2006年11月06日

Lou Reed『Transformer』

退廃的で、耽美な背徳ロック☆Lou Reed『Transformer』
Transformer
発表年:1972年
ez的ジャンル:グラム系退廃ロック
気分は... :カミング・アウト...

Lou Reedのソロ作品の中で最もお気に入りの作品『Transformer』(1972年)デス。

Lou Reed絡みでは、約1年前にThe Velvet Undergroundのデビュー作『The Velvet Underground & Nico』を紹介して以来になりマス。

今なお多くの音楽ファンに影響を与え続けるアンダーグランドのカリスマ・バンドであったThe Velvet Underground

その中心人物であったLou Reedであったが、Velvet Undergroundの4thアルバムにしてラスト・アルバムとなった『Loaded』(1970年)の発表を前にグループを脱退してしまった。

その後、音楽活動から離れ、詩人として朗読活動などを行っていたが、周囲からの説得に促され、1972年にソロ第1作『Lou Reed』を発表する。

それに続く2ndアルバムとして発表されたのが、Lou Reedのソロ・アーティストとしての地位を確立した『Transformer』(1972年)である。

プロデュースはDavid BowieMick Ronson。元々Velvet Undergroundの熱烈なファンであったというBowieとの出会いは、Lou Reedに幸運をもたらしたようだ。当時、Bowieは不滅の名盤『Ziggy Stardust』を発表した直後でノリにノッていた時期だったしね。

Lou Reed本来のストリート・ロッカーとしての資質と、Bowieのグラム・ロック的な要素が見事に融合して、実に退廃的で耽美な傑作として結実したのが本作であると思う。

このあたりはジャケにもよく反映されていると思う。Louの無愛想なボーカルと、そのシンプルすぎるサウンドは、色で言えば実にモノトーンの世界である。そこにBowieというグラム界のスターが妖しく艶やかなイエローを加えることで、時代の空気を反映した退廃的な世界観の創出に見事に成功しているってカンジでしょうか?

表ジャケ以上に裏ジャケがインパクトがあるよね。女装した下着姿の男と、それを見て興奮するマッチョ男...実に倒錯した世界だ。これは、自身がゲイで、ドラッグ常習者で、SM体験者であることをカミング・アウトした歌詞の内容を実によく反映したものだと思いマス。

僕はゲイでも、ドラッグ常習者でも、SM体験者でもないが、世の中の様々なタブー・ストーリーを淡々と歌うLou Reedの音楽に何故か癒される。

個人的には、今の時代にシンクロしている作品だと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Vicious」
背徳のロックン・ロール・ナンバー。まさにLou Reedにピッタリなオープニング・ナンバーだと思いマス。

「Andy's Chest」
「アンディ(・ウォーホール)の胸」なんて考えただけでキモイよね(笑)

「Perfect Day」
ドラッグをキメたPerfect Dayについて歌った名曲。あまりに美しいサウンドが、逆に虚しく響いてきマス。Duran Duranがカヴァーしたり、映画『Trainspotting』(1996年)のサントラにも収録されていたので、ご存知の方も多い曲なのでは?

「Walk on the Wild Side」
Lou Reedの代表曲であり、本作のハイライト。全米チャート、全英チャートで共にヒットしました。Herbie Flowersの印象的なベースに乗って、淡々と歌われるLou Reedのボーカルを最初に聴いた時には、静かなるインパクトがあったよね。

僕の大好きなA Tribe Called Questが「Can't I Kick It」で、他にもMC.Jr.Cas「Wild Side」などでサンプリングしているけど、改めて聴くと、演奏もボーカルもHip-Hopの登場を予感させる曲ですな。

「Satellite of Love」
この曲もLou Reedを代表する美しいナンバーですね。ドラマチックで少しスペイシーな雰囲気はBowieらしいかもね。映画『Velvet Goldmine』のサントラにも収録されていマス。

「Wagon Wheel」
当時全盛期だったT.Rexの「Telegram Sam」あたりを彷彿させるエレクトリック・ブギな1曲。

「I'm So Free」
モータウン+グラム・ロックといったテイストのナンバー。Martha Reeves & The Vandellas「(Love Is Like A) Heat Wave」あたりと一緒に聴くと面白いかも?

本作以外であれば、『Berlin』(1973年)、『The Blue Mask』(1982年)、『New York』(1989年)あたりが僕のオススメっす。

このジャケをずっと眺めていたら、Louの姿がウエンツ瑛士に見えてきた。なんか似てない???
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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