発表年:2012年
ez的ジャンル:ミュンヘン系クラブジャズ
気分は... :独特の音センスに魅了されマス!
今回はイチオシの最新クラブジャズ・アルバムJerker Kluge's Deep Jazz『The Meeting』です。
Jerker Kluge's Deep Jazzは、ドイツのクラブジャズ・シーンを牽引するベーシストJerker Klugeがミュンヘンで結成した新クラブジャズ・ユニット。
Jerker Klugeは、これまでHipnosis、The Hi-Fly Orchestraといったユニットで作品をリリースしています。
そんなJerker Klugeによる新ユニットがJerker Kluge's Deep Jazzです。単にDeep Jazzと表記されることも多いようです。
メンバーは、Jerker Kluge(b)、Julia Fehenberger(vo)、Florian Riedl(as、fl)、Till Martin (ts)、Ulrich Wangenheim(clarinet)、Andrea Hermenau(p、vo)、Kathrin Pechlof(harp)、Diony Varias(per)、Matthias Gmelin(ds)という9人編成です。
2009年に6曲入りのデビュー作『Heaven & Earth』をリリースし、本作『The Meeting』はそれに続く新作となります。
"『Heaven & Earth』に続くニュー・アルバム"という説明が目立ちますが、6曲入りの『Heaven & Earth』はアルバム扱いになるんですかね?収録時間は35分を超えるものであり、昔のLP感覚でいえばアルバムかもしれませんが、CD時代の6曲入り作品はアルバムというよりもミニ・アルバムという気がします・・・よくわかりません(泣)。
基本的にはモーダル&スピリチュアルなアコースティック・クラブジャズです。
ただし、クラブジャズ好きのみならず、ジャズ・ファンをも惹きつける魅力も持っていると思います。
ヨーロピアンなスタイリッシュ感のあるクラブジャズですが、独特の気品のある演奏がいいですね。
女性ヴォーカル入りなのは勿論ですが、ハープやバス・クラリネットあたりの音が目立っているのもそんな印象を受ける要因かもしれません。
『Heaven & Earth』では、John Coltraneの名曲「Naima」をカヴァーしていましたが、本作『The Meeting』ではFreddie Hubbard「Little Sunflower」、Rahsaan Roland Kirk「Spirits Up Above」をカヴァーしています。
軽快に疾走するだけではない、メリハリと小技の効いた大人のクラブジャズを満喫できる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Little Sunflower」
オープニングは前述のようにFreddie Hubbardのカヴァー。オリジナルは『Backlash』(1967年)に収録されています。本カヴァーはAl Jarreauのヴォーカルをフィーチャーした『Love Connection』(1979年)収録ヴァージョンがベースになっています。ヨーロピアンなスタイリッシュ感とエレガントな落ち着きがあるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XsT65uqjJnE
Freddie Hubbard feat. Al Jarreau「Little Sunflower」
http://www.youtube.com/watch?v=rbj-SIoN6EU
「The Meeting」
タイトル曲はラテンのリズムとハープのエレガントな響きが印象的です。勢いで一気に突っ走るのではなく、繊細なセンスも感じるのがいいですね。このあたりはクラブジャズ好きのみならず、60年代ジャズがお好きな方が聴いても楽しめる演奏だと思います。
「No Doubt」
エレガント&モーダルなワルツ・チューン。2人の女性ヴォーカルが入り、華やかさがあるのがいいですね。爽快なフルートの調べにもグッときます。そして、Jerker Klugeのベースが演奏全体をビシッと引き締めてくれます。こういった女性ヴォーカルい入りのワルツ調の曲って結構僕のど真ん中なんですよね。
「Movement」
ピアノ&ハープ&コンガが織り成すエレガント&スピリチュアルな音世界に魅了される1曲。このユニットならではのミステリアスな雰囲気を満喫できます。
「Mystic Sky」
この曲もハープがアクセントになっているモーダル&スピリチュアルな演奏です。タイトル通り、ミスティックな音世界が異空間へ連れていってくれます。
「Don't Get Drowned」
クラブジャズ好きであれば絶対に好きであろうボッサ・ジャズです。Juliaの大人なヴォーカルがいいですね。Ulrich Wangenheimのバス・クラリネットの響きにもグッときます。
「Invisible」
軽やかで小粋なインスト・チューン。演奏全体にメリハリがあるのがいいですね。
「Coincidence fo Circumstance」
軽快なリズムとJuliaのセクシー・ヴォーカルにグッとくるノリの良い1曲。いろいろ小技が効いている大人のクラブジャズという趣がいいですね。
「East & West」
正統派ジャズ・ファンも楽しめるモーダル・チューン。この曲あたりを聴いていると"クラブジャズ・ユニット"という括り方が適切ではない気もしてきます。
「Spirits Up Above」
Rahsaan Roland Kirkのカヴァー。オリジナルは『Volunteered Slavery』(1969年)に収録されています。クラブジャズ好きはJose Jamesのカヴァーでもお馴染みかもしれませんね。オリジナルやJose Jamesヴァージョンをイメージして聴くと、本ヴァージョンは少し雰囲気が異なります。レイジー・モードの女性ジャズ・ヴォーカル・チューンは相当グッとくるはずですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=d9uptFtQjBc
「Autumn Sun」
ラストはしっとりとしたインスト・バラードでシブく締め括ってくれます。Jerker KlugeのベースとKathrin Pechlofのハープが織り成す音の響きがいいですね。
気に入った方は『Heaven & Earth』(2009年)もチェックしてみてください!
『Heaven & Earth』(2009年)
Jerker Klugeに興味がある方は、Hipnosis、The Hi-Fly Orchestraもどうぞ!
Hipnosis『Jazz』(2003年)
Hipnosis『Carrousel』(2005年)
The Hi-Fly Orchestra『Samboogaloo』(2007年)
The Hi-Fly Orchestra『Mambo Atomico』(2008年)