発表年:1972年
ez的ジャンル:ポップ&メロウ・ファンク
気分は... :黄金期EW&F前夜!
久々のEarth, Wind & Fire(EW&F)です。
セレクトしたのは3rdアルバム『Last Days And Time(邦題:地球最後の日)』(1972年)です。
当ブログでこれまで紹介してきたEW&F作品は以下の5枚(発表順)。
『Head To The Sky』(1973年)
『Open Our Eyes』(1974年)
『That's the Way of the World』(1975年)
『Gratitude』(1975年)
『Spirit』(1976年)
本作『Last Days And Time』(1972年)はColumbia移籍第一弾アルバムであり、Warner Bros.時代の1st『Earth, Wind & Fire』(1971年)、2nd『The Need of Love』(1972年)で聴かれたジャズ/ブラス・ロック的なアプローチからポップ/ソウル的なヴォーカル&インスト・グループへの脱皮を図った作品です。
その意気込みを反映してか、前作『The Need of Love』からMaurice White(vo、ds、kalimba)、Verdine White(b、vo、per)以外のメンバーを一新し、Phillip Bailey(vo、congas、per)、Jessica Cleaves(vo)、Roland Bautista(g)、Larry Dunn(p、org、clavinet)、Ronald Laws(ss、ts、fl)、Ralph Johnson(ds、per)が新たにメンバーとして加入しました。
Phillip Bailey、Larry Dunnという後のEW&Fの屋台骨を支えるメンバーと、Ronald Laws(Hubert Laws、Eloise Lawsの弟)、元The Friends of Distinctionの女性ヴォーカルJessica Cleavesという本作限りのメンバーが混在しているのは興味深いですね。
前述のようにポップ/ソウル的なヴォーカル&インスト・グループへの脱皮を図った作品ですが、まだまだ未完成でジャズ・ファンク的な演奏も混在するのが本作の面白さかもしれません。インタールードは完全にジャズ・グループしていますしね。その意味では本作でしか聴けないEW&Fを楽しむことができます。
プロデュースはJoe Wissert。
印象的なジャケは当ブログでも紹介した名デザイナーAbdul Mati Klarweinです。
Loftクラシック「Power」 、哀愁の名曲「Mom」、サンプリングソースとしても人気の「Remember The Children」など聴きどころは多いと思います。
全曲紹介しときやす。
「Time Is On Your Side」
Maurice White/Verdine White/Roland Bautista作。ファンキーな中のポップな味わいが後のブレイクを予感させるオープニング。一方でこの時期のEW&Fならではのファンクネスも満喫できます。Ronald Lawsのサックスも快調です。
http://www.youtube.com/watch?v=y44vSR9yL64
「Interlude」
フリージャズなインタールード。
「They Don't See」
Mark Davis作。Phillip Baileyのファルセット・コーラスとMaurice Whiteのスウィート・ヴォーカルが印象的なメロウ・チューン。Digable Planets「Swoon Units」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ExAT3cMFSV0
「Interlude 」
ピアノの余興といったインタールード。
「Make It With You」
Breadの名曲「二人の架け橋」をカヴァー(David Gates作)。初々しいPhillip Baileyのファルセット・ヴォーカルが魅力です。ポップ路線へ大きく舵を切ったグループの新たな方向性を実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=2BNBFBEoVSw
「Power」
Maurice White作。DJ HarveyらもプレイしたLoftクラシックとしてもお馴染みの人気曲。エレクトリック・マイルスをはじめとするジャズ・ファンク好きがグッとくるグルーヴを満喫できます。新メンバー達がその実力を如何なく発揮しています。Organized Konfusion「Prisoners Of War」、Fischmob「Fickpisse」、Mac Miller「BDE Bonus」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=xF108JweAGw
「Remember The Children」
Maurice White/Verdine White/Roland Bautista作。個人的には一番のお気に入り曲。Larry Dunnのクラヴィネットが印象的なファンク・グルーヴ。ニューソウル感も感じる仕上がりです。The Legion「Street Thing」、Clipz「Trumpet」 、Zero Tolerance Feat. Steo「Refusal」、Utah Jazz「Atmosphere Interlude」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=qwoXnyY75EQ
「Interlude 」
ジャジーなインタールード。
「Where Have All The Flowers Gone」
Pete Seegerの名曲「花はどこへいったの 」のカヴァー。ヴォーカル・グループとしての充実ぶりを感じさせる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=z6-URX6jMp4
「I'd Rather Have You」
Skip Scarbrough作。新加入のJessica Cleavesをフィーチャー。艶やかな女性ヴォーカルでEW&Fに新風を吹き込んでいます。女性リード・ヴォーカルのEW&Fという意味で貴重な1曲かもしれませんね。これを機会にJessicaが在籍していたThe Friends of Distinctionを聴いてみるのも楽しいでのでは?Stat Quo「We Get Higher」、Statik Selektah feat. Joell Ortiz, Skyzoo & Talib Kweli「Talkin' 'Bout You (Ladies)」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=3acl-aSHaIA
「Mom」
Maurice White/Verdine White作。ラストは哀愁のビューティフル・ソング。シングルにもなりました。Killarmy「Camouflage Ninjas」、Dj Quik「Speed」、Wu-Syndicate「Crime Syndicate」、Three 6 Mafia「I'm So High」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=4ZBOD0hMw4c
クラブミュージック好きはTimmy Regisford & Adam Riosのリミックスも要チェックです。
「Mom(Timmy Regisford & Adam Rios Remixes)」
http://www.youtube.com/watch?v=FhnLrd_pvzc
Earth, Wind & Fire(EW&F)の過去記事もご参照下さい。
『Head To The Sky』(1973年)
『Open Our Eyes』(1974年)
『That's the Way of the World』(1975年)
『Gratitude』(1975年)
『Spirit』(1976年)