2006年10月11日

Eric Dolphy『At The Five Spot Vol.1』

Booker Littleとの鬼気迫る演奏は圧巻☆Eric Dolphy『At The Five Spot Vol.1』
Eric Dolphy at the Five Spot, Vol. 1
録音年:1961年
ez的ジャンル:天才肌フリージャズ
気分は... :ブラックホールのようなジャズ...

Eric Dolphyは、実にミステリアスで雰囲気を持った存在感のあるジャズ・ミュージシャンだと思う。

僕は彼の作品を聴く以前に、雑誌で彼の写真を何枚か見たが、そのオーラに圧倒されたものだ。

Eric Dolphy(1928-1964年)は、1958年Chico Hamilton のグループに入り、その後Chalres Mingusのコンボに加入し、才能に磨きをかけた。1960年には盟友Ornette Colemanの超問題作『Free Jazz』のレコーディングに参加している。翌年には、John Coltraneとの共演を果たすと同時に、Booker Littleらとコンボを組み、本作『At The Five Spot Vol.1』を録音する。

その後、再びJohn Coltraneとの共演した後、1964年に再度Chalres Mingusのコンボに参加し、ヨーロッパ・ツアーへと渡欧した。そして、そのままヨーロッパに止まり、旅先のベルリンで病に倒れ、36歳の生涯を終えた。

そんな短く燃え尽きた天才の代表作として名高いのが本作『At The Five Spot Vol.1』(1961年)である。

本作はタイトルの通り、NYのライブハウスFive Spotでの1961年7月16日のライブを実況録音したものだ。メンバーは、Eric Dolphy(as、bcl)、Booker Little(tp)、Mal Waldron(p)、Richard Davis(b)、Ed Blackwell(ds)♪

Dolphyの魅力はホットなアルトサックス、ミステリアスなフルート、アーティスティックなバス・クラリネットと1粒で3度美味しい点だ。ちなみに本作ではアルトサックス、バス・クラリネットを披露している(本作の続編『At The Five Spot Vol.2』ではフルートも聴けます)。

DolphyLittleのコンビは、ジャズを新たなステージに導く強力タッグと期待されたが、ファンの方はご存知の通り、Littleは本ライブのわずか数ヵ月後にが23歳の若さで病死してしまった。もし、Littleが存命していれば、その後のDolphyの運命も大きく変わっていたであろう。

そう思わずにはいられないほど、本作の切迫した緊張感に満ちたDolphyとLittleのアドリブの応酬は、僕のような永遠のジャズ初心者の聴き手でさえも興奮させる。僕がジャズに鬼気迫る印象を受けたのは本作が最初かもしれない。

あと、DolphyとLittleばかりがクローズ・アップされがちだけど、Mal Waldronのピアノもかなりイイと思います。

永遠のジャズ初心者の僕は10分以上の曲を聴くと、大抵はダレてしまう根性ナシなのだが、本作のそれぞれ10分を超える全3曲はテンション高いまま聴けてしまう。実に凄味のある3曲っす。

この1枚でEric Dolphyが、その活動期間の短さにも関わらず、なぜジャズ・ジャイアントの一人として語り継がれるのか納得できるはずですよ!

全曲紹介しときヤス。

「Fire Waltz」
Mal Waldronの作品。タイトルの通りの炎のワルツ。Dolphyはアルト・サックスをプレイ。ダークなムードが印象的なテーマに続き、DolphyとLittleが激しく自由な舞をストイックに吹きまくりマス。その自由な舞を支えるWaldron、Davis、Blackwellの3人の実に巧みなプレイも聴きものデス。個人的には、Waldronのリズミックなピアノ・ソロもかなり好きだったりする。

「Bee Vamp」
Littleの作品。全体としは、実にスピーディーでスリリングな印象だね。この曲ではDolphyはバス・クラリネットをプレイ。僕は管弦楽・吹奏楽に疎く、正直バス・クラリネットって楽器を聴く機会が少ないんだけど、ここでDolphyが奏でるバス・クラは実に不気味かつ異様な存在感を示してくれマス(褒め言葉ですよ)。Dolphyに続くWaldronのダークなピアノ・ソロもカッチョ良いですな。

「Prophet」
Dolphyの作品。なんかピカソの絵を観賞しているような曲だよね。ピカソの絵って、上手いんだか、下手なんだか僕のような凡人には理解不能だが、飽きない面白さで惹きつけられることだけは確かだ。同じように、この曲のテーマを聴いていると、どこか調子っぱずれで、一瞬???なカンジもするけど、それが逆に興味をそそる。

Dolphyのアルト・サックスは、まるでワープするかの如く自由に音空間を駆け巡っていますが、難解な印象はなく、案外スンナリ聴けてしまうところが不思議だ。Littleのプレイも実にエネルギッシュっす。激しいDolphy、Littleのソロに続く、WaldronとDavisのソロが全体を実に引き締めてくれマス。


ちなみにこのスリリングなライブの模様は本作のみならず、『At The Five Spot Vol.2』をはじめ他の作品でも聴くことができる。僕もまだ部分的にしか聴けていないので、いつかは完全制覇したいよね。それ程の価値アリのライブだと思いマス。

僕が持っているもう1枚のDolphy作品『Out To Lunch』も、Dolphyの美学が反映された名作だと思いマス。

やっと今日で『24 シーズン4』が完結する。いやぁ寝不足の8日間でした。
ジャック・バウワー、イナバウワー...(σ ̄∇ ̄)σ
posted by ez at 00:17| Comment(0) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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