発表年:2011年
ez的ジャンル:カナディアン女性ジャズ・シンガー
気分は... :ボッサな夏気分にピッタリ!
五輪は日本選手の悲喜交々の結果に、ビミョーな気分の第2日になりましたね。
女子重量挙げの三宅選手と競泳男子400M個人メドレーの萩野選手のメダル獲得には歓喜しましたが、男女柔道にはガックリ、体操男子団体は予選で良かった、北島には過度の期待をせずに応援しよう・・・といったところでしょうか。
サッカーなでしこのスウェーデン戦は引き分けでしたが、決勝トーナメントを考えると1位よりも2位通過が望ましいので勝ち点1は最も良い結果だったのでは?
今回はカナダ出身の女性ジャズ・シンガーDiana Pantonの4thアルバム『To Brazil With Love(邦題:フェリシダージ〜わたしが愛したブラジル )』(2011年)です。
昨年秋にリリースされたアルバムですが、全編ボッサ・ジャズな夏向けアルバムなので今夏を待ってのエントリーとなりました。
これまで『...Yesterday Perhaps』(2005年)、『If the Moon Turns Green』(2007年)、『Pink』(2009年)、『To Brazil With Love』(2011年)といったアルバムをリリースしています。日本では『If the Moon Turns Green(邦題:ムーンライト・セレナーデ~月と星のうた)』が本邦デビューとなり、前作『Pink(邦題:ピンク~シークレット・ハート )』も含めて"カナダの妖精"はジャズ・ファンから高い評価を得ました。
本作『To Brazil With Love』はタイトルの通り、全編ボッサ・ジャズで占められています。パリへ留学し、フランス文学を学んだこともあるDianaらしくフランス語と英語によるボッサ・ジャズ作品になっています。
前々作『If the Moon Turns Green』、前作『Pink』と同様にDiana Panton自身とDon Thompsonがプロデュースを務めています。
レコーディングにはDiana Panton(vo)、Don Thompson(b、p、vib)をはじめ、Reg Schwager(g)、Maninho Costa(vo、ds、per)、Bill McBirnie(fl)、Silas Silva(ds、per)、Kiki Misumi(cello)といったメンバーが参加しています。
妖精のような愛らしさにエレガントな気品も兼ね備えた魅惑のヴォーカルは本作でも健在です。
ボッサ好き、女性ジャズ・ヴォーカル好きの僕にはジャスト・フィットな1枚です。
1曲を除けば有名ボサノヴァ曲やスタンダード曲のカヴァーなので、お好きな方はオリジナルや他ヴァージョンと比較しながら聴くと一層楽しめると思います。フランス語詞と英語詞が交互に登場する構成もグッド!
ボッサ好きの方も女性ジャズ・ヴォーカル好きの方も楽しめる1枚だと思います。
しっとり涼しげな夏モードに浸りたい方はぜひ!
全曲紹介しときやす。
「Samba Saravah」
Baden Powell/Vinicius De Moraes/Pierre Barouh作。映画『Un Homme Et Une Femme(男と女)』でお馴染みの名曲「男と女のサンバ」のカヴァー。当ブログでは『Un Homme Et Une Femme(男と女)』ヴァージョン以外にBebel Gilberto、Stacey Kentのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンは小粋でエレガントなボッサ・ジャズに仕上がっています。本作の魅力が凝縮されたオープニング。Don Thompsonのヴァイヴがいいアクセントになっています。Maninho Costaのシブい男性ヴォーカルがDianaのヴォーカルを引き立ててくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=lePjtBIbgrk
「This Happy Madness」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の「Estrada Branca」をカヴァー。前述のGene Leesが英語詞を書いています。ここでは爽快なボッサ・ジャズに仕上げています。DianaのキュートなヴォーカルとBill McBirnieのフルートが涼しい微風のように流れてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=B9CHcjdqmyI
「The Telephone Song」
Roberto Menescal/ Ronaldo Boscoli作の名曲をカヴァー。ボッサ好きの人には鉄板の仕上がりのカヴァー。軽快なReg SchwagerのギターとDianaのチャーミングなヴォーカルが素敵なボッサ・ワールドを創り出します。
「Manha de Carnaval」
Antonio Maria/Luiz Bonfa作のボサノヴァ名曲「カーニバルの朝」のカヴァー。ここではセクシー&レイジーな哀愁ボッサを満喫できます。黄昏モードにピッタリです。
当ブログではDexter Gordon、Gerry Mulligan、Balanco、Astrud Gilberto、Jack Marshall & Shelly Manne、Steen Rasmussen Feat. Josefine Cronholm、Oscar Peterson、Akua Allrich、Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Sevenのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「So Nice」
Walter Wanderleyのヒットでもお馴染み、Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作の名曲「ソー・ナイス(サマー・サンバ)」をカヴァー。当ブログではWalter Wanderley、Marcos Valle以外に、Astrud Gilberto/Walter Wanderley Trio、Bebel Gilbertoのヴァージョンも紹介済みです。ここではジャズ・ヴォーカル作品らしいサラッとした雰囲気でカヴァーしています。
「Is It Really You?」
Diana Panton/Don Thompson作。本作唯一のオリジナル。しっとりとした哀愁ボッサを聴かせてくれます。
「The Night Has a Thousand Eyes」
Buddy Bernier/Jerry Brainin作のジャズ・スタンダード。Dianaの艶やかなヴォーカルの魅力全開の1曲。Reg Schwagerのギターの響きやDon Thompsonのヴァイヴもグッド!
「Dans Mon Ile」
Maurice Pon/Henri Salvador作。ボサノヴァの誕生に貢献したフランス人アーティストHenri Salvadorの名曲をカヴァー。当ブログでは先日Caetano Velosoのヴァージョンも紹介したばかりです。ノスタルジックな雰囲気とフランス語の響きに魅了されます。誰にも邪魔されない自分だけの時間をゆったり過ごしたい気分にピッタリ!
Caetano Velosoの記事でも書きましたが、故Henri Salvadorのアルバムも近々取り上げたいと思います。
「Felicidade」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作のボッサ名曲のカヴァー。フランス語詞で聴く「Felicidade」はなかなかフレッシュな印象を受けます。
当ブログではRamsey Lewis Trio、Kenny Drew、Milton Nascimento、Sirius B、Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Sevenのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「Tu Sais Je Vais T'aimer」
この曲もAntonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作。原題は「Eu Sei Que Vou Te Amar」です。当ブログではSteen Rasmussen Feat. Josefine Cronholmのカヴァーも紹介済みです。女性ジャズ・ヴォーカル作品らしいしっとりとした味わいがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=WPtHzw4pIZs
「Dreamer」
Vinicius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作。原題は「Vivo Sonhand」です。ここではGene Leesが書いた英語詞で歌われます。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)、Diane Denoir/Eduardo Mateoのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンはKiki Misumiのチェロも入った実にエレガントな雰囲気の「The Dreamer」を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZrsEpN9wOYw
「And I Love Him」
Beatlesの名曲「And I Love Her」のカヴァー(Lennon/McCartney作)。HerをHimに変えた女性ヴァージョンとして当ブログではRita Leeのカヴァーも紹介済みです。切々と歌うDianaの哀愁ヴォーカルに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=OizKD782tXE
「Fais Comme L'Oiseau」
当ブログでも紹介したMichel Fugain Et Le Big Bazarヴァージョンでもお馴染み、ブラジルの男性SSWデュオAntonio Carlos & Jocafiによるメロウ・サンバの名曲「Voce Abusou」のカヴァー。フレンチ・ボッサが良く似合う楽曲ですが、Dianaもその雰囲気を上手く受け継いでいます。
「Que Reste-T-Il De Nos Amours」
Charles Trenet/Leo Chauliac作。ラストはシャンソン名曲をカヴァー。ジャズ・スタンダード風のオーセンティックな仕上がりです。
ご興味がある方はDiana Pantonの他作品もチェックを!
『...Yesterday Perhaps』(2005年)
『If the Moon Turns Green』(2007年)
『Pink』(2009年)