2012年03月27日

Harpers Bizarre『The Secret Life Of Harpers Bizarre』

ソフトロック好きにはお馴染みの名盤☆Harpers Bizarre『The Secret Life Of Harpers Bizarre』
シークレット・ライフ・オブ・ハーパース・ビザール(紙ジャケット仕様)
発表年:1968年
ez的ジャンル:バーバンク系ソフトロック
気分は... :夢か現実か???

ここ数日間は風邪で朦朧としながら、一人巣篭り状態で仕事をしています。
こんなとき個人事業主は辛いですな。かなり回復してきましたが・・・

さて、こんな気分のときに似合うのはストレンジなソフトロックかもしれません。
ということでセレクトしたのは60年代バーバンク・サウンドを代表するグループHarpers Bizarreの3rdアルバム『The Secret Life Of Harpers Bizarre』です。

ソフトロック好きには名盤としてお馴染みの1枚ですね。

Harpers Bizarreは、カリフォルニア州サンタ・クルスで結成されたThe Tikisを前身とするグループです。後の名プロデューサーLenny WaronkerがThe Tikisを手掛けることになり、その際にテコ入れでメンバーの入れ替えを行い、The Beau BrummelsのドラマーJohn Petersenを迎え入れます。こうしてTed Templeman(vo、g、ds)、Dick Scoppettone(vo、g、b)、Eddie James(g)、Dick Yount(b、vo)、John Petersen(ds)という5名のラインナップでバンド名もHarpers Bizarreへと一新しました。グループ名は有名なファッション誌Harper's Bazaarももじったものです。

グループのデビュー・シングルはSimon & Garfunkelの名曲カヴァー「The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」でした。Lenny Waronkerがプロデュースし、Leon Russellがアレンジを手掛けたデビュー・シングルは全米チャート第13位となり、上々のデビューを飾りました。

その後グループは、『Feelin' Groovy』(1967年)、『Anything Goes』(1968年)、『The Secret Life of Harpers Bizarre』(1968年)、『Harpers Bizarre 4』(1969年)という4枚のアルバムを残してグループは解散します。皆さんご存知のとおり、その後Ted Templemanは売れっ子プロデューサーとして数多くの人気作品を手掛けることになります。

また、グループは1976年にリユニオン・アルバム『As Time Goes By』をリリースしています(Ted Templemanは不参加)。

どうしても「The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」のイメージが強いグループでもありますが、アルバム単位でいえば『The Secret Life of Harpers Bizarre』が一番充実したグループの姿を反映しているのでは?

『The Secret Life of Harpers Bizarre』(1968年)はグループの3rdアルバム。前作『Anything Goes』の後にEddie Jamesが抜け、本作からメンバーは4人になっています(正直、このあたり詳しくありません。間違っていたらゴメンナサイ)。

タイトルから察しがつくように、James Thurber原作、Danny Kaye主演のアメリカ映画『The Secret Life Of Walter Mitty(虹をつかむ男 ウォルター・ミティの秘密の生活)』(1947年)にインスパイアされたアルバムです。映画は夢想癖のある主人公ウォルター・ミティが「ポケタ・ポケタ・ポケタ」という音をきっかけに白昼夢に耽り、その中での活躍をユーモラスに描いたものです。

本作『The Secret Life of Harpers Bizarre』も白昼夢の世界を描いた架空のサントラといった作りになっています。そんなコンセプトは不思議なムードが漂うジャケにも反映されています。このコンセプトやジャケだけでもソフトロック名盤といった感じですよね。

当然プロデュースはLenny Waronker。さらにBob Thompson、Eddie Karam、Kirby Johnson、Nick DeCaro、Perry Botkin Jr.、Ron Elliottがアレンジを担当しています。

オリジナルは数曲で殆どがカヴァー曲にも関わらず、架空のサントラとして統一感のあるアルバムに仕上がっているが凄いですね。カヴァーが多い分、逆に多彩なアレンジャー陣のいい仕事ぶりをしっかり確認できるのが魅力かもしれません。

「The Drifter」「Me, Japanese Boy」「Mad」あたりが特にオススメです。

ストレンジ&ユーモラスな白昼夢の世界をお楽しみ下さい。

全曲紹介しときやす。

「Look to the Rainbow」
オープニングは映画『Finian's Rainbow』(1968年)のテーマ曲のカヴァー(E.Y. Harburg/Burton Lane作)。1分強の小曲ですが、夢の世界へ誘うオープニングとしてはサイコーです。

「Battle of New Orleans」
Johnny Hortonの1959年のヒット曲をカヴァー(Jimmy Driftwood作)。タイトルの通り、南北戦争の有名な戦い"ニューオーリンズの戦い"を歌ったものです。ノスタルジックな味わいの中に、本作らしいユーモラスな雰囲気を上手く織り込んでいるのが心憎いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=I6RT0LyNP-o

「When I Was a Cowboy/Interlude」
南北戦争に続き、西部劇のカウボーイの世界へ・・・カナダのカントリー・フォーク・デュオIan & Sylviaのカヴァー。オリジナルは『Play One More』(1966年)に収録されています。銃声のSEも聴こえるなかなか小粋なカウボーイ・チューンに仕上がっています。続くインタールードでは「The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」のコーラスのコラージュが聴こえてきます。

「Sentimental Journey」
Doris Dayのヴォーカルで知られるスタンダードをカヴァー(Arthur Green/Les Brown/Ben Homer作)。ムーディーなオリジナルに対して、ちょっぴり切ない雰囲気のアレンジが絶妙です(アレンジはRon Elliott)。

「Las Mananitas」
この曲について、CDのライナーノーツやネットでメンバーのオリジナルと記載されているものがありますが、本曲はメキシコの伝統的なバースデー・ソングのカヴァーだと思います。まぁ、スパニッシュなタイトルからしてオリジナルっぽくないですよね。

「Medley: Bye, Bye, Bye/Vine Street」
Ted Templeman/Dick Scoppettone作のオリジナルとRandy Newman作「Vine Street」のメドレー。「Vine Street」はVan Dyke Parks『Song Cycle』、Nilsson『Nilsson Sings Newman』のヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。「Vine Street」ではHarpers Bizarreらしいコーラス・ワークを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=oNXhZLNjBbI

「Me, Japanese Boy/Interlude」
Hal David/Burt Bacharach作品のカヴァー。オリジナルはBobby Goldsboro『Little Things』(1965年)に収録されています。アルバムの内ジャケにもお辞儀をしたヘンテコなサムライに扮したメンバーの写真があります(笑)そんなヘンテコ写真とは対照的に甘酸っぱい香りがたまらない絶品カヴァーに仕上がっています。オリエンタル・テイストも入っていますが滑稽になっていないのがグッド!本曲はPizzicato Fiveもカヴァーしていますね。ちなみに僕の保有する国内盤CDのライナーは小西さんです。ピチカートのヴァージョンで本曲を知った方もいるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=_zHqtGwcQFY

「I'll Build a Stairway to Paradise」
映画『An American in Paris』でお馴染みのGershwin作品をカヴァー(Buddy DeSylva/George Gershwin/Ira Gershwin作)。スタンダード然としながらソフトロックしているのが素晴らしいですね。まさに天国への階段ですな。

「Green Apple Tree」
Dick Scoppettone/Ted Templeman作。ギターはRy Cooderっぽくも聴こえますが、どうなんでしょうか?

「Sit Down, You're Rocking the Boat/Interlude」
ブロードウェイ・ミュージカル『Guys and Dolls』のために書かれた作品(Frank Loesser作)。ミュージカル・チックな序盤から一気にユーモラス&オールド・タイミーな展開へ・・・

「I Love You, Mama」
Ron Elliott作。フォーキーながらもどこかストレンジな雰囲気が漂います。

「Funny How Love Can Be」
The Ivy Leagueのヒット曲のカヴァー(L. Bowman作)。オリジナルとはかなり異なる雰囲気の軽快なアレンジが印象的です。 晴れモードのホーン・アレンジがいいですね。

「Mad」
Dick Scoppettone/Ted Templeman作。個人的には一番のお気に入り。ソフトロック好きならば、歓喜の雄叫びを上げたくなる爽快チューンです。80年代UKポップ好きならばThe King Of Luxembourgのカヴァーでお聴きの方もいるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=vPyAIf9Wbj8

The King of Luxembourg「Mad」
 http://www.youtube.com/watch?v=idV92A37d10

「Look to the Rainbow」
再び「Look to the Rainbow」のリプライズ。

「The Drifter/Reprise」
ラストはRoger Nichols/Paul Williams作品のカヴァー。Roger Nichols & The Small Circle Of FriendsやThe Sandpipersのヴァージョンでもお馴染みの名曲。この三者のヴァージョンはどれも素晴らしいですね。そして幻想的なRepriseと共に白昼夢は幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=l-HFMwYxloA

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends「The Drifter」
 http://www.youtube.com/watch?v=79KVAO8dfmI
The Sandpipers「The Drifter」
 http://www.youtube.com/watch?v=PB542KL92qs

Harpers Bizarreの他作品もチェックを!

『Feelin' Groovy』(1967年)
Feelin' Groovy ~ Deluxe Expanded Mono Edition

『Anything Goes』(1968年)
Anything Goes ~ Deluxe Expanded Mono Edition

『Harpers Bizarre 4』(1969年)
4

『As Time Goes By』(1976年)
アズ・タイム・ゴーズ・バイ(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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