2012年06月12日

Full Moon『Full Moon』

Buzz Feiten、Neil Larsenらによる"早すぎたクロスオーヴァー・サウンド"☆Full Moon『Full Moon』
フル・ムーン(紙ジャケット仕様)
発表年:1972年
ez的ジャンル:AOR/フュージョン前夜系クロスオーヴァー
気分は... :当たって砕けろ!

今回はLarsen-Feiten Bandでお馴染みのBuzz FeitenNeil Larsenが70年代前半に組んでいたグループFull Moonのアルバム『Full Moon』(1972年)です。

AOR/フュージョン好きにはお馴染みのグループLarsen-Feiten Band関連の作品は、当ブログでも1st『Larsen-Feiten Band』(1980年)、2ndFull Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』(1982年)の2枚を紹介済みです。後者は新生Full Moon名義の作品ですが、実体としてはLarsen-Feiten Bandの2ndアルバムという扱いではないかと思います。

そんなBuzz FeitenとNeil Larsenの2人が組む原点となった作品が本作『Full Moon』(1972年)です。この時のFull Moonのメンバーは、Buzz Feiten(g、vo)、Neil Larsen(key)、Fred Beckmeier(b)、Phillip Wilson(ds、vo)、Brother Gene Dinwiddie(sax、fl、vo)の5名です。Neil Larsen以外のメンバーは、Paul Butterfield Blues Band時代からの仲間であり、そこにNeilが加入したかたちです。

そんな5人が創り上げたクロスオーヴァー作品が『Full Moon』(1972年)です。

ロック好き、ソウル好き、ジャズ好きを一手に引き受けてしまったようなサウンドは、まさに"早すぎたクロスオーヴァー・サウンド"という気がします。ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、ラテン/ブラジルのエッセンスを融合し、きちんと自分たちの音にしてしまうところが流石です。

ただし、Larsen-Feiten Bandのイメージを期待して聴くとギャップがあるかもしれません。『Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten』(1982年)はFull Moon名義の作品ですが、同じFull Moonでも全く異なるグループという捉え方をした方がいいのでは?

メンバー以外にAirto Moreira(per)、Ray Barretto(per)、Randy Brecker(tp)、Dave Holland(b)がゲストとして参加しています。

ラテン/フュージョン好きであれば「Malibu」「Midnight Pass」、フリーソウル好きであれば「Need Your Love」あたりが聴きどころだと思います。

早すぎたクロスオーヴァー・サウンドは商業的には不発に終わり、NeilとBuzzもそれぞれスタジオ・ミュージシャンの道を歩んでいくことになります。そして、70年代後半に再合流した2人はLarsen-Feiten Bandを結成することになります。

曲数は少ないですが、曲ごとに色が異なり、そのバラエティ感で楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Heavy Scuffle's On」
Full Moon作。オープニングは重厚なファンク・チューン。Buzzyのハードなギターが唸りまくります。
http://www.youtube.com/watch?v=cQP5Waj_jdQ

「To Know」
Buzz Feiten作。Phillip Wilsonのシブいヴォーカルにグッとくるメロウなブルーアイド・ソウル。
http://www.youtube.com/watch?v=k8tn2jK2wHs

Sergio Mendes & Brasil '66でお馴染みの女性シンガーLani Hallもカヴァーしています。
Lani Hall「To Know」
http://www.youtube.com/watch?v=LX_acfHeF5g

「Malibu」
Neil Larsen作。Airto Moreiraが参加したブラジリアン・フレイヴァーのフュージョン・チューンに仕上がっています。このあたりのインスト曲は、その後のNeil Larsenのソロ作を予感させるものがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=5dFzdA3SKbs

「Take This Winter Out Of My Mind」
Gene Dinwiddie作。アーシーな味わいのロック・チューン。フュージョンしていた前曲「Malibu」とサザン・ロックしている本曲のギャップの大きさがこのグループの面白いところかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=8kNfdqqt3pc

「Midnight Pass」
Neil Larsen作。ラテン・グルーヴの帝王の"ハード・ハンズ"Ray Barrettoも参加しているラテン・フュージョン。インスト曲では「Malibu」と並ぶ本作のハイライトでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=nf4RDrQMYCM

Sea Levelもカヴァーしているので聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Sea Level「Midnight Pass」
http://www.youtube.com/watch?v=t46kxrYQYSM

「Need Your Love」
Buzz Feiten作。フリーソウル好きに人気のグルーヴィー・ロック。個人的にも本作のハイライトです。Brother Gene Dinwiddieの素敵なサックスと共にスタートとするロマンティック・スロウな前半、グルーヴィーに弾ける中盤以降と1曲で2度楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=CQd1vF07XP4

「Selfish People」
Phillip Wilson/Buzz Feiten作。前半はミステリアスなクロスオーヴァー・チューン、後半はBuzzyの泣きのギターが唸るロック・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=aSMv3J-Fkmc

僕の保有するCDにはボーナス・トラックで「Three Step Dance」が追加収録されていますが、最近のCDにはさらに「Jam」も追加収録されています。

Larsen-Feiten Band関連の過去記事もご参照下さい。

『Larsen-Feiten Band』(1980年)
ラーセン=フェイトン・バンド

Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』(1982年)
フルムーン
posted by ez at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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