発表年:1968年
ez的ジャンル:ソウルフル&フォーキー系ブリティッシュ・ロック
気分は... :再構築・・・
昨日は国民の義務、確定申告へ行ってきました。
毎年、直前になってドタバタと書類を作成するのですが、今年も同じパターンです。
出来上がった書類の数字を眺めがら、反省やら、新たな目標設定やら、戦略の再構築やらを行い、既にスタートしている今年の仕事に気合いを入れ直していました。やはり数字をベースに物事を考えることは大切ですね。
そんなことをしていたら、何かドッと疲れが・・・
今回はTrafficの2nd『Traffic』(1968年)です。
当ブログでこの手のロック名盤を紹介するのは久々かもしれませんね。
60年代〜70年代ブリティッシュ・ロックを代表するグループTrafficの紹介は、『Mr. Fantasy』(1967年)、『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)に続き3回目となります。
僕の場合、Steve Winwood、Dave Mason、Jim Capaldiらのソロ作品を聴く頻度と比べて、Traffic本体を聴く頻度ってあまり多くありません。メンバーのソロの方が何気なくCD棚から手に取りやすいんですよね。特にMasonやCapaldiのソロはそうですね。
今日紹介する2nd『Traffic』(1968年)は数あるTrafficの作品の中でもロック名盤の誉れが高い1枚ですね。デュー作『Mr. Fantasy』と共にTrafficというグループを知るために最初に聴くべきアルバムだと思います・・・なんて、書きながら『Traffic』は長い間僕とは相性のよくないアルバムでした。
僕の場合、この2枚を最初に聴いたのは今から30年以上前の中学か高校生の頃だった気がします。サイケなデビュー作『Mr. Fantasy』は当時の僕にもグッときましたが、今日紹介する2nd『Traffic』の方は正直ピンと来なかった記憶があります。
ロックの名盤ガイド本の類で必ず紹介されていたアルバムであり、"名盤"という予備知識をインプットしたうえで聴いたのですが、"地味なアルバム"という印象が強かったですね。当時はわかりやすいカッチョ良さを持つロックを求めていたので(笑)
CD時代になって、一応Trafficの代表的作品はCD棚に揃えてありましたが、なかなか手が伸びない状況のまま長い年月が過ぎてしまいました。
そんな経緯で僕とはあまり相性のよくなかった『Traffic』ですが、数週間前に5、6年ぶりに聴いたところ何故かフィットしたのでそれ以降リピートして聴いています。長い間ピンと来なかった作品が突然フィットした理由は定かではありませんが、最近はすっかりロック欠乏症状態なのでたまに聴くロック・サウンドにハマりやすい状態であったことと、かつて地味だと思っていた部分が芳醇な味わいとして楽しめるようになったことが要因か・・・なんて自己分析してみました。
まぁ、多くのロック・ファンは僕のような迂回経路を経ず、もっと直線的に本作に魅力に惹かれたと思いますが。
デビュー作『Mr. Fantasy』(1967年)の直後に、Dave Masonがグループを脱退しますが、再びグループに合流して完成させた2ndが本作『Traffic』(1968年)です。このため、Mason脱退時にレコーディングされた楽曲も数曲含まれています。
アルバムのトータル・コンセプトを重視したサイケな1st『Mr. Fantasy』に対して、2nd『Traffic』はメンバーの個性を重視した作品という印象的ですね。その意味では、Steve Winwood(vo、key、g、b)、Dave Mason(vo、g、harmonica)、Chris Wood
(sax、fl)、Jim Capaldi(ds、per、vo)というメンバー4名の化学反応を楽しむべきアルバムなのかもしれません。
ソウルフルなWinwoodに対してフォーキーなMasonという図式で語られることが多い本作ですが、個人的にはアルバムの中で極端に2人の色が分離しているとは感じません。曲によってさまざまな表情があるのは確かですが、それは個性のぶつかい合いが生んだ反応の仕方の違いということだと思います。
プロデュースはJimmy Millerが務めています。
全曲紹介しときやす。
「You Can All Join In」
オープニングはDave Mason作。カントリー・ロック調の仕上りです。スワンピーなテイストで幾分薄らいでいますが、今聴いてもこの曲に対する僕の印象はビミョーです(笑)。きっと最初に聴いた時もこの曲の印象が強かったのかもしれません。その意味で僕には鬼門のオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=K8jua-2XcXA
「Pearly Queen」
Jim Capaldi/Steve Winwood作。Steve Winwoodらしいソウルフル・ヴォーカルを満喫できるソリッドなロック・チューン。Steve Winwood好きであれば、納得の1曲でしょう。この曲だけは最初に聴いた時から格好良いと思いましたね。ここでのWinwoodはハモンド・オルガンのみならずギターでも素晴らしいプレイを聴かせてくれます。終盤のサイケな展開もグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=-_P48AIusjo
「Don't Be Sad」
Dave Mason作。Masonらしいフォーキーな味わいを満喫できる1曲。現在の僕の一番のお気に入り曲です。MasonのハーモニカとWinwoodのハモンドの音色がよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=0QTiwVVV928
「Who Knows What Tomorrow May Bring」
Jim Capaldi/Chris Wood/Steve Winwood作。Mason不参加の1曲です・・・というかCapaldiのドラム&パーカッション以外は全てWinwoodです。この曲のメロディを聴いていると、The Who『Tommy』収録の「Sally Simpson」を思い出すのは僕だけでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=9JgbPG1tOQg
「Feelin' Alright」
Dave Mason作。アルバムの中で最も有名な曲かもしれませんね。Joe Cocker、Mongo Santamaria、Grand Funk Railroad
Three Dog Night、The 5th Dimension、Rare Earth、Mother's Finest、Jackson 5等数多くのアーティストがカヴァーしている名曲です。全体的にブラック・フィーリングに溢れているのがいいですね。Masonの個性とWinwoodの個性が上手く融合したような演奏に魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=rRcib2lcbjw
「Vagabond Virgin」
Jim Capaldi/Dave Mason作。ポップな味わいの1曲。Chris Woodのフルートが印象的です。この曲も聴いていると、何故かThe Who『Tommy』を思い出してしまいます。曲調が『Tommy』の中に収録されていても違和感ない気がしませんか?・・・なんて変なことを考えるのは僕だけかもしれませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=qyKGrOTKOLc
「Forty Thousand Headmen」
Jim Capaldi/Steve Winwood作。この曲もMasonは不参加です。サイケ・フォーキーな仕上がりです。ここでもChris Woodの妖しげなフルートがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=3Myjh6SB0og
「Cryin' to Be Heard」
Dave Mason作。イントロはジャジー&ソウルフルですが、本編はWinwoodのハープシコードの音色が印象的なプログレ調のドラマティックな展開です。特に終盤のテンションの高さはいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=EmECYkpyvmM
「No Time to Live」
Jim Capaldi/Steve Winwood作。Chris Woodの尺八のようなソプラノ・サックスからスタートするドラマティックな1曲。Winwoodのソウルフルな哀愁ヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=QwmepoYyioo
「Means to an End」
Jim Capaldi/Steve Winwood作。ラストはスワンプ&ファンキーに締め括ってくれます。Mason不参加の曲でこうしたスワンピーな演奏を聴くことができるのは興味深いですね。。
http://www.youtube.com/watch?v=nEjSsD6k_uE
僕の所有するCDはオリジナル10曲のみ収録ですが、最近のCDは映画『Here We Go 'Round The Mulberry Bush(茂みの中の欲望)』のサントラからの2曲と次作『Last Exit』からの3曲という計5曲がボーナス・トラックとして追加されているようです。『Here We Go 'Round The Mulberry Bush』はサントラとして人気の1枚ですね。僕も所有していますが、こちらもそのうち紹介しますね。
Trafficやメンバー関連の過去記事もご参照下さい。
『Mr. Fantasy』(1967年)
『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)
Steve Winwood『Arc Of A Diver』(1980年)
Steve Winwood『Talking Back To The Night』(1982年)
Steve Winwood『About Time』(2003年)
Dave Mason『It's Like You Never Left』(1973年)
Dave Mason『Let It Flow』(1977年)
Jim Capaldi『Oh How We Danced』(1972年)
Jim Capaldi『Short Cut Draw Blood』(1975年)