発表年:2012年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー・ソウル
気分は... :僕が今聴きたい音!
今回は"アンダーグラウンドの歌姫"としてネオソウル好きから高い支持を得ている女性R&BシンガーSy Smithの最新4thアルバム『Fast And Curious』です。
今回の注目は、ブロークンビーツ/クロスオーヴァー好きにはお馴染みのプロデューサー/キーボード奏者/DJ、Mark De Clive-Loweの全面プロデュースです!
Sy Smithは1978年N.Y.生まれの女性ソウル・シンガー。
2000年にデビュー・アルバム『Psykosoul』を制作。Eric Benetや元A Tribe Called QuestのAli Shaheed Muhammad等もプロデュースで参加していました。しかしながら、このアルバムはお蔵入りしてしまいます。
※便宜上、『Psykosoul』を1stアルバムとして扱います。
2005年にリリースした2ndアルバム『Syberspace Social』では、Ali Shaheed MuhammadやThe Foreign ExchangeのNicolay、James Poyser等がプロデュースを務めています。
さらに2008年には3rdアルバム『Conflict』をリリース。その後はThe Foreign Exchangeとの交流を深め、彼らのツアーにも参加しています。昨年発売されたThe Foreign Exchangeのプライベート・ライブの模様を収めたDVD/CD『Dear Friend: An Evening With The Foreign Exchange』でもSy Smithがフィーチャーされています。
当ブログで紹介した作品で言えば、The Foreign Exchangeと交流の深いデトロイト出身のキーボード奏者Zo!のアルバム『SunStorm』(2010年)や、The Foreign ExchangeのメンバーPhonteの初ソロ・アルバム『Charity Starts At Home』(2011年)でSy Smithがフィーチャーされています。
僕の中では"アンダーグラウンドの歌姫"という印象が強い女性R&Bシンガーですね。
そんなSy Smithの最新4thアルバムですが、前述のようにMark De Clive-Lowe(MdCL)の全面プロデュースという嬉しいプレゼント付です。
ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、"西ロンドンのHerbie Hancock"として、Degoらと共に西ロンドンのブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー・シーンを牽引してきたMark De Clive-Lowe(MdCL)。
現在はL.A.に拠点を移し、昨年には当ブログでも大絶賛したアルバム『Renegades』をリリースしています。
女性ネオソウル好き、The Foreign Exchange好き、MdCL好きという僕にとって、本作『Fast And Curious』はかなりツボの1枚です。
特に、MdCLとのコラボ作品と言っても過言ではない本作においては、前述のMdCLの最新作『Renegades』からの流れで聴くと、興味深く聴くことができます。
『Renegades』はヴォーカル曲の比重が増え、エレクトリック・ソウルと西ロンドンらしいクロスオーヴァー・チューンで彩られたアルバムでしたが、本作『Fast And Curious』もそんな雰囲気の1枚に仕上がっています。
僕の今聴きたい音を見事に凝縮してくれた1枚で、個人的には大満足です。
Rahsaan Pattersonや懐かしのSheila E.がゲスト参加しています。Sheila Eは『Renegades』にも参加していたので、その流れかもしれませんね。
Teena Marieのカヴァー「Teena (Lovergirl Syberized)」、Billy Oceanのカヴァー「Nights (Feel Like Gettin' Down)」、The RAH Bandのカヴァー「Message from the Stars」以外は、Sy SmithとMdCLの共作です。
カヴァー曲が3曲ともに80年代作品という点も要チェックですね。
全曲オススメ、捨て曲なしの傑作だと思います。
さすがはMark De Clive-Lowe!彼の抜群のサウンド・センスを満喫できます。
全曲紹介しときやす。
「The Fast and The Curious」
タイトル曲はSy SmithとMdCLの共演らしいエレクトリック・ソウル。80年代ソウルへのオマージュも感じられるエレクトリック・サウンドが印象的ですね。
「Truth」
2010年にシングル・リリースされていた楽曲。2人のコラボのきっかけとなった曲かもしれませんね。MdCLらしい西ロンドン経由のアッパー・チューンに仕上がっています。MdCL好きにはたまらない1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9YzV_texUeI
「Personal Paradise」
アルバムからのリード・シングル。Sheila E.のティンバレスをフィーチャーしたバカンス・モードのクロスオーヴァー・ソウル。この曲もソウル/R&B好きというよりもクラブミュージック好き向けですね。夏まで待てない!といった趣の1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=2CA-Dn1I-wY
「Find My Way」
この曲もバカンス・モードにぴったりなミディアム・テンポのメロウ・グルーヴ。適度のパーカッシヴな感じがモロに僕好みです。この曲も僕のヘビロテになりそうです!
「Nights (Feel Like Gettin' Down)」
Rahsaan PattersonをフィーチャーしたBilly Oceanのカヴァー。オリジナルは『Nights (Feel Like Getting Down)』(1981年)に収録されています。疾走感が心地好いクロスオーヴァー・ソウルに仕上がっています。MdCLの抜群のサウンド・センスを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=yrdUxRLjWiY
「Let The Rain Fall Down」
アッパーな疾走感にグッとくるアーバン・ナイトなダンス・チューン。大音量で聴きたくなる1曲です。
「Teena (Lovergirl Syberized)」
2010年に亡くなったTeena Marieのシングル「Lovergirl」のカヴァー。タイトル曲同様に、80年代ソウルへのオマージュを感じるエレクトリック・ソウルに仕上がっています。このタイプの曲を聴くと、MdCLとネオソウル系シンガーの相性の良さを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=ynbhlOHmk5w
「The Oooh to my Aah」
哀愁モードの切ないシンセ・サウンドとヴォーカルが逆に心地好かったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=EkFLJ4A0OrA
「The Primacy Effect」
トライバルなリズムとクロスオーヴァー・サウンドと少しレイジーなSy Smithのヴォーカルが絶妙に絡み合います。こういう曲も大好き!
「Message from the Stars」
The RAH Bandのカヴァー。オリジナルはアルバム『Going Up』(1983年)に収録されています。80年代と2012年が交錯するエレクトリック・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=QifglpMBG-Y
「People Of The Sun」
ラストもMdCLプロデュースらしくバカンス・モードのクロスオーヴァー・チューンです。
Sy Smithの過去作品もチェックを!
『Psykosoul Plus』(2005年 ※幻の1stの復刻盤)
『Syberspace Social』(2005年)
『Conflict』(2008年)
ご興味がある方はMdCLの過去記事もご参照下さい。
Mark De Clive-Lowe『Six Degrees』(2000年)
Mark De Clive-Lowe『Journey 2 The Light』(2007年)
Mark De Clive-Lowe『Renegades』(2011年)