発表年:1996年
ez的ジャンル:クラブ世代系ブラジリアン・ミュージック
気分は... :二世ミュージシャンはつらいよ・・・
さて、今回はブラジル人女性シンガーClara Morenoのデビュー・アルバム『Clara Moreno』(1996年)です。
人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceとの娘であるClara Morenoについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。
『Morena Bossa Nova』(2004年)
『Meu Samba Torto』(2006年)
『Miss Balanco』(2009年)
今日紹介するデビュー・アルバム『Clara Moreno』(1996年)は、ブラジルのインディレーベルからのリリースされた作品であり、本国ブラジルでもあまり流通していなかったようです。当初は国内盤もリリースされていませんでした。
その意味では、国内盤もリリースされた(というよりも日本向けに制作されたといった方が適切かもしれませんが)2nd『Mutante』(1998年)でClara Morenoの名を知るようになった方が多かったのでは?
本作をプロデュースしているのは、ブラジルのエレクトロニクス・ダンス・ユニットBossacucanovaのメンバーMarcio MenescalとAlexandre Moreiraの2人です。このコンビは次作『Mutante』もプロデュースしています。
Marcio Menescalはボサノヴァ発展に貢献した偉大なミュージシャンRoberto Menescalの息子です。
Joyceの娘ClaraとRoberto Menescalの息子Marcio、二世ミュージシャン同士息が合ったのかもしれませんね。
アルバム全体としては、Bossacucanovaプロデュースらしい、クラブ仕様のエレクトロニクスなブラジリアン・ダンス・ミュージック作品もありますが、そればかりではなく、フォーキーな楽曲やアーバン・メロウな楽曲なども収録されています。
母Joyceの作品も2曲収録されていますが、本作のために書き下ろしたもののようです。
ブラジル音楽好きよりもクラブミュージック好きの人にフィットする1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Partido Alto」
Chico Buarque作。オリジナルはChico BuarqueとCaetano Velosoの共演作『Juntos E Ao Vivo』(1972年)に収録されています。Chicoの名曲がセクシーなダンス・ミュージックとして生まれ変わります。
「Quase Feliz」
母Joyceの作品。いきなりChic「Le Freak(おしゃれフリーク)」のサンプリングで始まるBossacucanovaらしいエレクトロニクス感のあるダンス・チューンに仕上がっています。
「Podia Ser Pra Sempre」
一転してフォーキーな味わいのアコースティック・チューン。サウダージとは異なる郷愁感がいいですね。
「Canoa Canoa」
Nelson Angelo/Fernando Brant作。父Nelson Angeloの作品を歌います。オリジナルは
Milton Nascimento『Clube da Esquina 2』(1978年)に収録されています。ミステリアスな雰囲気の仕上がりが途中でラップパートが挿入されるあたりが本作らしいかもしれませんね。
「O Sol Nascera」
Elton Medeiros/Cartola作。当ブログではNara Leaoのカヴァーも紹介済みです。哀愁サンバの名曲をモダンなアレンジで聴かせてくれます。
「Detalhes」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。オリジナルはRoberto Carlos『Roberto Carlos』(1971年)に収録されています。クラブ経由のアーバン・メロウ・チューンといった趣の仕上がりです。
「Poeira」
Gonzaguinhaの息子Daniel Gonzagaの作品。Daniel Gonzagaのオリジナルは『Sob o Sol』(1996年)に収録されています。レゲエ調のアレンジが印象的です。
「*@#&!%$!」
文字化けではありません。何と読むのでしょうか?短いインタールード。
「Em Mim」
Vitor Ramil/Andre Gomes作。エキゾチックな雰囲気の漂う1曲。秘境モードへ誘ってくれます。
「Cacadora de Peles」
Lenine/Braulio Tavares作。オリジナルはRenata Arruda『Renata Arruda 』(1996年)に収録されています。メロウ&グルーヴィーなアコースティック・チューンはなかなかスタイリッシュな仕上がりです。
「Le Cactus」
ロック・サウンドにBossacucanovaらしいエレクトロニクス・ダンス・テイストが加わった肉食系の仕上がり。
「Fulano e Beltrano」
ラストは母Joyceの作品です。この曲に関しては、母Joyce作品のような美しいアコースティック・チューンに仕上がっています。
Clara Morenoの他作品もチェックを!
『Mutante』(1998年)
『Morena Bossa Nova』(2004年)
『Meu Samba Torto』(2006年)
『Miss Balanco』(2009年)
ありがとうございます。
ブラジルのフュージョン/クロスオーヴァーを牽引してきた存在だけに残念ですね。