発表年:1969年
ez的ジャンル:R&B系クロスオーヴァー・ジャズ
気分は... :この人は作品が多すぎる...
今回はクロスオーヴァーな作品で人気のジャズ・フルート奏者Herbie Mannの代表作『Memphis Underground』(1969年)です。
Herbie Mann(1930-2003年)はN.Y.出身のジャズ・フルート奏者。1960年代にアフリカやブラジルを訪れたことを契機に、ワールドミュージック、ボサノヴァから影響を受けた作品をリリースするようになります。
1962年にリリースした「Comin' Home Baby」がヒットし、一躍彼の名前が知られるようになります。1969年にはR&Bのエッセンスを採り入れたアルバム『Memphis Underground』をリリースし、人気を博しました。その後もジャズの枠のとらわれないクロスオーヴァーな作品を勢力的にリリースし続けました。
「Comin' Home Baby」(1962年)
http://www.youtube.com/watch?v=jiCV4Xna684
前立腺癌との闘病の末、2003年に死去。
知名度や膨大な作品群のわりにはジャズ・ファンからの評価はビミョーなミュージシャンみたいですね。やはり、ディスコな「Hijack」(1975年)などジャズの枠を飛び越えすぎてしまったからですかね。
「Hijack」(1975年)
http://www.youtube.com/watch?v=U8k-3KJglFU
逆に言えば、ジャンルに囚われないクロスオーヴァーな音楽がもてはやされる今日において再評価されやすいアーティストなのかもしれませんね。ただし、アルバム数があまりに膨大なのでとても聴ききれませんが・・・
僕も手元にある彼のアルバムは今日紹介する『Memphis Underground』(1969年)と胸毛ジャケでお馴染みの『Push Push』(1971年)の2枚のみです。
今日紹介する『Memphis Underground』(1969年)は前述のように、彼のキャリアを代表するアルバムであり、AtlanticからリリースされたR&B/ジャズ・ロック色の強い作品です。
ソウル/ロック好きにお馴染みのTom Dowdがプロデュースを務め、レコーディングにはReggie Young(g)、Bobby Emmons(org)、Bobby Wood(p、el-p)、Gene Christman(ds)、Tommy Cogbill(b)、Mike Leech(b)というメンフィスのAmerican Sound Studiosの名うてのミュージシャン達や、Roy Ayers(vib、conga)、Miroslav Vitous(b)、Larry Coryell(g)、Sonny Sharrock(g)といったクロスオーヴァーなミュージシャン達が参加しています。
このメンバーを眺めれば、R&B/ジャズ・ロック色の強い作品であるというのが想像できますよね。
ジャズでR&B/ソウルでロックなクロスオーヴァーの先駆け的な演奏を楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Memphis Underground」
Herbie Mann作。人気のタイトル曲でアルバムは幕を開けます。R&BサウンドにのったHerbie Mannのフルートやジャズ・ロックなギター、Roy Ayersのヴァイヴを楽しみましょう。何処かダウン・トゥ・アースな魅力がありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=BO_Lfk-8P5c
3rd Bass feat. Chubb Rock「Kick 'Em In The Grill」、Ice Cube「Check Yo Self」、Salt-N-Pepa「Shoop」のサンプリング・ソースにもなっています。
3rd Bass feat. Chubb Rock「Kick 'Em In The Grill」
http://www.youtube.com/watch?v=xZx1dX4nbEw
Ice Cube「Check Yo Self」
http://www.youtube.com/watch?v=bueFTrwHFEs
Salt-N-Pepa「Shoop」
http://www.youtube.com/watch?v=4vaN01VLYSQ
「New Orleans」
Frank Guida/Joseph Royster作。Gary U.S. Bonds、1960年のヒット曲をカヴァー。Herbie Mannのフルートを満喫できるクロスオーヴァーな演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=E3KFPtrvIsw
「Hold On, I'm Comin'」
David Porter/Isaac Hayes作。Sam & Daveの大ヒット曲をカヴァー。ノリの良さでいえば、この演奏が一番かもしれませんね。ジャズ好きも、R&B好きも、ロック好きも楽しめる演奏なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=MQLAZVI5tAE
「Chain Of Fools」
Don Covay作。Aretha Franklinのお馴染みの大ヒット曲をカヴァー。「Hold On, I'm Comin'」と並ぶテンションの高い演奏です。ソウルとジャズの融合感を楽しめます。
「Battle Hymn Of The Republic」
トラディショナル。ラストはソウルな味わいのある演奏で締めてくれます。Roy Ayersのコンガがいい雰囲気を醸し出します。
http://www.youtube.com/watch?v=Nw9kCKkOxzs
興味がある方は他のHerbie Mann作品もチェックを!
『Herbie Mann at The Village Gate』(1962年)
Herbie Mann and the Bill Evans Trio 『Nirvana』(1962年)
『Do the Bossa Nova With Herbie Mann 』(1963年)
『Muscle Shoals Nitty Gritty』(1970年)
『Memphis Two-Step』(1971年)
『Push Push』(1971年)
『Mississippi Gambler』(1972年)
『Hold On, I'm Comin'』(1973年)
『London Underground』(1974年)
『Reggae』(1974年)
『Turtle Bay/Discotheque』(1973年/1975年) ※2in1CD
Cogbill,Christman で観たかった!!
ありがとうございます。
クロスオーヴァーな感覚を持つ彼にとって、ジャズという括りはとても窮屈だったのかもしれませんね。