発表年:2007年
ez的ジャンル:最強フレンチHip-Hopバンド
気分は... :なでしこ絶妙の引き分け!
ロンドン五輪女子サッカーのなでしこジャパンは"絶妙の引き分け"で見事グループ2位のポジションをゲットしました。狙い通り準々決勝でのフランスとの対戦を避けることができました(順当に勝ち上がれば準決勝はフランスとの対戦となると思いますが)。
メンバーの大幅入れ替えという大義名分のもとに引き分けを手繰り寄せた、佐々木監督の強かさに感心します。また、狙って引き分けることができるなでしこ(特に守備ライン)は頼もしかったですね。
それに比べて柔道は(結果以上に試合ぶりが)何とも頼りない1日になってしまいましたね。やはり、前日の松本選手のような殺気さえ感じる気迫がなければ頂点を極めることは難しいのかもしれませんね。
今回はフランス最強のHip-HopバンドHocus Pocusの代表作『Place 54』です。
MCの20sylを中心としたフレンチHip-HopバンドHocus Pocusの紹介は、『16 Pieces』(2010年)に続き2回目となります。
『73 Touches』(2005年)でブレイクしたHocus Pocusがその圧倒的な存在感を示したアルバムが本作『Place 54』(2007年)です。
本作におけるメンバーは、20syl(rap)、DJ Greem(turntables)、Herve Godard(b)、Antoine Saint-Jean(ds)、 Matthieu Lelievre(key)、David Le Deunff(g、vo)の6名。
『Place 54』においてHocus Pocusがクリエイトする音世界はもはやHip-Hopの枠では収まりません。ジャジーHip-Hopを基調にしつつも、ソウル/R&B、ジャズ/クロスオーヴァー、ワールドミュージックまで飲み込んでしまう広大な音世界には脱帽です。ジャンルの枠にこだわらず作品を聴く僕の嗜好にジャスト・フィットしています。
また、本作ではJ Dillaをはじめ、彼らが影響を受けたアーティストへのリスペクトを感じるます。注意深くリリックを聴いていると、さまざまなアーティストの名が登場することに気付きます。
アルバムにはUKソウル・シンガーOmar、USのHip-HopグループThe Procussions、ファンク界の大御所Fred Wesley等のゲストが参加しています。
さまざまな音楽が交錯するフランス音楽シーンの面白さが凝縮された1枚だと思います。
Hip-Hopを聴かない人にぜひ聴いてほしいHip-Hop作品です。
全曲紹介しときやす。
「Place 54」
Hip-Hop、クラブジャズ、クロスオーヴァーを採りこんだHocus Pocusらしいジャズ・ワールドが展開されるオープニング。
http://www.youtube.com/watch?v=aenFsUtzIfo
「Quitte A T'Aimer」
Magik Malikをフィーチャー。哀愁モードのスパニッシュ・ギターが印象的です。Cesaria Evora「Petit Pays」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=0BBLyrVYpqU
「Smile」
オススメその1。アルバムからの1stシングル。お馴染みのUKソウル・シンガーOmarをフィーチャー。キャッチーかつリズミカルなソウル・チューンです。Tollakのハーモニカもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=vPUeW1EO9yw
「Recycle」
オススメその2。大御所Fred Wesleyのトロンボーン&ヴォーカルとThe ProcussionsのStro The 89thのラップをフィーチャー。迫力のホーン・アンサンブルと生音Hip-Hopバンドらしい躍動感のあるリズムにグッとくるファンキー・サウンドを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=EgpVlSN39MM
「Normal」
アコギとフルートによるフォーキー・サウンドをバックに20sylの切々としたフロウが胸にしみる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=5P75mWbCC_A
「Vocab! Prelude」
次曲「Vocab!」へのイントロ。
「Vocab!」
オススメその3。女性ラッパーT LoveとHocus Pocus作品のレギュラー・ゲストとも呼べるThe Procussionsをフィーチャー。豪華マイクリレーとジャジー&メロウ・サウンドでジャジーHip-Hop好きのハートをガッチリつかんでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=eZypXYgpono
「Mr Tout Le Monde」
オススメその4。アルバムからの2ndシングル。Z.Z. Hill「Mr. Nobody, Somebody」をサンプリングしたシブめのソウルフル・チューン。ジャジー&ソウルをフレンチ・ラップならではのテイストでまとめ上げているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=EJfZCjPYbg0
「Tournee」
自分たちのツアー漬けの日々を歌ったもの。ジャジーHip-Hopらしい空気感を楽しめる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=JHCVRsgxSgs
「Move On」
オススメその5。20sylやDJ Greemも所属するDJユニットC2C(Coups 2 Cross)と女性シンガーDajlaをフィーチャー。エレガントかつ哀愁メロウなDJワールドを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=FCMUC8NDSUA
「Touriste」
Elodie RamaとTribecaをフィーチャー。Elodie Ramaの女性ラップをはじめフレンチ・ラップらしいアンニュイな雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=jV7AfLW5QGo
「Je La Soul」
オススメその6。Tairiq Kedaをフィーチャー。De La Soul好きの人はこのタイトルだけでもグッときますよね。もちろん僕もそんな一人です。リリックの中にもDe La Soulの名が登場します。中身もNative Tonguesのジャジーなフレンチ・ラップ版といった雰囲気でグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=ThOZA_h2QmY
「Histoire D'Une VHS」
オススメその7。バカンス・モードにぴったりのアコースティック・チューン。誰にも邪魔されない自分だけの時間を過ごしたくなる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=TE_i2mIBGDs
「Voyage Immobile」
オススメその8。Miles Davis、Stevie Wonder、Jungle Brothers、A Tribe Called Quest、J Dilla、The Roots等々彼らがリスペクトする偉大なアーティストたちの名が続々と登場する至極のジャジーHip-Hopチューン。そのアーティスト名を聞けば、それだけでHocus Pocusを好きになってしまいます!
http://www.youtube.com/watch?v=g1NF32wwMTI
「Voyage Immobile」の後にシークレット・トラックとして「Smile」のリプライズが収録されています。
『73 Touches』(2005年)、『16 Pieces』(2010年)の2枚もセットでどうぞ!
『73 Touches』(2005年)
『16 Pieces』(2010年)