発表年:1968年
ez的ジャンル:ラテン・ジャズ〜ブーガルー系R&B
気分は... :いつ聴いてもワクワクする!
今回は今年1月に惜しくも逝去したサックス奏者Jimmy Castorの1stアルバム『Hey Leroy』(1968年)です。
Jimmy Castor(1940-2012年)はN.Y.出身のサックス奏者。
※出生年については1943年、1947年という情報源もあるようですが、所謂年齢詐称であったようです。
元々はドゥーワップ・グループを組んで活動していましたが、サックス奏者としても注目されるようになります。そして、1966年にリリースしたシングル「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」が全米チャート第31位、同R&Bチャート第16位のスマッシュ・ヒットとなりました。
70年代に入ると、自身のグループJimmy Castor Bunchを結成します。そして、グループ最初のアルバム『It's Just Begun』(1972年)からのシングル「Troglodyte」が全米チャート第6位、同R&Bチャート第4位の大ヒットとなりました。
その後も70年代から80年代前半にかけてコンスタントに作品をリリースし、R&B/ファンク・ファンから高い支持を得ていました。
アルバム『It's Just Begun』(1972年)からの「It's Just Begun」、「Troglodyte」は、Hip-Hopのど定番サンプリング・ソースとして大人気です。
Jimmy Castor Bunch「It's Just Begun」
http://www.youtube.com/watch?v=OWl01JD-CtQ
Jimmy Castor Bunch「Troglodyte」
http://www.youtube.com/watch?v=QgktcySf_aw
彼の愛称"E-Man"はEverything Manの略です。サックス奏者、パーカッション奏者、シンガー、ソングライター、アレンジャー、バンドリーダーとあらゆる役割を要領よくこなしてしまうことから、このようなニックネームになったようです。
今回紹介する『Hey Leroy』(1968年)は、シングル・ヒット「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」を含む彼の1stアルバムです。
彼の根底にあるのはR&B/ソウル/ファンクだと思いますが、本作ではラテン・ジャズ〜ブーガルー色を前面に打ち出した内容になっています。その分、テンションの高いグルーヴを満喫できます。
レコーディング・メンバーはJimmy Castor(sax、timbales、cowbell、vibe)、Paul Martinez(b)、Martin Charles(congas)、Richard Landrum(congas)、Hillard Gibson(g)、Ken Mills(p)、Reginald Barnes(ds)という編成です。
サックスのみならず、Jimmy Castorのヴァイヴやティンヴァレスの演奏にも注目です。
いつ聴いてもワクワクする格好良いグルーヴ満載の1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」
Jimmy Castor/John Pruitt作。前述のようにE-Man初のヒット曲。ご機嫌な掛け声と共にスタートするパーティー・ラテン・グルーヴです。今聴くと、カウベルのリズムがリズムボックスのように聴こえるのが興味深いです。これもE-Manのサウンド・センスなのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=_vMKtLCB-XQ
Cash Money & Marvelous「Where's The Party At?」のサンプリング・ソースにもなっています。
Cash Money & Marvelous「Where's The Party At?」
http://www.youtube.com/watch?v=Vtm-BC6seUc
「Bang, Bang」
Joe Cuba/Jimmy Sabater作。The Joe Cuba Sextetのパーティー・ブーガルーをカヴァー。N.Y.ラテンらしいグルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=yuxVvdtukZE
オープニングが「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」、2曲目が「Bang, Bang」という流れは、Les McCannのLes McCann Ltd.『Bucket O' Grease』(1967年)と同じ流れです。聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Les McCann Ltd.『Bucket O' Grease』(1967年)
「Our Day Will Come」
Bob Hilliard/Mort Garson作。Ruby & the Romantics、1963年に大ヒットR&Bチューンをカヴァー。ここではヴォーカル入りのジャズ・サンバ調カヴァーで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=hKip1OuLRNY
「Ham Hocks Espanol」
Jimmy Castor/John Pruitt作。ファンキーな格好良さを満喫できるラテン・ファンク調の仕上がり。本来のJimmy Castorのイメージってこんな感じですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=6WqLgf1N94w
「How Beautiful You Are」
Jimmy Castor/John Pruitt作。ここではJimmy Castorのヴァイヴを満喫できます。Cal Tjaderあたりと一緒に聴きたくなるラウンジ調の小粋なラテン・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=l2npJDR9R58
「Hey Willie」
Jimmy Castor/John Pruitt作。「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」の続編といった感じの掛け声でスタートします。こちらもノリの良いパーティー・ラテン・グルーヴです。
http://www.youtube.com/watch?v=l2aPS1Hx5RY
「Oh, Yeh」
Georgie Fameの大ヒット「Yeh Yeh」のラテン・ヴァージョン。スピーディーなノリが格好良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9Fw46fF4Xkc
「Winchester Cathedral」
Geoff Stephens作。The New Vaudeville Bandのカヴァー。ファンキーR&Bとラテンを上手く融合した感じにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=xEXJq_cGjVg
「Southern Fried Frijoles」
Joe Cuba/Jimmy Sabater作。かなり格好良いラテン・テイストのソウル・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=t5m6e8ZWHE8
「Ol' Man River」
Oscar Hammerstein II/Jerome Kern作のスタンダードをカヴァー。有名スタンダードが軽快なラテン・グルーヴに生まれ変わっています。Jimmy Castorのティンヴァレスが聴きどころです。
http://www.youtube.com/watch?v=Iihl_z7M66A
興味がある方はJimmy Castorの他作品もチェックしてみて下さい。
『It's Just Begun/Phase 2』(1972年) ※2in1CD
『The Jimmy Castor Bunch featuring The Everything Man』(1974年)
『Butt Of Course...』(1975年)
『Supersound』(1975年)
『E-Man Groovin'』(1976年)
『Maximum Stimulation』(1977年)
『The Jimmy Castor Bunch』(1979年)