発表年:1977年
ez的ジャンル:ブルーアイド・ソウル的女性シンガー・アルバム
気分は... :いやぁ、参った・・・でも平常心で!
ここ数日はドタバタ・モード・・・全く自分のペースで活動できず、予定が大幅に狂ってしまいました。いやぁ、参ったなぁ・・・でも不思議と平常心です。思い通りにならないからといって、腹を立てたり、焦ったり、落ち込んだりしても何の解決にもなりませんからね。まぁ、どこかで1日、2日無理をすれば何とかなるでしょう!
さて、久々のMelissa Manchesterです。
セレクトしたのは1977年リリースの『Singin'』です。
70〜80年代ポップス・ファンにはお馴染みの女性シンガー・ソングライターMelissa Manchesterの紹介は、『Don't Cry Out Loud』(1978年)以来2回目となります。
前回『Don't Cry Out Loud』のエントリーを調べたら、2006年1月だったので、約6年ぶりのMelissa Manchester作品のエントリーとなります。かなり間隔がありますね。結構長くブログを書き続けているんだなぁ、と改めて実感してしまいました。
さて、今日紹介する『Singin'』ですが、Melissa作品の中でもメロウなブルーアイド・ソウル作品として今日再評価の高い1枚ではないかと思います。
全体としては、カヴァー作品が中心でMelissa自身のオリジナルは1曲のみです。その意味では、さまざまな楽曲をMelissaがどのように聴かせてくれるのかを楽しむ1枚と言えるかもしれません。モロにブルーアイド・ソウル作品という感じではありませんが、そういった方向での都会的サウンドとシンガーに徹したMelissa Manchesterの歌心が魅力の1枚ではあります。
プロデュースは、『Melissa』(1975年)、『Better Days and Happy Endings』(1976年)、『Help Is on the Way』(1977年)とコンビを組んできたVini Ponciaが引き続き務めています。
レコーディングには、David Spinozza(g)、Jeff Mironov(g)、Will Lee(b)、Tony Levin(b)、Don Grolnick(key)、Lenny Castro(per)、Steve Gadd(ds)、James Newton Howard(strings arr、oberheim syn)等が参加しています。これらの顔ぶれからも、メロウなブルーアイド・ソウル作品というのが何となく想像できますよね。
MJ、Marvin Gayeでお馴染みのLeon Ware作品「I Wanna Be Where You Are」、Average White BandおよびNed Dohenyでお馴染みの名曲「A Love Of Your Own」、James Taylor作の「You Make It Easy」、Sly & The Family Stoneの名曲「Stand」、The Beach Boysの初期作品「The Warmth Of The Sun」など注目すべきカヴァーが多数収録されています。
オリジナルと聴き比べながら聴くと、楽しさ倍増かもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Sad Eyes」
オープニングはレコーディングにも参加しているDavid Spinozzaの作品です。別れを目前にしている恋人同士の揺れる思いを情感たっぷりに歌い上げています。
「I Wanna Be Where You Are」
フリーソウルのコンピ『Free Soul Walk』にも収録されていた人気曲。今日的にはアルバムのハイライトかもしれませんね。シングルにもなったMichael Jacksonのヴァージョン(1972年)がオリジナルです(Arthur Ross/Leon Ware作)。当ブログではMarvin Gayeヴァージョン(アルバム『I Want You』収録)や、その兄弟ヴァージョンとも呼ぶべき作者Leon Wareのヴァージョン(アルバム『Musical Massage』のボートラ収録)も紹介済みです。
Melissaヴァージョンはライト&メロウなサウンドとヴィヴィッドなMelissaのヴォーカルが印象的であり、他ヴァージョンとは異なる魅力の「I Wanna Be Where You Are」を聴かせてくれます。次作『Don't Cry Out Loud』でLeon Wareをプロデューサーに起用する伏線としても興味深い1曲ですね。
「A Love Of Your Own」
Average White BandのHamish StuartとAORファンにはお馴染みNed Dohenyとの共作による名作バラードのカヴァー。AWBヴァージョンは当ブログでも紹介した『Soul Searching』に、Ned DohenyヴァージョンはAOR人気作『Hard Candy』に収録されています。ここでは本作らしいブルーアイド・ソウルなカヴァーに仕上がっています。ホーン・アレンジを含めたバッキングが素晴らしいサウンドを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ty2hKfDhhkI
そう言えば、Ned Doheny『Hard Candy』って当ブログで未紹介でしたね。フィットする季節になったら紹介したいと思います。
「No One's Ever Seen This Side Of Me」
本作唯一のMelissaのオリジナル。躍動感のあるキャッチーなポップ・チューンに仕上がっています。なかなか良い出来栄えだけに、あと数曲くらいオリジナルを入れても良かった気もします。
「You Make It Easy」
James Taylor作品のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Gorilla』に収録されています。アルバムの中でもかなり完成度の高い、都会的なブルーアイド・ソウル・チューンに仕上がっています。かなりオススメ!
「Stand」
Sly & The Family Stoneの名曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Stand』に収録されています。アルバムの中でも最も意外なセレクトかもしれませんね。ここでは開放的でファンキーな躍動感のある小粋な「Stand」を聴かせてくれます。Tom Savianoによる素晴らしいホーン・アレンジに魅了されます。
「My Love Is All I Known」
女性シンガー・ソングライターWendy Waldmanの作品をカヴァー。Wendy Waldmanのオリジナルは『Gypsy Symphony』(1974年)に収録されています。Rich Feltsのフリューゲルホーンをはじめとする素晴らしいバッキングに支えられ、Melissaが高らかに愛を歌い上げます。
「Time」
Bob Marshall/John Miles作品のカヴァー。作者であるUKの男性シンガーJohn Milesのヴァージョンは『Stranger In The City』(1976年)に収録されています。胸の奥にグッとくる感動バラードです。ある意味、アルバム中最もポップ・シンガーMelissa Manchesterらしい1曲かもしれません。
「Let Me Serenade You」
Three Dog Nightのシングル・ヒットで知られるJohn Finley作品のカヴァー。Three Dog Nightヴァージョンは『Cyan』(1973年)に収録されています。基本的にはThree Dog Nightヴァージョンを踏襲したカヴァーに仕上がっています。その分、Melissaのシンガーとしての力量を如何なく発揮してくれています。
「The Warmth Of The Sun」
ラストはThe Beach Boysのカヴァーです(Brian Wilson/Mike Love作)。オリジナルとは一味違う大人のロマンティック・バラードに仕上げています。
『Don't Cry Out Loud』(1978年)