2006年10月10日

The Roots『Game Theory』

知性派Hip-HopバンドのDef Jam移籍第1弾アルバム☆The Roots『Game Theory』
Game Theory
発表年:2006年
ez的ジャンル:知性派Hip-Hopバンド
気分は... :Def Jamだけど...

The Rootsの新作『Game Theory』が、Shawn Carter(Jay-Z)社長のサポートのもとDef Jamから発表された。

個人的には、The RootsとDef Jamってイメージが合致しないけど、メンバー自身はデビュー前からDef Jamに憧れていたのだとか(本当かなぁ??)。

でもって、Def Jam移籍と同時に不恰好なコマーシャル路線に走るのでは?なんて危惧していたが、メンバー自身が語っている通り、ダークな仕上がりのアルバムになっている。

The Rootsは、ドラマーの?uestlove、MCのBlack Thought、Malik B.ビートボクサーのRahzelらを中心に結成されたフィラデルフィア出身のHip-Hopクルー。生音を中心としたジャジーなHip-Hopで注目を集めた。

また、?uestloveは、故Jay Dee(J Dilla)、James Poyserらとプロデュース集団Soulquariansを結成し、D'angeloCommonErykah Baduなどの作品を手掛けた。加えて、後のMusiq、Bilal、Jill Scott、Kindered The Family Soul、Jaguar Wrightらによるネオ・フィリーのムーブメントの土台を作ったのもRootsの功績であろう。

個人的にはRootsの作品の中では、メジャー第1作となった2nd『Do You Want More?!!!??!』(1994年)、3rd『Illadelph Halflife』(1996年)、4th『Things Fall Apart』(1999年)とUKのみでリリースされた6曲入りEP『From The Ground Up』(1994年)の4枚をよく聴く。

やっぱり僕が好きなRootsはジャジーなRootsなのだ!そして、この4枚こそジャジーなRootsに出会うことができる。その意味では、あまりジャジーでは無くなった『Phrenology』(2002年)、『Tipping Point』(2004年)の2枚は正直あまり聴いていない。

本作『Game Theory』においても、かつてのジャジーなRootsに出会うことはできない。
でも、本作を約1ヶ月間聴ききながら、かつての姿をいつまでも求めるよりも、常に進化し続ける彼らの変化を前向きにとらえて楽しむべきかなぁ...なんて心境になってきた。

ジャジーな生音Hip-Hopを聴きたければ、先日紹介したOthello『Alive At The Assembly Line』あたりを聴けばいいしねっ☆

ということで、本作ではダークなRootsサウンドを堪能しましょう!
本作でのメンバーは、Black Thought、?uestlove、Hub、Kamal、Kirk、Knucklesの6名。かつてのメンバーMalik B.も数曲に参加していマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「False Media」
ラフで派手なドラムの鳴りが嬉しい1曲。地を這うような声のWadud Ahmadも印象的だね。Public Enemy「Don't Believe The Hype」ネタ。

「Game Theory」
Malik B.参加のタイトル曲。やはりMalik B.とBlack Thoughtが揃うとRootsらしいよね。哀愁感漂うトラックが好きっす。Sly & The Family Stone「Life of Fortune and Fame」ネタ。

「Don't Feel Right」
アルバムからのリード・シングル。Maimouna Youssefのソウルフルなフックが実に印象的ですな。Ohio Players「Ecstacy」およびKool & The Gang「Jungle Boogie」ネタ。

「In The Music」
Malik B.とPornをフィーチャーしたナンバー。怪しく幻想的な雰囲気がかなりお気に入りっす。

「Take It There」
アラビアン・テイストな1曲。ゲストのWadud Ahmadの声とこのアラビアン・トラックがよくマッチしているんだよね。

「Here I Come」
Dice Raw、Malik B.参加曲。アルバムで一番のお気に入り。?uestloveを中心とした、このスリリングな生音ビートを堪能するのが、今のRootsの楽しみ方なのかもね。そんな演奏に煽られBlack Thought、Dice Raw、Malik B.のMC隊もハイテンションっす。

「Long Time」
Bunny Siglerとグループへの加入が噂されるPeedi Peediが参加のキャッチーな1曲。ポップに弾けてマス。

「Clock With No Hands」
Mercedes Martinezをフィーチャーしたメロウな1曲。この胸キュン度の高さにはヤラれてしまいマス。Mercedes Martinezが実にチャーミングですな。

「Atonement」
Radiohead「You and Whose Army?」ネタで話題のナンバー。ある意味今のRootsらしいネタ選びかもね!秋に夕暮れにマッタリ聴くとピッタリなカンジ。気だるいJack Daveyのコーラスもハマってマス。

「Can't Stop This」
Jay Dee(J Dilla)へのトリビュート曲。亡き友への想いが伝わってくる感慨深い1曲。と言いつつ、後半のダークな展開は感傷に浸っている場合ではないかもね。Jackson 5「All I Do Is Think Of You」ネタ。

本作のタイトルにもなっている“ゲーム理論”については、個人的に一時期ハマった時期があり、かなり文献なども読んだ。連夜僕を寝不足にする『24』なんか観ていると、ああいった緊迫した交渉場面では、こういった理論が威力を発揮するのであろう。

実に興味深い学問分野だけど、一方でこんなことばかり考えていると、確実につまらない嫌な人間になると思った。と言いつつ、久々に文献を何冊か書棚から引っ張り出してきてしまいまシタ。
posted by ez at 00:07| Comment(0) | TrackBack(1) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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The Roots 「Game theory」 ★★★★
Excerpt: 俺はあまりリリック的なヒップホップは聴かないんですが。もちろんルーツを聴くのはこれが初めてです。ルーツといえば社会的な問題を投げかけるようなコンシャスなリリック、バンドによるロウ(生)でストイック..
Weblog: Rainbow Children
Tracked: 2006-11-05 00:22