2006年11月11日

Elvis Costello & The Attractions『Blood & Chocolate』

Nick Lowe、Attractionsを再び迎えた原点回帰作☆Elvis Costello & The Attractions『Blood & Chocolate』
Blood & Chocolate
発表年:1986年
ez的ジャンル:パンク魂系ポップ・ロック
気分は... :大歓迎♪原点回帰

Elvis Costelloは、『Get Happy!!』(1980年)以来2回目の登場っす。

以前のエントリーでも書いたが、マイ・コレクションの男性ロックアーティスト部門ではElvis CostelloVan Morrisonが最もCD保有枚数が多い。また、Paul WellerStyle Council含む)、XTCと並ぶ当時の僕のUKロック御三家だった。

それだけCostello好きの僕だったが、2000年代に入るとリアルタイムのCostelloに対しては、急激に関心が薄くなっていったかなぁ。

『North』(2003年)なんて購入したけど、封を切らないまま一度も聴いていない。ホント、長年のお付き合いで買っただけってカンジだよね。

地球環境のためには聴く気もないCDの購入は止めましょう(笑)

やっぱり僕にとってのCostelloは80年代がサイコーだったかなぁ。

80年代のCostelloは、『Get Happy!!』(1980年)、『Trust』(1981年)、『Almost Blue』(1981年)、『Imperial Bedroom』(1982年)、『Punch the Clock』(1983年)、『Goodbye Cruel World』(1984年)、『King Of America』(1985年)、『Blood & Chocolate』(1986年)、『Spike』(1989年)という9枚のアルバムを発表している。

後日Costello本人が語ったところによると、最も気に入っている作品は『King Of America』であり、“自分が作った最悪のレコード”と評している作品は『Punch the Clock』なのだとか。個人的には『Punch the Clock』はそんな悪い作品だとは思わないけどねぇ...

ちなみに、この中で現在の僕が好きな作品は、『Get Happy!!』『Imperial Bedroom』『Blood & Chocolate』の3枚かなぁ。

この3枚のうち、近年僕的に再評価している作品が『Blood & Chocolate』っす。

当時、レーベルを移籍したばりで本作の配給権が日本に無かく、国内盤未発売ということもあり、かなり扱いが地味だったように記憶している。そんな影響でリアルタイムでの記憶は薄いのだが、改めてこの時代の作品を順番に聴いていくと、結構インパクトのある作品だと思いマス。

前年に(1985年)発表したThe Costello Show名義の『King Of America』では、Costelloのアメリカのルーツ音楽への憧れが反映されたアルバムであり、Attractionsの参加も1曲のみで、それ以外はアメリカの腕利きミュージシャンとLAで録音されたものだった。当時はかなりこの作風が好きだったが、今の僕にはロックしていないCostelloには物足りなさを感じる。

その意味で、再びプロデューサーNick Loweを迎え(Colin Fairleyとの共同プロデュース)、Steve Nieve(key)、Bruce Thomas(b)、Pete Thomas(ds)というAttractionsのメンバーと組み、ほとんどライブ録音に近いかたちでレコーディングされた『Blood & Chocolate』は、パンク世代の代弁者だった初期の荒々しさに出会うことができる。

特に、ガレージ・バンドのようなラウドな仕上がりの前半が特に魅力ですよ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Uncomplicated」
いきなりゴツゴツしたサウンドをバックに、Costelloが叫ぶ、やっぱりアンタは怒れるパンク野朗だぜ!

「I Hope You're Happy Now」
僕の一番のお気に入り曲。Costelloの切れ味鋭いロッカーの要素と、メロディアスな要素が見事に融合して、Costello独特の切ないポップ・ロックに仕上がっていマス。そして、このサウンドはAttractionsならではのものだよね。サイコー!

「Tokyo Storm Warning」
アルバムからの1stシングル。スタジオ・ライブのスタイルで録音し、この曲はファースト・テイクがワン・テイク一発OKだったのだのか。そうしたテンションの高い臨場感が伝わってくるよね。

「Home Is Anywhere You Hang Your Head」
この曲は、なんか胸トキメクものがあるよね。現在のCostelloにも通じる哀愁メロディだけど、しっかりロックしていマス。

「I Want You」
アルバムからの2ndシングル。この曲もファースト・テイクで即OKだったらしい♪Beatlesの同名曲を彷彿させるへヴィーネスが魅力の1曲ですね。

「Honey, Are You Straight Or Are You Blind?」
この曲のCostelloも弾けてますな。カッチョ良さで言えばこの曲が一番かもね!

「Blue Chair」
アルバムからの3rdシングルにもなった名曲。ただし、シングルは別メンバーで再レコーディングしたもの。メロディ・メイカーとしてのCostelloの才能が堪能できる1曲ですね。

「Crimes Of Paris」
アコースティックな雰囲気が爽やかなナンバー。この曲もCostelloらしいよね。

「Poor Napoleon」
アルバム全体の雰囲気とは異なる、味わい深い曲。アレンジが小粋で洒落ていますな。

「Next Time Round」
僕は案外パワーポップ好きなんだけど、結構Costelloってそんな僕のニーズを満たしてくれることが多い。この曲なんかもそのパターンだね。

この後、Costelloは再びAttractionsと離れることになる。両者の共演が再び聴けるのは7年後の『Brutal Youth』(1994年)まで待たねばならない。
posted by ez at 00:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
私がコステロを聴き始めたのは90年代半ばですが、80年代が最高というのは大賛成です。
でも『Blood & Chocolate』は、一緒に買った『King Of America』のほうが好みに合ったせいであんまり聴いてないんですよね。
たしか前半に並んでいる長めの曲が苦手で、後半はわりと好きだった記憶があるんですけど。
今度またじっくり聴き込んでみることにします。
Posted by 耳イヌ at 2006年11月11日 07:51
☆耳イヌさん

ありがとうございます。

僕も以前は『King Of America』の方が全然好きでしたね(笑)

きっと最近のバラード・シンガーCostelloの姿を見るにつけ、
ロックしているCostelloへの思いが強くなり、『Blood & Chocolate』の
ガレージ・ロック風の仕上がりが気に入っているのだと思います。

『Blood & Chocolate』はオリジナルLPで言うA面がラウドなロック、
B面がメロディアスなナンバーで構成されているため、A面、B面で
好みが分かれるかもしれませんね。

これからもお気軽に遊びに来て下さいね!
Posted by ez at 2006年11月11日 23:19
ezさんこんばんは。
思い立って自分も持っているアルバムやアーティストのレビューを中心に、最初から読み返しています。
steey danやマイケルマクドナルド、ブライアンフェリーやクインシージョーンズ。マーヴィンゲイにロバータフラック、EW&F、BOZ scaggs、etc私の大好きなアーティスト(死語?)たちの記事を興味深く拝見するとともに、未聴のアルバムを何枚か購入&レンタルしました。
話が逸れましたが、コステロは私にとって評価し辛いアーティストの一人です。ダリルホールとの共演が楽しめた『GOODBYE CRUEL WORLD』(ezさんもホール&オーツは好きだと言われていたと思いますが・・・)で初めてLPを購入したものの、件の『Only flame in town』と『I wannna be loved』の2曲とそれ以外の曲の落差についていけずそれ以来他のアルバムは未聴のままでした。2年くらい前、克也さんの番組で『Pump it up』のPVを偶然見て、そのカッチョ良さに愕然とし、あわててベストアルバムを買ってきたのですが、また該当曲以外は???よくわからない。いろんな曲があって、カメレオンのようにどの曲もこなしてしまうので、どれが本当のコステロなのかわからないのです。基本はパンク野郎と言われていますがPOPな曲ブルースっぽいもの、アコースティックなものもありで的をしぼりきれません。ezさんが一曲だけbestを選ぶとしたら何にしますか?ご推薦をお待ちしております。
Posted by shu0610 at 2008年03月24日 00:18
☆shu0610さん

ありがとうございます。

Costelloの1曲って難しいですね。
個人的には、Costelloって曲単位で聴くよりも、アルバム単位で聴いた方が楽しめるミュージシャンだと思います。ファッション・デザイナーのコレクションと同じ様に、今回は何で押してくるのかってワクワク感がありますよね。

個人的にはR&Bモードの『Get Happy!!』、パンク/ニュー・ウェイヴを通過したメロディ・メイカーとしての才能を見せた『Imperial Bedroom』あたりが一番しっくりきますね。

でも、個人的に一番好きなCostelloソングは、Costello自身が最悪のアルバムと語った『Punch the Clock』収録の「Everyday I Write the Book」だったりします(笑)Scritti Politti(というよりもGreen Gartside)大好きの僕としては、「I Wanna Be Loved」も半端なく好きですよ!
Posted by ez at 2008年03月24日 03:39
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