2012年03月15日

Alice Coltrane『Journey In Satchidananda』

インドへの思いが反映されたスピリチュアル・ジャズ作品。Pharoah Sandersが全面参加☆Alice Coltrane『Journey In Satchidananda』
Journey in Satchidananda
発表年:1970年
ez的ジャンル:東洋思想系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :くたくた・・・

この1週間の激務で完全にガス欠気味です。
不覚にも昨夜のサッカー五輪予選最終戦「日本対バーレーン」戦も前半はうたた寝で見逃してしまいました。

1日おきに徹夜している状態で、このままではヤバい・・・まぁ、年度末なので仕方がありませんが。

そんな状況で聴きたくなったのがスピリチュアル・ジャズ・・・

今回はJohn Coltraneの妻としても知られる女性ジャズ・ミュージシャンAlice Coltraneの代表作『Journey In Satchidananda』(1970年)です。

Alice Coltrane(出生名:Alice McLeod)は1937年デトロイト生まれのピアノ/オルガン/ハープ奏者。

1960年代から本格的に活動を始め、1965年にMcCoy Tynerに代わり、
John Coltraneのグループに参加します。翌年にはColtraneと結婚し、Coltraneとの間に3人の子供を授かりますが、1967年にはColtraneと死別してしまいます。

『A Monastic Trio』(1968年)を皮切りに、60年代後半から70年代にかけて数多くのリーダー作をリリースしています。

インド哲学に傾倒し、サイ・ババの信者の信者としても知られていました。70年後半にはTuriyasangitanandaと改名しています。2007年に死去。

やはり、John Coltraneの妻、東洋思想といったイメージの強い人ですね。
"Coltraneの妻"という形容詞は彼女のジャズ・ミュージシャンとしての正当な評価に妨げになっていたのかもしれませんが・・・

僕もその形容詞のおかげで、ジャズを聴く以前のロック少年だった頃からAlice Coltraneの名前だけはインプットされていました。多分、Carlos Santanaとのコラボ作『Illuminations』(1974年)がきっかけだったと思います。

今日紹介する『Journey In Satchidananda』(1970年)は彼女の代表作と呼べる1枚であり、ジャケに"Featuring Pharoah Sanders"と記載されているように、Pharoah Sandersが全面参加しています。

全5曲中、4曲がスタジオ録音、1曲がライブ録音となっています。

スタジオ録音のメンバーは、Alice Coltrane(harp、p)、Pharoah Sanders(ss、per)、Cecil McBee(b)、Rashied Ali(ds)、Tulsi(tamboura)、Majid Shabazz (bells、tambourine)という編成です。

ライブ録音のメンバーは、Alice Coltrane(harp)、Pharoah Sanders(ss、per)、Charlie Haden(b)、Rashied Ali(ds)、Vishnu Wood(Oud)というメンバーです。

Pharoah Sanders大好きの僕にとっては、こういうスピリチュアル・ジャズ作品は結構ツボです。特にAliceのハープの調べが心を解き放ってくれる感じがいいですね。また、タンブーラ、ウードといった民族楽器が演奏全体のアクセントになっているのも僕好みです。さらに主役のAlice、準主役のPharoahと同じくらいに目立っているのがCecil McBeeのベースです。

全曲Alice Coltraneのオリジナルです。

日々の慌しさを忘れ、瞑想の中・・・

全曲紹介しときやす。

「Journey In Satchidananda」
オープニングは本作におけるインドへの傾倒が最も反映されたスピリチュアル・ジャズ。本作のハイライトと呼べるでしょう。Tulsiのタンブーラ、Cecil McBeeのベースがインド・モードを演出し、そこへAliceのハープの調べがミステリアスに響き渡り、さらにJohn Coltraneの遺志を継ぐPharoahのサックスがスピリチュアルな音世界へ誘ってくれます。タイトルはインド人のグルSwami Satchidananda に因んだものです。
http://www.youtube.com/watch?v=hFDiXszQeVY

「Shiva-Loka」
Pharoah Sandersのスピリチュアル・ジャズがお好きな人はグッとくる演奏なのでは、ここでもタンブーラが醸し出す空気感とCecil McBeeの太いベースの響きが、AliceのハープやPharoahのサックスを実によく引き立てています。

「Stopover Bombay」
この曲でのAliceはピアノをプレイ。そのせいか、この曲ではPharoaのサックスが目立っています。3分にも満たない短い演奏ながらも、コンパクトにスピリチュアル・ワールドを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=FUxl3DpEZ7w

「Something About John Coltrane」
Alice、Pharoah、Rashied AliとColtraneのグループの元メンバー3人が揃い、このタイトルですから何かを感じてしまいますよね。ここではAliceのピアノとCecil McBeeのベースの絡みがいいですね。特にMcBeeのベースが相当目立っています。ジャズ好きの方は一番の楽しめるのは本曲なのでは?

ここまでの4曲がスタジオ録音です。

「Isis And Osiris」
ラストはライブ録音です。前述のようにメンバーや楽器構成も変わります。特にVishnu Woodが演奏するアラブの弦楽器Oud(ウード)がアクセントになっています。そのせいかインドというよりも中東のエスニックを感じるスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。AliceのハープとVishnu Woodのウードという異なる雰囲気の弦の響きが交差し、深遠な音世界を演出しています。PharoahのサックスとVishnu Woodのウードの組み合わせもなかなか興味深いです。スタジオ録音では控えめだったRashied Aliのドラムもいい感じ!
「Isis And Osiris」 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=Dt0IlSPh5oE
「Isis And Osiris」 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=L2HwbFLh5j0

ご興味のある方は他のAlice Coltrane作品もチェックを!
僕も未聴の作品が多いので地道にチェックし続けたいと思います。

『A Monastic Trio』(1968年)
ア・モナスティック・トリオ(紙ジャケット仕様)

『Huntington Ashram Monastery』(1969年)
ハンティントン・アシュラム・モナストリー(紙ジャケット仕様)

『Ptah, the El Daoud』(1970年)
Ptah, the El Daoud

『Universal Consciousness』(1972年)
Universal Consciousness

『World Galaxy』(1972年)
ワールド・ギャラクシー~至上の愛

『Lord of Lords』(1973年)
ロード・オブ・ローズ(紙ジャケット仕様)

『Illuminations 』(1974年) ※Carlos Santanaとのコラボ作
Illuminations

『The Elements』(1974年) ※Joe Hendersonとの共演
Elements

『Eternity』(1976年)
Eternity

『Radha-Krisna Nama Sankirtana』(1976年)
Radha-Krsna Nama Sankirtana

『Transcendence』(1977年)
Transcendence

『Transfiguration』(1978年)
Transfiguration
posted by ez at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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