発表年:1979年
ez的ジャンル:カナダ産ブラジリアン&フォーキー・ジャズ
気分は... :フルートの音色が春の微風のように・・・
今回はカナダの女性ヴォーカリスト/フルート/サックス奏者Kathryn Mosesの2ndアルバム『Music In My Heart』(1979年)です。
Kathryn Mosesは米国オクラホマ州出身。大学でクラシックの声楽とフルートと学んでいましたが、ピアノ/キーボード奏者のTed Mosesにジャズを薦められ、交響楽団のみならずジャズ・コンボでも演奏を始めます。
その後、Ted Mosesと結婚したKathrynは夫と共にカナダ、トロントへ移住します。カナダでジャズ・ミュージシャンとして本格的に活動するようになり、Chuck Mangione等のアルバムにも参加しています。そして、自身のリーダー作として、『Kathryn Moses』(1976年)、『Music In My Heart』(1979年)という2枚のアルバムをリリースしています。
この2枚のブラジリアン・フレイヴァーなカナダ産ジャズ・アルバムはクラブジャズ好きから再評価の高い作品ですね。
今日紹介する2nd『Music In My Heart』(1979年)は、アメリカのニュージャージーに本拠地を構えるレーベルPMからのリリースです。
レコーディングには、Kathryn Moses(vo、fl、sax)、Doug Riley(p)、Robert Piltch(g)、Erica Goodman(harp)、David Piltch(b)、Terry Clarke(ds)、Buff Allen(ds)、Don Alias(per)が参加しています。
先程ブラジリアン・フレイヴァーなアルバムという紹介の仕方をしましたが、もう1つ本作の魅力を語るキーワードが"フォーキー"です。ジャズ作品と呼ぶよりは女性SSW作品と呼びたくなるフォーキー作品が収められているのも本作の特徴です。それ以外に、この時期のジャズ/フュージョン作品らしいジャズ・ファンク・グルーヴも収録されています。
ヴォーカル、フルート、ソプラノサックスとさまざまなかたちでKathryn Mosesという女性アーティストを楽しめる1枚です。
夫Ted Mosesの作品「More Than Ever」以外はKathryn Mosesのオリジナルです(共作も含む)。
全曲紹介しときやす。
「Lucky Duck」
オープニングはタイトなジャズ・ファンク・グルーヴにのってKathrynのフルートが駆け巡ります。
「Music In My Heart」
本作のハイライト。軽快なサンバ・フュージョンはクラブジャズの人気曲です。サンバ・リズムにのってスキャットを交えたKathrynのヴォーカルとフルートが爽快に揺らめきます。
http://www.youtube.com/watch?v=_6rcALSCBD4
「Should Be Ancient History」
Kathrynのソプラノ・サックスを堪能できるミステリアスなインスト・チューン。
「Katrina」
Robert Piltchのアコースティック・ギターをバックに、Kathrynのキュートなヴォーカルを聴くことができるフォーキー・ボッサ。SSW作品的な味わいがあります。フルートの音色も涼しげです。
「More Than Ever」
夫Ted Mosesの作品。軽快なジャズ・ファンク・チューン。70年代フュージョン好きの人であれば気に入る1曲だと思います。Kathrynのソプラノ・サックスも快調です。
http://www.youtube.com/watch?v=4b8WEkpk3dY
「Love To See You Smile」
女性SSW的な作品。ジャジー&フォーキーなクロスオーヴァー感は一時期のJoni Mitchellあたりにも通じるものがあるのでは?
「It's Spring」
爽快ブラジリアン・フュージョン。春の微風のようにKathrynのフルートが音世界を舞っています。
「Shine On Me」
ラストは感動的な仕上がり。ハープの音色が琴の響きのように聴こえる美しい序盤から中盤以降はソウルフル&ファンキーなテイストの素晴らしいアンサンブルで盛り上がっていきます。ラストはKathrynのフルートで余韻を味わいながらアルバムは幕を閉じます。
1st『Kathryn Moses』(1976年)もチェックを!
『Kathryn Moses』(1976年)