兄弟アルバムという関係に位置づけられるかもしれませんね。
Caetano Veloso『Caetano Veloso』(1971年)
さて、本作『Gilberto Gil』ですが、ロンドン録音ということもあり、全編英語で歌われています。その意味では、他のGilberto Gil作品とは少し異なる印象を持つ作品かもしれません。
全体としてはロンドン録音ならではの少し霧がかかったフォーキー作品に仕上がっていると思います。この時期のUKらしいロック・テイストの味付けやBlind Faithのカヴァーもあります。ただし、そこにブラジル人らしい感性が加わり、UKフォーキー作品とはビミョーに異なる味わいのある作品に仕上がっているのが本作の魅力だと思います。
『Caetano Veloso』(1971年)と共に、いかにもロンドンな(?)髭面のジャケにもグッとくる1枚です(笑)
全曲紹介しときやす。
「Nega (Photograph Blues)」
ブルージーな味わいのフォーキー・グルーヴ。ロンドン録音らしいロックなスパイスも効いており、UKロック好きの人にもしっくりくる1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=vDtD2tcNxfs
「Can't Find My Way Home」
Blind Faithのカヴァー(Steve Winwood)。オリジナルはアルバム『Blind Faith』にも収録されています。ここでは哀愁を帯びた美しいアコースティック・カヴァーで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ycqkBJeRAUs
「The Three Mushrooms」
Gilberto Gilらしいセンスでまとめられた1曲。ロンドン録音らしいフォーキー感とブラジル人ならでは感性が上手く融合していると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=yq2DMhLXwH8
「Babylon」
本作らしいブルージーな仕上がり。適度にパーカッシヴなのが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=bke6NTlRGms
「Volkswagen Blues」
『Gilberto Gil(邦題:セレブロ・エレトローニコ)』(1969年)に収録されていた「Volks-Volkswagen Blue」の英語ヴァージョンです。聴き比べてみるのも楽しいと思います。英語で歌われる本ヴァージョンは小粋なアコースティック感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=r78z-gHeZ08
「Volks-Volkswagen Blue」
http://www.youtube.com/watch?v=9kuyK5yz-58
「Mamma」
スタンダードをカヴァーしているかのようなジャジー・ブルージー・チューン。アルバムの中でいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=OT1boxGoQQ4
「One O'clock Last Morning, 20th April 1970」
邦題「1970年4月20日,昨日の朝1時」。何処となく意味深なタイトルですね。そのせいかアコースティック・サウンドなのにミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=uNarljUEpgM
「Crazy Pop Rock」
タイトルの通り、アルバムで最もキャッチーなロック・テイストのフォーキー・グルーヴ。グルーヴィーなロック・チューン好きの人も気に入る1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=iCuVfFkR-Bg
CDには以下の3曲(ライブ録音)がボーナス・トラックとして追加収録されています。
「Can't Find My Way Home」
本編にも収録されているBlind Faithのカヴァーです。コチラの方がフォーキー感が出ています。
http://www.youtube.com/watch?v=2PBaMre1yA8
「Up From The Skies」
The Jimi Hendrix Experienceのカヴァー。オリジナルは『Axis: Bold as Love』に収録されています。アコースティック・ブルースなカヴァーを聴かせてくれます。その意味では、当ブログで以前に紹介したEllen McIlwaineのカヴァーと一緒に聴くのも楽しいかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=8CKJOE03rkk
「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
世紀の名盤The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のタイトル曲をカヴァー。『Gilberto Gil(邦題:日曜日の公園で)』のジャケを観てもわかるとおり、モロに『Sgt. Pepper's 〜』から影響を受けているGilberto Gilのカヴァーは興味深いですね。しかも、アコースティック・カヴァーなのでホワイト・アルバムっぽく聴こえるのが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Y-XtLm_VsPg
他のGilberto Gil作品もチェックを!とりあえず60〜70年代の作品をピックアップしておきます。
『Louvacao』(1967年)
『Expresso 2222』(1972年)
Caetano Veloso e Gilberto Gil『Barra 69 - Caetano e Gil Ao Vivo na Bahia』(1972年)
『Gilberto Gil Ao Vivo』(1974年)
『Refazenda』(1975年)
Gilberto Gil & Jorge Ben『Gil & Jorge - Ogum - Xango』(1975年)
『Refavela』(1977年)
Gilberto Gil & Rita Lee『Refestanca』(1977年)
『Gilberto Gil Ao Vivo Em Montreux』(1978年)
『Realce』(1979年)
『Nightingale』(1979年)