録音年:1968年
ez的ジャンル:グルーヴィー&ソウルフル系オルガン・ジャズ
気分は... :エンパシーの心で・・・
今回はソウル・ジャズ作品で人気のジャズ・オルガン奏者Jimmy McGriffの1968年作品『The Worm』です。
Jimmy McGriff(1936-2008年)はペンシルバニア生まれ。両親がともにピアノを演奏していた影響で幼少期からピアノを弾き始め、10代の頃にはピアノ、ベース、ヴィブラフォン、ドラム、サックスを演奏していました。Richard "Groove" Holmesの演奏に触れたことでハモンド・オルガンの魅力に取りつかれ、オルガン奏者の道を歩むようになります。
また、9つ年上で同郷のジャズ・オルガン奏者のパイオニアJimmy Smithとは幼少期からの知り合いだった模様です。
1962年にSueレーベルからリリースされたRay Charlesのカヴァー「I Got A Woman」がヒットし、一躍注目を浴びるようになります。その後もSue、Solid State、Blue Note、Groove Merchant等に数多くのレコーディングを残し、ソウル・ジャズの人気オルガン奏者として活躍しました。2008年に逝去。
今日では60年後半から70年代半ばあたりの作品の再評価が高まっている人ですね。その流れで人気が高いのが今日紹介する『The Worm』(1968年)と『Electric Funk』(1969年)あたりですかね。
『The Worm』はSolid Stateからリリースされた作品であり、レコーディング・メンバーはJimmy McGriff(org)、Blue Mitchell(tp)、Danny Turner(as)、Fats Theus(ts)、Robert Ashton(bs)、Thornel Schwartz(g)、Bob Bushnell(b)、Grady Tate(ds)、Mel Lewis(ds)という編成です。
個人的には「The Worm」 、「Heavyweight」 、「Blue Juice」あたりがオススメです。
多分、本作はDJらの再評価をきっかけに注目が高まった作品だと思いますが、そういった聴き方以外でも楽しめるオルガン・ジャズ作品になっていると思います。
全曲紹介しときやす。
「The Worm」
Fats Theus作。本作のハイライトは何とって言ってもタイトル曲ですね。何と言ってもドラム・ブレイクが格好良すぎます。作者Fats TheusのサックスとMcGriffのオルガンをフィーチャーしたブーガルー調のファンキーな演奏もサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=a4ZiU10Ngq0
本曲の格好良すぎるドラム・ブレイクは、90年代渋谷系音楽好きの人にとっては、ピチカート・ファイヴ(Pizzicato Five)「キャッチー(Catchy)」 、United Future Organization「Doopsylalolic」のサンプリングソースとしてお馴染みですね。話は逸れますが、「キャッチー」が収録された『スウィート・ピチカート・ファイヴ』は当時僕が最もよく聴いていたアルバムでした。当ブログは洋楽専門と決めているので紹介できませんが・・・
Pizzicato Five「Catchy」 ※『Made in USA』ヴァージョン
http://www.youtube.com/watch?v=KxP-PSJanec
United Future Organization「Doopsylalolic」
http://www.youtube.com/watch?v=KxP-PSJanec
それ以外にもThe Chemical Brothers「Chemical Beats」、Squarepusher「My Red Hot Car (Girl)」等数多くの楽曲のサンプリングソースになっています。多分、この曲をサンプリングしたものって50曲以上あると思います。限がないので載せませんが・・・
The Chemical Brothers「Chemical Beats」
http://www.youtube.com/watch?v=gknXdDLJDMc
Squarepusher「My Red Hot Car (Girl)」
http://www.youtube.com/watch?v=W8Y3piodWes
「Keep Loose」
Jimmy McGriff作。ファンキー&グルーヴィーなオルガン・ジャズを満喫できます。終盤にはBlue Mitchellがトランペット・ソロで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=KBby3Ln1qhI
「Heavyweight」
Jimmy McGriff作。クラブジャズ好きの人が気に入りそうな演奏なのがコレ。アッパーな格好良さを持ったアンサンブルで颯爽と駆け抜けます。トランペット→ギター→アルト・サックス→オルガンと続くソロもキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=RZnTb7NyieU
「Think」
Aretha Franklin/Ted White作。 Aretha Franklinのヒット曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Aretha Now』に収録されています。ソウル・ジャズを代表するオルガン奏者らしいソウルフルな演奏を満喫できます。
「Lock It Up」
Kenny Burrell/Warren Stephens作。ここではブルージーな演奏を聴かせてくれます。
「Girl Talk」
Bobby Troup/Neil Hefti作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。ロマンティックなバックがMcGriffのオルガンを引き立てるオルガン・ジャズです。
「Blue Juice」
Jimmy McGriff作。「The Worm」に続く注目曲かもしれません。McGriffの方向性をよく示したジャズ・ファンク調の演奏を楽しめます。Blue Mitchellの印象的なトランペット・ソロはサンプリング・ソースでも取り上げられています。
http://www.youtube.com/watch?v=RuEFP1RbfPY
この曲もサンプリングソースとして人気です。King Tee「Time to Get Out」、Black Sheep「Pass the 40」、Onyx「Atak of Da Bal-Hedz」、Frankie HI-NRG MC「Quelli Che Benpensano」でサンプリングされています。
King Tee「Time to Get Out」
http://www.youtube.com/watch?v=KygNO8OZbRc
Black Sheep「Pass the 40」
http://www.youtube.com/watch?v=N9ApnU9rLiw
Onyx「Atak of Da Bal-Hedz」
http://www.youtube.com/watch?v=-onVffkthSY
Frankie HI-NRG MC「Quelli Che Benpensano」
http://www.youtube.com/watch?v=vrpJB7ucC5Y
「Take The A Train」
Billy Strayhorn作。ラストはDuke Ellington楽団のテーマ曲「A列車で行こう」のカヴァー。お馴染みの名曲をオリジナルの雰囲気を受け継いだ小粋な演奏で聴かせてくれます。
Jimmy McGriffの他作品もチェックを!
『Electric Funk』(1969年)
『Groove Grease』(1971年)
『Black and Blues』(1971年)
『Soul Sugar』(1971年)
『Let's Stay Together』(1972年)
『Fly Dude』(1972年)
James McGriff & Groove Holmes『Giants of the Organ Come Together』(1973年)
James McGriff & Groove Holmes『Giants of the Organ in Concert』(1974年)
『The Main Squeeze』(1974年)
『Stump Juice』(1975年)
James McGriff & Joe Thomas『The Mean Machine』(1976年)
『Red Beans』(1976年)