発表年:2012年
ez的ジャンル:最新アフロ・ファンク
気分は... :腹に響くアフロ・グルーヴ!
今回は新作アルバムの中から重量アフロ・ファンク作品Afro Latin Vintage Orchestra『Last Odyssey』です。
フランス、パリで結成されたアフロ・ファンク・バンドAfro Latin Vintage Orchestraの紹介は、『Ayodegi』(2010年)に続き2回目となります。
US西海岸のレーベルUbiquity Recordsからリリースされた『Last Odyssey』は、『Definitely Roots』(2009年)、『Ayodegi』(2010年)に続く3rdアルバムとなります。
リーダーのMasta Conga(per)を中心に、ど迫力の重量級アフロ・ファンク・サウンドでシーンに大きなインパクトを与えてきたAfro Latin Vintage Orchestraですが、本作でも最新スタイルのアフロ・ファンクを満喫できます。
ただし、前2作がインプロヴィゼーションを重視していたのに対して、本作は明確なサウンド・イメージに基づく緻密なサウンド作りが特徴です。また、前作『Ayodegi』ではHip-Hop、Nu Jazz/クロスオーヴァー、ドラムンベースなどを意識した曲もありましたが、本作ではそうした色合いは薄れて直球一本勝負でアフロ・グルーヴに挑んでいます。あとは前作以上にアフロとラテンの融合を実感できます。
前作『Ayodegi』で彼らの虜になった僕は、彼らの新作発表と聞き試聴もせずに本作を購入しましたが大正解でした。やはり、このグループの音世界は凄すぎます!
アフロビート、エチオピアン・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ、ラテンなどのエッセンスを飲み込んだ彼らのカオス的重量グルーヴの1つの完成形を本作で聴くことができると思います。
アフロビート/アフロ・ファンク好き、エレクトリック・マイルス好きの人はぜひチェックを!
腹に響くアフロ・グルーヴはクセになること間違いなし!
全曲紹介しときやす。
「Petrof Sublimation」
腹に響くベース、呪術的パーカッション、スピリチュアルなピアノ等が織り成すミステリアスなオープニング。
「Onze De France」
バンド名の通り、アフロ・ラテンなへヴィ・グルーヴが炸裂する1曲。覚醒するアフロ・グルーヴとエキゾチックなラテン・グルーヴが織り成す彼ららしい音世界を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=U92QVHOPxoM
「Hip Hop Definition」
タイトルにHip Hopとありますが、あまりそういった色合いはありません。本作らしいカオス感を満喫できるファンク・グルーヴです。ヴァイオリンと妖しくうねるギター・サウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=9JSB7PeIZXo
「Gibbon's Dub」
ラテン+アフロビート+エレクトリック・マイルスといった雰囲気の音世界です。
「Requiem Pour Un Grooveur」
ミステリアスなパーカッシヴ・グルーヴの上に音像が重なっていく哀愁のジャズ・ファンク・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=5s0xWgJECao
「Buffet Froid」
エキゾチック&ラテン色が強い仕上がりながらも、しっかりジャズしている演奏を聴くことができます。
「Last Odyssey」
タイトル曲はエキゾチック&ミステリアスな魅力に溢れています。気分は紀元前の古代エジプトといった趣ですね。
「Dimension 7」
覚醒する土着的カオス・グルーヴに脳内がジワジワと浸食されていきます。
「Harissa」
ボトムのしっかりしたへヴィなファンク・グルーヴにグッときます。エレクトリック・マイルスのグルーヴ感がお好きな人は気に入るのではないかと思います。
「Samourai」
サムライを意識したタイトルですがサウンド面への影響はよくわかりません(笑)。テンション高いカオス的なへヴィ・グルーヴです。
「Spoken Wild」
アルバムで唯一のヴォーカル(スポークン・ワード)が入った1曲。呪術の儀式のような覚醒感が漂います。
「Sequences」
僕の一番のお気に入り。ラテンの疾走感とアフロな覚醒感が一体化したこのバンドらしい世界観がうまく表現された1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=TXQ_YhA_rcU
「Latin Break」
ラテンの持つエレガントなグルーヴ感にアフロなスパイスを効かせています。
「Acai」
「Sequences」と並ぶ僕のお気に入り。この曲は女性スキャットも入ったラテン/ブラジリアン・グルーヴ寄りの仕上りですが、このバンドらしいカオス的エッセンスも散りばめられています。
「Freestyle」
最後は彼ららしくさまざまな音楽のエッセンスが顔を覗かせる彼ららしいフリースタイルな演奏になっています。
『Ayodegi』(2010年)