発表年:1992年
ez的ジャンル:B級ファンク/P-Funk
気分は... :隠れた才能・・・
今回はJara Harris率いるファンク・グループSlapbakのデビュー・アルバム『Fast Food Funkateers』(1992年)です。
Slapbakはマルチ・プレイヤーJara Harrisを中心にカリフォルニア州サンタアナで結成されたファンク・グループ。
これまで『Fast Food Funkateers』(1992年)、『If It Ain't Broke, Don't Funk wid It!』(1996年)、『The Return of the Fast Food Funkateers』(1999年)、『Ghetto Funkography』(2002年)、『The Key』(2006年)といったアルバムをリリースしています。
僕もすっかり忘れていたグループでしたが、先日我が家のCD棚の90年代R&Bコーナーを整理していたら今日紹介する『Fast Food Funkateers』を発掘し(笑)、多分15年ぶりくらいに聴くことになった次第です。
当時本作に興味を持った人の殆どが、"Larry Blackmon(Cameo)、Bootsy Collins、George Clintonプロデュース"の情報に喰いついたではないかと思います。僕も当然そのパターンで購入した記憶があります。
実際、上記のビッグ・ネームがプロデュースに関与しているのは2曲のみですが、今回久々に聴いてみて、そうした部分を抜きにしても楽しめる1枚であると思いました。
本作時点のメンバーは、Jara Harris(vo、b、g、ds、key)、Janine Harris(vo)、Julie Harris(vo)、Greg "Skippy" Smith(g、vo)、Krank(key、vo)、Chainsaw(key、vo)、Joe Magnano(key、vo)、Scotty Bravo(ds)という8名。Jara Harrisが全てのヴォーカル&演奏を担当している曲もあり、実質はバンドというよりもJara Harrisのプロジェクトという色合いが強かったのではないかと推察します。
全体的にはP-Funkの影響を受けたB級ファンクといったところでしょうか。アルバム・タイトルやジャケにも、そのあたりのB級ファンク/P-Funk感がよく出ていると思います。
ただし、B級と侮るなかれ!今聴いてもパワフルなファンク作品であり、何よりJara Harrisというアーティストの才能に改めて感心してしまいました。おそらく彼はP-Funk以外に、Prince殿下から多大な影響を受けており、そうしたセクシャルな側面も本作の中で聴くことができます。
僕自身は本作以外の彼らをきちんとフォローできていませんでしたが、今回調べてみてその後もコンスタントに作品をリリースしていることに驚きました。
まぁ、本作を聴けば、Jara Harrisというアーティストの才能を埋もれたままにしておくのは勿体ないと思ってしまいます。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
アルバムのイントロ。
「Cold-Blooded Slapback」
人を喰ったようなイントロに続き、ノリの良いファンク・チューンが展開されます。ミネアポリス・ファンクからの影響やブラック・ロックな側面も聴かれ、終盤はChainsawのラップも入ったHip-Hop的な展開飛び出します。このグループのゴッタ煮感がよく出ているのでは?
「24 Below」
シングルにもなったキャッチーなファンク・グルーヴ。P-Funkの香りも漂う濃縮なファンク・グルーヴがグッド!
「Too Cool」
女性コーラスを配した妖しげなムードがいい感じのミディアム・ファンク。
「If We Were Lovers」
セクシーなミディアム・スロウ。それまでの3曲の盛り上がりから意表を突かれた切ない美メロ・チューンにハッとさせられます。女性コーラス隊の絡みもグッド!
「Gimme That Funk」
Bootsy Collinsがヴォーカルで参加。タイトルからも想像できるようにP-Funkチューンです。特にBootsyの例の人を喰ったようなヴォーカルが入ると、気分は一気にP-Funkモードへ・・・
http://www.youtube.com/watch?v=48WIawUybP0
「True Confessions」
Larry Blackmonプロデュース。シングルにもなりました。パンチのあるファンク・チューンを期待する人も多かったかもしれませんが、意外にもセクシーなミディアム・グルーヴです。この時期のCameo作品のミディアム〜スロウ好きの人であれば気に入るのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=DyZ9OGx5RFk
「Crazy Women」
このグループらしいファンク・グルーヴを満喫できる1曲。ラップ・パートを大きくフィーチャーしているのもこの時代らしいですね。
「She Never Comes」
今回聴き直して一番気に入った曲。Jara Harrisのセクシャルな魅力を満喫できるダンサブル・チューン。ここでのJara Harrisはファルセット・ヴォーカルも含めて、まるでPrince殿下のようです。
「Love Story」
ガラッと雰囲気を変えたメロディアスな仕上り。Jara Harrisのシンガー・ソングライター的な側面も楽しめます。控えめながらもオルガン、コンガも入ったバックの演奏もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=zol3vtquTSI
「Kickin' The Do」
George Clinton&Bootsy Collinsプロデュース参加曲。Bootsyはギター&ベースも演奏し、さらにFred Wesleyがトロンボーンで参加しています。90年代仕様のP-Funkチューンを満喫できます。P-Funk好きであえば、間違いなく楽しめると思います。
「Don't Order My Heart To Go」
P-Funkの影響を受けつつも、セクシャル・モードで仕上げているのがJara Harrisらしいのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=Nx6fhkWqAJU
「Singles」
ハモンドを音色が印象的な本曲はSly & the Familyあたりの影響も感じます。
「Otro」
アルバムのアウトロはミネアポリス・ファンク調で締め括ってくれます。
興味がある方はSlapbakの他作品もチェックを!
『The Return of the Fast Food Funkateers』(1999年)
『Ghetto Funkography』(2002年)
『The Key』(2006年)