2012年09月22日

Cybill Shepherd『Mad About The Boy』

Stan Getzも参加。女優系ジャズ・ボッサ・ヴォーカルの人気作☆Cybill Shepherd『Mad About The Boy』
マッド・アバウト・ザ・ボーイ(紙)
録音年:1976年
ez的ジャンル:女優系ジャズ・ボッサ/ジャズ・ヴォーカル
気分は... :こちらブルームーン探偵社のアノ人です!

今回は女優としてもお馴染みCybill Shepherdのアルバム『Mad About The Boy』です。
リリースは1980年ですがレコーディングは1976年に行われたものなので、便宜上70年代カテゴリーに入れておきます。

Cybill Shepherdは1950年テネシー州メンフィス生まれの女優、シンガー、モデル。

1960年代後半はファッションモデルとして活躍し、1970年代に入ると女優として才能を開花させます。有名作でいえばMartin Scorsese監督、Robert De Niro主演の『Taxi Driver』(1976年)に出演しています。しかし、何といっても彼女を有名にしたのは日本でもNHKでテレビ放送していた人気シリーズ『こちらブルームーン探偵社(Moonlighting)』ですよね。Bruce Willisも出演した本作で主役を務め、ゴールデングローブ賞も受賞しています。僕も『こちらブルームーン探偵社』で彼女のことを知りました。

また、歌手としても活躍し、70年代から寡作ながらもアルバムをリリースしています。

今日紹介する『Mad About The Boy』は女優系ジャズ・ボッサ・ヴォーカル作品として再評価された、ジャズ・ボッサ・ヴォーカル好きにはお馴染みの1枚です。

ファッションモデルとして活躍する以前は歌手として活動していただけあって、付け焼刃的な女優ヴォーカル作品を一線を画す本格的なジャズ・ヴォーカル作品です。特にジャズ・ボッサ的な演奏が多いのが人気の要因だと思います。

レコーディング・メンバーは、Cybill Shepherd(vo)、Stan Getz(ts)、Oscar Castro-Neves(g、key、arr)、Frank Rosolino(tb)、Terry Trotter(p)、Monty Budwig(b)、Octavio Baily(el-b)、Claudio Slon(ds)、Joe Baron(ds)、Paulinho DaCasta(per)Andreas Kostelas(fl)、Arthur Smith(fl)、Richard Spencer(fl)、Mike Altschul(fl)といった編成です。特に、ジャズ・ジャイアントStan Getz、ブラジル音楽好きにはお馴染みOscar Castro-Nevesの貢献が大きいですね。

なお、Cybill Shepherdの凛とした姿が印象的な上記ジャケ以外にイラスト・ジャケの盤もあるのでご注意を!

『Mad About The Boy』 ※1987年Crepuscule版
Mad About The Boy


ジャズ・ボッサ作品としても、女性ジャズ・ヴォーカル作品としても楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Triste」
本作のハイライト。Antonio Carlos Jobimのボサノヴァ名曲のカヴァー。キュートで軽やかなCybillのヴォーカルがジャズ・ボッサ・サウンドとよくマッチしています。Getzのサックスもボッサなムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-8m43s_oBpY

「I Can't Get Started」
Ira Gershwin作詞、Vernon Duke作曲のスタンダード。当ブログではAnita O'Dayヴァージョンも紹介済みです。女性ジャズ・ヴォーカル作品らしい情感たっぷりのスタンダード然としたCybillの歌声が感動的です。
https://www.youtube.com/watch?v=D-zMGo4h728

「Please Don't Talk About Me When I'm Gone」
Sidney Clare作詞、Sam H. Stept作曲のスタンダード。スウィンギーで小粋な雰囲気がいいですね。Frank Rosolinoのトロンボーンがいい雰囲気を演出してくれます。

「This Masquerade」
Leon Russell作の有名曲をカヴァー。ちょうど本作のレコーディングの頃、George Bensonヴァージョンがヒットしていましたね。本ヴァージョンはGetzのムーディーなソロと共に始まるエレガントなボッサ・チューンに仕上がっています。大人のジャズ・ボッサって感じがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=QGI5IzZWvjI

「Mad About The Boy」
タイトル曲はNoel Coward作のポピュラー・スタンダード。本曲もGetzのテナー・サックスを大きくフィーチャーしたボッサ・チューンに仕上がっています。ボッサ好きにとっては「Triste」と並ぶ本作の目玉なのでは?

「I'm Old Fashioned」
ミュージカル映画『You Were Never Lovelier(晴れて今宵は)』(1942年)で使われたJohnny Mercer作詞/Jerome Kern作曲のスタンダード。当ブログではJohn ColtraneChet Bakerのカヴァーを紹介済みです。小粋でロマンティックな本演奏が僕のお気に入りです。ゆったりとリラックスできる雰囲気が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=Py6z0yVlKm8

「It Never Entered My Mind」
1940年のミュージカル『Higher and Higher』のために書かれた Lorenz Hart/Richard Rodgers作によるスタンダード。以前にThe Oscar Peterson Trio + The Singers UnlimitedAnn Burtonのカヴァーを紹介済みです。Terry Trotterのピアノをバックに従え、Cybillがしっとりと歌い上げる感動バラード。

「Speak Low」
Ogden Nash作詞/Kurt Weill作曲のスタンダード。ボッサな演奏以外は疾走感が格好良い本曲の演奏が僕の一番のお気に入りです。

「I'm Falling In Love Again」
『Les Parapluies de Cherbourg(シェルブールの雨傘)』(1964年)で使われたMichel Legrand作品。ここではCybillとGetzの共演らしい二人のヴォーカル&サックスが寄り添う感じがロマンティックです。

「Do It Again」
Buddy DeSylva作詞/George Gershwin作曲。1922年のブロードウェイ・ミュージカル『The French Doll』のために書かれた作品です。ラストはCybillのジャズ・ヴォーカリストとしての実力を実感できる美しいバラード。女優ならではの情感の込め方が絶品です。

『Cybill Getz Better』(1976年)
Cybill Getz Better

『Vanilla』(1979年)
Vanilla
posted by ez at 13:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
期待せずに買ったのですが、意外に良かった
印象があります。
イラストジャケは初めて見ました。
Posted by あばちゃん at 2012年09月22日 20:50
☆あばちゃんさん

ありがとうございます。

女優のアルバムと侮れない魅力があるアルバムですね。逆に女優ならではの情感表にグッときます。
Posted by ez at 2012年09月23日 00:19
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック